AWC >お題 水底の天使  ノム=バチャイ


        
#278/1336 短編
★タイトル (SKH     )  94/ 7/24  11:15  ( 33)
>お題 水底の天使  ノム=バチャイ
★内容

沈黙。

まばたきするノイズ。

ひからびた空気が揺らぐ。オレンジ色に錆びた空気が。

高く舞踊る陽炎が、空に鋭い一瞥を投げかける。

光と影。

次の瞬間、滑らかに駆け下る。
形ある精霊、きらめく極北のヴェールを幾重にも纏って。

「冷たい、熱い、乾きに満たされた惰眠、訪問者」

巨大な結晶、、、

 人々は全て船で暮らし、新天地を捜し求め、宇宙という奈落の中を奔走する傍ら、ご
く小規模な複合住宅の痕跡さえも消え去った大地の死骸にすがり、水の分子と大気に充
満する金属微粒子との際限無い化合を阻止するべく、しかるべき装置を開発した。今ま
さに、その一つが、氷の球体となり、任意に選び出した地点をごく緩やかに滑空してい
る。

内なる指令、三音の配置。

そして解き放たれた光の破片が、砕かれ焼き固められた焦土に、ささやかな慈愛となっ
て吸い込まれていく。

それは、後光さすケルビム。
それは、偉大なる園芸家。

しかし、それはダ・ヴィンチの羽のペンなのだ。




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