#390/1336 短編
★タイトル (XEF ) 95/ 2/ 6 1:26 ( 72)
昼下がりのアイソトープ 香奈代
★内容
>深夜0時のバー
右45度。この角度でオレ様の自慢の顔が一番美しく見えるハズ。
ほらほら、彼女、オレのこと意識し始めたよ。目線をそらさず、
時速3kmで歩き出す。
もう少し近くによって・・・
ガタン! 椅子が倒れる音がする。
しまった!警告表示を見落としちゃったわ。ああ、ブザマ。
でも怪我の功名、彼女こちらに寄ってきた。
「大丈夫ですか?」
軽くうなずく。ああ、ラッキー!声は「本物」だ。今度は回りを注意
しながら彼女の横に滑り込む。
とまどう顔の彼女(キャワイイ!)に一言『あなたの顔に見とれてしまって・・・』
ああ、なんて陳腐なセリフ。
でも手持ちの会話でバレそうにないのがこれだけなのよね。
なんとか会話を進めなきゃ。
幸い、彼女は見かけよりウブなのか、こちらの不自然な会話も気にして
ないみたい。見た目20代前半という感じだけど、案外その通りなのかも?
少なくとも、ババアの整形、オトコの性転換じゃないみたいだわ。フフ。
ボイスチェンジャーをやめて、超めんどーだけどキーボードの【音声】キー
から「本物の男」から録音した声を使ったのは正解ネ。バレる心配はない。
モニターに映る彼女の横顔を見ながら【フォルダー】をすばやく切り替えて
「カクテル・データ」を呼び出した。ついでに「酒に関するウンチク」も
辞書からひきださなきゃ。
・・・1時間後ついに「ホテル・データー」を引き出す状況まで行くことに成功。
さて。モニターの右上に「クレジット」データーを表示、OK。会計をすます。
オゴられるのは、なれてるけどおごるのははじめてだわ。
まあいいか。あ、モニター左上に赤い点滅。おっと、コートを忘れたのね。
遠隔操作じゃ寒さまでは分からないものね。
ドアを開けて車に乗り込む。もちろんオートモード。彼女に判らないように
操作。もちろん、遠隔操作している『マリオネット』を使って車を運転した
なんて事が分かったら道交法違反くらいじゃ済まないことは分かってる。
でも・・・
物心ついたときから、ワタシは女の子しか愛せないのよね。もちろん女性同士
の結婚は今の時代許されてはいるけど。でも結婚はイヤ。
カワイイ女の子が醜いオバサンになるのがイヤなのよ。オバサンは嫌いだわ。
たとえワタシが今年96歳だとしても。
幸い、ワタシにはこの「マリオネット」がある。高いお金をかけて作らせた
「男性型」ロボット。遠隔操作で生身の人間と同じ動きが出来る。非合法。
ボケッとしてたら、彼女が言った言葉を聞き逃した。再生。「帰りたい」?
ジョーダンじゃ無いわよココまで来て!無視してモーテルまで車を飛ばす。
いきなり彼女が泣き出す。オイオイ困ったな。初めてじゃないんだろ!!
と、彼女がいきなりケイレンを起こしたように震える。そして気を失うように
倒れ込む。呆然としている「オレ」の前で彼女の顔から首にかけて割れ目が走る。
そして彼女の身体は左右に・・・「割れた」
・・・ポリマ樹脂の中から、5〜6歳の泣きじゃくる「女の子」が出てきた。
どうやら親に内緒で『ボディ』を盗み、夜遊びをしていたらしいのだ。
まったく!最近のガキは何を考えているんだか。あ〜でも5歳じゃねぇ
家まで送った後で不意に「狐と狸」を思い出した。
さてもう一度「可愛い女の子」をナンパしてくるかぁ
放射性同位元素 /香奈代
PS 題名は意味無し(笑)ゴメン