AWC 冬忘の春                  聖 紫


        
#418/1336 短編
★タイトル (ALN     )  95/ 3/18  21:31  ( 24)
冬忘の春                  聖 紫
★内容

  春の雪は雨にもなれず        白い花は水蜜桃か
  かと云って白くも無く        枯れ枝に積もった霙か
  泣いている様に濡れて光る      震えて居るのか風に靡いて居るのか

  咲き始めの花は戸惑うでもなく    騙日和に手折れば蕾のままの儚さか
  寒さに凍えて身を枯らすでもなく   時にさらせば朽ち逝く切なさか

  風は南風激しく吹きくれば      待てば春待たねど春巡り来て
  暖かい香りに残り冬を乗せて          夢を乗せた風が夢の傷跡に吹く
  だますのね… 春だと…       騙されても良いわ… 春だと…
  雪より暖かくて雨より冷たくて    雪より寂しくて雨より悲しくて
  恋より激しくて愛より清らかで    恋より儚くて愛より切なくて

  夢見る花は目覚める時を       咲き誇る花は散る時を
  知らせるでもなく          知らせるでもなく
  息吹始めるでもなく         永遠に咲き乱れるでもなく
  解けぬ雪に雨にならぬ雪に      晴れぬ空に雨にならぬ雲に
  南風に冷たい忘れ冬…        捨て切れぬ夢が戻り冬…

  春輝けばこの夢もすてられるのに   春も夢ならばこのまま眠りの淵で
                    見続けようか…

                                 聖 紫




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