AWC    随想 「パソコン音痴の私の1日」  /オークフリー


        
#482/1336 短編
★タイトル (GSC     )  95/ 7/24   6:33  (158)
   随想 「パソコン音痴の私の1日」  /オークフリー
★内容

 人にはそれぞれ得意・不得意があり、私もやはりそうである。
 ところが、人一倍負けず嫌いの私は、どんなことでも人並みにできて、その内の何
か一つか二つ、人よりはるかに優れた知識あるいは技能を身に付けたいと思ってしま
う。広く浅く、そしてその中で幾つかの趣味については深く広く…。けれども、そん
な虫のいい話はないのであって、まして私のような不器用でドジな人間には、到底無
理というしかない。学問然り・音楽然り・文章然り・コンピューター然りで、皆アブ
蜂取らずになってしまった。

 それでもなお、最近は「パソコン三昧」が私の望みで、ようやく夏休みに入ったの
で、今朝も早くから自室のパソコン机の前に腰掛け、さて1日が始まった。

 昨日、友人がMS−DOS Ver6.2のマニュアルを送信してくれたので、そ
れをまずエディタに読み込んで、音声で聞いた後、パソコン音痴の私でもできそうな
コマンドを、点字文に変換した。私は説明文を耳で聞いただけだとさっぱり理解でき
ず、必ず点字になおして読まないと駄目なのである。
 しかも、点字に変換した文章を、きちんとした書式に修正しないと気の済まないの
が困った性分で、マニュアル文の書式やテニヲハやミスプリントなどは、内容が解り
さえすればどうでもよい筈であり、マニュアルの文面を直すことよりも、まずパソコ
ンを動かすことこそ本来の目的であるのに、私はつまらない点に拘って、とにかく綺
麗に整った説明文でないと安心できない。何時間もかけて修正し、どうにか文章が完
成した頃には、もうすっかりくたびれて、パソコンを動かす元気がなくなってしまう
のが常である。これを私は自ら「マニュアル マニア」と称している。
 さて、DOS6.2のコマンドの中で、私が面白いと思ったのは、次の三つである。
(と言っても、その三つのSpellと使い方を、今既に忘れてしまっているから、
ここで正確に説明しようとすると、一端このMSGを終了して、点字のマニュアルを
捜し出し、間違いなく記憶するとか記録してから、再びこのMSGに戻らねばならな
い。「それくらい、ぞうさもないことだ。」と言われそうだが、ぞうさを感じない人
ならばパソコン音痴にはならないのである。)
 要するに、三つのコマンドとは、1 ディスクの最適化 DEFRAG  2 2台のパ
ソコン間の接続コマンド MAXLINK   3 ウイルス チェック VB…。もう一つ今話
題の「DOUBLE SPACE」もあるが、これこそ私には全く手がでないほど面倒な操作であ
る。

 実は最近、私はリムーバブル ハードディスクという物を購入し、大いに意気込ん
で使っているのであるが、あまりにもCOPYとDELETEが度重なったので、こ
こらで「ディスクの最適化」を実行してみることにした。

 私の性格上、バックアップのバックアップ、その上にもう1枚のバックアップディ
スクを作っておかないと安心できないので、今や私の所有しているフロッピーディス
クの数は、裕に1500枚は越えている。正に、270メガバイトのリムーバブル
ハードディスク(これまた6枚も購入してしまってある。が、決して私は金持ちでは
ないので、誤解のないようにして頂きたい)がフルに役立つ筈である。


 いよいよ、リムーバブルのハードディスクから立ち上げて、A> となった所から、
以下のように入力したとご想像願いたい。

   A> DEFRAG A: /F(リターン)

 勿論、A:\DOS\ というディレクトリーの中には、MS−DOSの全てのファイルが
コピーしてある。(と思ったら、そうではなかった。)
   「コマンドまたはファイル名が違います」
 となってしまい、暫くかかって調べた結果、確かに全部のファイルをコピーしては
あったのだが、大半のファイルがアクティブになっていなかった。それが証拠には、
拡張子= EXEが EX_、 SYSが SY_、 HLPが HL_…などとなっているではないか!(如
何に私が何も知らないと言っても、さすがにDIR くらいは知っている。)

 そこで、やおらMS−DOS Ver6.2のフロッピーディスクを捜し出してき
て、『INST』 『SETUP』などとやってみたが、エラーメッセージが出て、私の力では
どうにもならない。

 やむなく、もう1枚のリムーバブルディスクと差し替えて立ち上げ直してみると、
こちらは、私の息子がインストールしておいたディスクだったので、DOSのファイ
ルのほとんどは使用可能になっていた。

 このファイルを全てフロッピーディスクにコピーし、またまた、元のリムーバブル
ディスクに差し替えて、それらのファイルをコピーした。
 パソコンの得意な人なら、直接大本のDOS6.2のディスクからインストールす
るなり、コピーするなり、自由自在にできるのであろうが、そこが私の悲しさ…。さ
らに話せば長い物語になるが、息子が作成したディスクと私が作成したディスクとで、
組み込み方が違っていて、もしかしたらリムーバブルディスクが動かなくなってはい
けないという取り越し苦労から、私は193個もあるDOSのファイルを一つ一つ点
字で書き出して、拡張子の末尾に _ が付いていないファイルだけをチェックし、こ
のファイルだけは上書きしないように注意しながら COPY 作業を行なったものである
が、これにも数時間を要した。

