#96/1336 短編
★タイトル (QUB ) 93/ 7/30 17:40 ( 83)
お題>僕は君だけは許せない グレイ
★内容
−−−−トゥルルルゥ
−−−−トゥルルルゥ
−−−−ガチャ
呼出音に続いて、電話がつながる。片思いのまま3年追いかけ続けている彼女に
逢う約束をすっぽかされて4日目、毎日電話しても家族しか出ない日が続いてた。
「あのー、夜分済みませんが・・・」
「あぁ、少々お待ち下さい。」
彼女の母親らしい女性が出て、毎夜続けた電話のせいか名乗る前に解ったらしく
取り次いでくれて彼女が電話口へ出た。
「ごめんねぇ、約束土曜日だったよねぇ。他へ遊びに行ってしまって月曜の朝ま
で返って来なかったのぉ」
「俺の気持ちを知っていて、そう言う事をした訳だ。人との約束を放って置いて
遊び回ってるんだから、さぞ楽しかったろうな。」
「うん。楽しかったよ!」
「随分とひどいもんだな」
「貴方はねぇ、解ってくれないのだもの。好きでも無いのに好きだって言われて
も重荷になるだけ。逢うのも気が重くなっちゃう。難しいよ、他に好きな人が
出来ても正直に言ってしまっていいのか考えちゃうもん。それに仮に付き合っ
ても別れる時が面倒だしね。」
「要するに俺は、付き合うにも先に別れる時の事を考えて無いとならない程度に
しか見て貰えて無いって訳だ。」
「別に貴方だけじゃ無くてみんなそう。」
「軽い友達なら良くて、真剣に恋を論じる相手では無いって訳だ。だから俺が誘
ってもいい加減に断って、他の奴と俺が誘った所へ行った挙げ句に俺との話題
にしたりしたんだな。」
「・・・・・・」
「何かある度に埋め合わせを考える。断る時に必ず別の時を作るって自分で言っ
てたのはお前じゃ無いのかよ。」
「・・・・・・」
「逢う時間が減って来た時にチャンスは作る返って多くなる様にするって言った
のもお前じゃ無いのかよ。」
「・・・・・・」
「何とか言えよ。何も言う事は無いのかよ。」
「・・・・・・」
「聞いているのかよ?」
「・・・・・・」
「そうか、何も応えたく無いか。結局人を見下してるだけじゃ無いか。人を馬鹿
にしてるだけか? バカヤロー!」
電話は切れた。と言うよりも俺が切ってしまった。あれ以来は何をしても悪い方
にしか取ってくれなくなったのは、彼女の友人から後になって聞いた話だ。
真剣に想い続けた。振り返って貰おうと一生懸命だった。それが返って仇になっ
たらしい。本気で真剣に想い続けたが故に重荷に感じてしまったのか、一生懸命に
なった結果が自分の首を絞める結果を招いたのか?
俺はきっとお前を許す事は無いだろう。そして自分を許す事も無いだろう。恋愛
にも暫くは不審しか感じられない事だろう。惚れるまで人を信じる事はもう俺には
出来ないかも知れない。
(君だけは許せないきっと・・・・・・)
俺は、心の中で呟いた。
−完−
-- PC-VAN QUB38517 --- NIFTY GEH01234 --- FROM KANAGAWA ------ グレイ ---