| 霧雨の中κει |
#85/1336 短編
★タイトル (WJM ) 93/ 7/12 19:28 ( 41)
霧雨の中κει
★内容
深夜2時過ぎ。雨が降り出す。アスファル
トに跳ね返り低く霧となった。
寂しい車道の真ん中に白い犬が力なく伏せ
ていた。信号機は点灯し、黄色の光が濡れた
道と白い毛並みに反射していた。
私は心持ちスピードをゆるめる。出血はな
かった。
綺麗な死体に生と死との関係は、心臓が動
いているかどうかの違いであるように思えて、
事実はどうなのだろうと考えた。
犬が静かにたたずんでいた。雨がその空間
にだけ注がれているような不思議な錯覚を覚
えた。黄色信号に照らされて、いやに白い毛
が染まっていた。
毛をつたう滴は冷たく感じるか。なぜ目を
綴じている。なぜ息をしないのだろう。
僅かに雨が大粒になった。雨音の小さな隙
間から、暴走族の爆音が聞こえてきたので、
バイクのスピードをあげる。
濡れた服が張りつき、早く熱いシャワーを
浴びたいとそのすぐ後に考えていた。そして
私はベッドに入り今日も短い睡眠をとるのだ。
終わった犬の夢も見ずに。
κει
1993.07.06
1993.07.10
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