#298/1336 短編
★タイトル (ZBF ) 94/ 8/22 22:10 ( 29)
新・蒟蒻物語「変なジイさん」夢幻亭衒学
★内容
今は昔、藤沢某という老武士がいました。とても変な人でした。あるとき、「ワ
シは世の中のあらゆることを経験してきた。ただ一つだけ、子供の頃から衆道のウ
ケだけはしたことがない。如何なものだろうか。しかし、このように老いさらばえ
てしまっては、誰も抱いてくれないだろう。俚諺に、女人禁制の高野山では六十歳、
那智では八十歳まで僧侶同士で犯し合うというが、そのようにセックスに飢えた学
問僧でもワシを抱きたいとは思うまい。あぁ」とシミジミ考えていました。
しかしフと思い付いて、張り形(人造陽物)を買ってきまして、縁側で自慰を始
めました。物が出てくる所に、物を入れたのです。人間が出てくる所ではありませ
ん。人間ではなく、物です。まぁ似たようなものですけど、一応。んで、立てた張
り形を跨いで、屈伸したのです。ところが誤算がありました。年をとっていたため、
足腰が弱っていたのです。腰を下ろしたときに、ペタンと尻餅をついてしまったか
ら、たまりません。メリメリと音を立てて貫いた張り形が、そのままズップリと根
本まで入ってしまったのです。藤沢さんは、「わあっ」と叫んで失神してしまいま
した。
叫びを聞きつけた娘や息子が駆けつけます。見ると、おジイさんが変な格好に手
足を折り曲げ気絶しています。「医者だ、薬だ」と大騒ぎをしているうちに一人が、
おジイさんの尻から、赤い紐がニョロンと出ているのを見つけました。不思議に思
って、あれこれ家臣を問いつめますと、おジイさんが張り形でオナニィしていたと
白状しました。一同は大いに驚いて、とにかく臭い立つ張り形を、おジイさんから
引っぱり出し、気付け薬を飲ませて正気づかせました。しかし、まぁ、おジイさん
も自分の口から事の顛末を語ることは出来ず、さりとて周囲も尋ねることをはばか
り、互いに顔を見合わせていました。そのうち誰からとも笑いが起こります。続い
て大爆笑となり、この一件は沙汰止みとなりました。となむ語り伝えたるとや。
(お粗末様)
今回も今昔物語ではありません。「耳嚢」所収「老耄奇談の事」です。
今回は話が話なので、直訳に近い形で、ご紹介しますぅ。
シミジミと味わって下さい。