#3905/5495 長編
★タイトル (FJM ) 97/ 6/ 9 5:21 (154)
代償 第一部 11 リーベルG
★内容
11
「編集は今夜やってくれるの?」
ふと思い出したように由希は訊いた。克也はタバコで、ミラーの向こうのカメ
ラマンを指した。
「そのつもりだ。あいつがやるよ」
「私も立ち会うわ」
「おいおい」克也はタバコを消した。「信用できないのか?」
「そうじゃないわ。写真を何枚か欲しいから。自分で選びたいの」
「何に使うんだ?」
「そのうち分かるわ」
由希は曖昧な笑みを克也に向けた。克也は肩をすくめて、視線をミラーに戻し
た。
隣の部屋では、凌辱が最初のクライマックスを迎えようとしていた。
「そろそろ入れてやれよ」カメラマンが無感情な声で言った。「テープは二時間
しかないんだからな」
すでに抵抗を諦め、ただ恥辱にすすり泣くだけとなった美奈代の耳に、その声
は唯一の希望として届いた。
二時間……二時間たてば解放される……この悪夢も二時間で終わる……そうし
たら帰れる……帰れる……
そのとき、顔が乱暴に起こされ、顎が胸につくまで曲げられた。
美奈代ははっと目を開き、そして見てしまった。
スキンヘッドの、凶暴に怒張した異物が、自分の中に埋め込まれる瞬間を。
最初はひりつくような、次に肉が裂けるような恐怖をともなう痛みが下半身を
襲った。美奈代は残っているとは思わなかった力を出して、腰を浮かせて逃れよ
うとした。
スキンヘッドが美奈代の腰をつかんであっさり引き寄せた。美奈代は悲鳴をあ
げて顔をそむけた。だが、すぐに後ろから首をねじ曲げられ、正面を向かされた。
美奈代は目を固く閉じた。
その瞬間、全身が引き裂かれるような痛みが爆発した。
美奈代は獣のように絶叫した。
再びフラッシュが閃いた。
美奈代の絶叫がスピーカーを通じて炸裂したとき、由希の顔を躊躇いがよぎっ
た。思わず視線を外した由希は、しかし、数秒後には再び美奈代を見つめた。
「処女だったらしいな」
克也が由希の反応をうかがうようにつぶやいた。由希は冷たい声で答えた。
「そうみたいね。あの子にとって一生の思い出になるわ」
「思い出ね。どっちかってえと悪夢だな。違うか?」
「怖じ気づいたの?」
「そうじゃないさ」
「あんたもやりたかったら、やってきたら?」由希は残酷な笑みを向けた。「処
女の現役女子高生とやれるチャンスなんか、そうそうないでしょ?」
「遠慮しとくよ。そういうのは趣味じゃない」
「変なヤクザね」
激しい前後運動のたびに、激痛が下半身に走る。美奈代は唇を噛みしめて、そ
の痛みをこらえようとしたが、とても耐えきれるものではなかった。身体全体の
筋肉がぎしぎしと音を立ててきしんでいるようだ。苦痛が荒い吐息となって歯の
隙間から押し出された。
もはや抵抗の気力などなかった。ただ、一秒でも早く終わってくれることだけ
を願っていた。
スキンヘッドの息が荒くなり、腰の動きが一段と早くなった。
獣のようなうめき声が耳に届いた瞬間、美奈代は体内に熱い欲望が大量に放出
されるのを感じた。深い喪失感が襲い、美奈代は低い嗚咽をもらした。
スキンヘッドは満足そうにうなると、ずぼりと男根を引き抜いた。美奈代の身
体が反射的にびくんと動く。
終わった。
美奈代はぼんやりとそう思ったが、身体は動かなかった。自分が全裸で両脚を
広げたまま男達の視線にさらされていることはわかっていたが、羞恥を感じるよ
うな段階はとっくに通り越していた。
手首を縛っていたロープがほどかれたときも、美奈代はわずかに呻いただけで、
ほとんど反応を示さなかった。白い胸がゆっくりと上下している。
パーマ男が美奈代の身体をごろりとひっくり返してうつぶせにした。
「今度はこっちからやってやるぜ」