 かくして、待望の『ディスクの最適化』の実行である。

   DEFRAG A: /F(リターン)

 恐る恐るキー入力して、暫く音声によるメッセージを聞いていたが、これだと何時
間かかるか知れないので、一端音声をとめてディスプレイのスイッチを入れた。……。
 案ずるより生むが安く、妻に画面を見てもらっていたら、目出たく
  「正常終了  A>」
となってホッとしたのであった。


 人間しかし、嬉しい時こそ気を付けなければならないものだ。
 『人生はあざなえる縄のごとく、苦あれば楽あり、楽あれば苦あり』
 今回それほど大げさに言うほどでもないが、やがて面倒なことになる。

 毎週日曜日、私はテレビ将棋を楽しみにしており、盲人用に、升目を針金でしきっ
た手作りの将棋盤を持ち出し、彫り駒を並べて研究する。
 今朝は4時に起きてパソコンを動かしていたから、目先を変えて、少し頭を休ませ
る方がよいのである。

 テレビ将棋を終わって、昼ご飯も食べずに、パソコン机に戻った。
 もう1枚、息子がインストールしたリムーバブルディスクの最適化が残っている。

 私は味をしめたつもりで、

   A> DEFRAG A: /F /SN(リターン)

 今度は、ファイルをアルファベット順に並べ替えるためのオプションスイッチ /SN
を付け加えた。

 最適化がスタートして暫く後に、ディスプレイが付けっぱなしになっていることに
気づき、スイッチを切った。(テレビ将棋中の2時間、ディスプレイのスイッチを
ONにしたままだった。)それだけにしておけばよかったのに、電源コードもコンセ
ントから抜いて、そのついでに、念のため、パソコン本体の電源コードを、グイとコ
ンセントの奥まで押し込んだものである。普段からタコ足配線になっていて、しばし
ばコンセントから電源コードが抜けかかっていることがよくあり、今正に、ディスク
の最適化の最中にもし電源が切れたら大変だと思ったからである。
 しかるに、その情けがかえって仇となり、一瞬リムーバブルのアクセス音が止まっ
て、エラーメッセージが出たのである。コンセントから外れないように、十分注意し
て電源プラグをしっかり差し込んだつもりであったが、何らかの理由で、一瞬間電流
が止まったのであろうか?

 煩雑になるので、メッセージの詳細については省略するが、とにかく、ディスクの
一部に不良なセクタがあるため、『SCANDISK』を実行してから、もう一度『DEFRAG』
を実行するようにという指示が出た。
 SCANDISKも結構時間がかかるし、音声を頼りではなかなか難しい。3回・4回と
SCANDISKを繰り返し、またDEFRAGを行っても、ディスクの修復はついにできたのかで
きなかったのか?要するに最適化は92パーセントまでしか行なわれずに、動作が止
まってしまうのである。

 とうとう諦めた私は、この傷ついたディスクのファイルを全部フロッピーディスク
にバックアップして、新しく3枚目のリムーバブルディスクを作成した中にコピーす
る決心をせざるを得なくなった。

 ファイルが全部で90メガバイト以上もあるので、フロッピーを100枚は用意し
ておかねばならず、このさいディスクを整理するつもりで、沢山あるフロッピーの中
身をいちいち確かめてはFORMATを行なった。この苦労、お察しいただきたい。

 一方、物置の段ボールの中から新しいリムーバブル用のディスクを捜し出してきて、
さて、『物理フォーマット』 『スーパーディスクフォーマット』などの作業に取り
かかったが、やはりパソコン苦手の私は、方法をすっかり忘れてしまっているのであ
った。確かに2枚目の時にはうまくできたのに、何故3枚目がうまくいかないのだろ
うか?
 そして夕方、千葉県の馬橋に住んでいる息子に電話をかけた。留守番電話に用件を
録音しておいて、折り返し返事の電話が来るのを待ちながら、フロッピーディスクに
『BUCKUP』を行おうとした。だが、これも駄目である。リムーバブルは光ディスクの
扱いになるので、同じ固定ディスクといってもHDDとは異なるもののようだ。

 夜遅く、息子から電話があり、リムーバブルの『システム転送』の方法を聞くと、
息子曰く、「先日お父さんは、インストールやシステム転送のやり方を点字で書いて
いたから、それを読めばいいんじゃないか」ということだった。
 私は手順を記録しておいたことを完全に失念していたのである。悲しいような嬉し
いような気持ちになり、すぐ電話を切って、……。
 さてもさても、捜せど捜せど、記録した物を何処に仕舞ったのか、幾ら捜してもつ
いに見つからなかった!!

 私は落胆を忘れるために、このMSGを書き始めたが、現在の時刻は夜明けの4時
を過ぎてしまっている。
 UPするのは明日になるだろう。

                  [1994年7月24日  OAK]




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