#99/1336 短編
★タイトル (VHM ) 93/ 7/31 4: 8 ( 49)
「螺旋階段」井上 仁
★内容
「螺旋階段」
『永遠へご招待します』
こう書いてあったから、それは招待状だった。ちゃんと住所も書いてある。差出人
は、当然書いてない。
−−−どうせ、『永遠』とかいうカラオケの店でも見つけて、悪友どもが俺を誘っ
たに決まっている。
こういうことをしそうな悪友の名前を9人ほど思い浮かべたところで、タクシーは
目的地に着いた。もう辺りは夜の色だった。俺はグレーのコートを着て、降りた。始
終無表情だった運転手を乗せて、タクシーは戻って行った。
店はなかった。森の中にたたずむのは、古びた洋館だった。
−−−こりゃすげぇ。フランス料理店かな?よっぽどホラー好きの主人だぞ、これ
は・・・
と、俺の脳裏に不吉な予感が走った。
−−−まさか、ここの代金を俺に払わせるつもりじゃないだろうな・・・
俺の友達で、こんなたいそうな店で食えるようなふところをした奴はいない。
もしそうだったら・・・
俺は財布の中身を調べた。
「・・・逃げよう」
ため息と一緒に、俺はドアを開けた。
ドアの閉まる音と同時に、俺は驚愕し−−−いや、唖然とした。
真っ白な、異様に広い大広間の中央に、螺旋階段が一つ。
それだけだった。
螺旋階段を目で追っていった。
天井がない・・・!これは、いったいどこまで・・・
彼はそこで、目を止めた。
俺がいた。
グレーのコートを着て、必死の形相で、白闇の中の螺旋階段を、二段抜かしで駆け
上がっていく。
俺はあんなに必死に、何処へ行こうというんだ。あの先に、何があるんだ・・・
俺はとっさに階段を駆け上がっていた。直感的に思った。追わなければ!
螺旋階段の先は、白と溶け合って消えていた。俺が、その中へ入っていき、消えた。
・・・逃がすか・・・っ!
そのとき、下でドアが開く音がした。俺は、そんなものに気づくはずがなかった。
必死だったからだ。
ドアの閉まる音と同時に、俺は驚愕し−−−いや、唖然とした。
真っ白な、異様に広い大広間の中央に、螺旋階段が一つ。
それだけだった。
螺旋階段を目で追っていった。
天井がない・・・!これは、いったいどこまで・・・
彼はそこで、目を止めた。
俺がいた。