言葉と同時に美奈代は腰が持ち上げられるのを感じた。続いて、パーマ男がず
ぶりと入ってきた。
再び痛みがぶり返し、美奈代はすすり泣いた。
二度目の凌辱は短かったが、その分激しかった。横で見ていた間、欲望をつの
らせていたに違いない。パーマ男は、美奈代の尻の肉を跡が残るほどがっしりと
つかんで、深々と突き入れた姿勢のまま放出した。
美奈代は顔をシーツに押しつけたまま、呆けたように喘いでいた。
「もっと時間がありゃあな」パーマ男は名残惜しそうに美奈代から離れると、突
き出されたままの尻を撫で、指を割れ目から肛門へと走らせた。「こっちの処女
もいただいてやるんだがなあ」
「おい、あれ頼むで」入れ墨男が、美奈代を押しのけるようにベッドに仰向けで
転がった。すでにトランクスは脱ぎ去っており、屹立した肉棒を誇示するように
大の字になっている。
スキンヘッドとパーマ男が、下碑た笑いを洩らしながら、ぐったりした美奈代
の身体を両側から持ち上げた。
ゆっくりと入れ墨男の上に掲げられたとき、美奈代は何をされるのかを知った。
だが、抵抗しても相手を楽しませるだけだとわかっていた。
入れ墨男は下から美奈代の腰をつかむと、慎重に誘導し、血と精液が滴ってい
る場所に自分の肉棒をずぶりと埋めた。それはほとんど抵抗なしに根元まで入り
込んだ。
騎乗位にさせられた美奈代は、口を半分空けたまま、下から激しく突き上げら
れる痛みに耐えていた。
流すべき涙さえすでに枯れ果てていた。
「悪いけど一杯もらえる?」由希は目をガラスの向こうから目を離さずに頼んだ。
克也は頷くと、奥へ引っ込んで、数秒で戻ってきた。手にブランデーグラスを
二つ持っている。
「車だろ?一杯だけだぞ」
「ありがとう」
由希はグラスを受け取ったが、ブランデーの芳香を嗅いだだけで、口にしよう
とはしなかった。それを見た克也が少し皮肉な口調で言葉をかけた。
「さすがのあんたも、耐えきれなくなったらしいな」
「ばかいわないでよ」由希はきつい声で答えたが、すぐにふっと口元を緩めた。
「といいたいところだけど。何と言ってもまだ子供だしね。全然、哀れに思わな
いと言えば嘘になるわね」
「まだ最初の一人なんだぜ」
「わかってる。あの子は、ああいうめに遭って当然のことをしたんだから。どん
なことがあっても償いはしてもらうわ」
入れ墨男から離された後も、美奈代はベッドの上に仰向けに転がったまま、ぴ
くりとも動こうとしなかった。四肢は大きく広げられ、ライトが身体の隅々まで
照らしているが、身体を隠そうともしない。太腿の内側には、美奈代自身の血と
四人の男の精液が混じり合った液体が冷たくなっていた。
「まだ五十分ぐらい残ってるぞ」カメラマンが言った。「なんかやれよ、お前ら」
「そんなこと言ってもよお」タバコを吸いながら、スキンヘッドが答えた。「こ
んなぐったりしちゃっちゃあ、おもしろくねえよ」
「ちっ」カメラマンは吐き捨てると携帯電話を取り出してボタンを押した。「兄
貴、どうします?まだやりますか?」
「ちょっと待て」
克也は由希に目をやった。
「どうする?まだフィルムは残ってる。なんなら、他の奴らを呼んでもいいぞ」
「もういいわ」疲れたように由希は答えた。「最後に全身をアップで撮って終わ
りにして。顔が入るようにね」
克也は携帯に向かって口を開いたが、由希は遮った。
「ああ、ちょっと待って。誰か、あの子の口に入れてやって。それから、顔にも
発射してやって。顔はアップで取るのよ」
克也はカメラマンに由希の指示を繰り返した。
男たちは言われた通りのことを開始した。
顔に冷たい水をかけられ、朦朧となっていた意識がはっきりしてきた。誰かが
急ぎ足で立ち去っていくらしい足音が耳に届いている。
自分がどこにいるのかわからなかった。全てが夢で自分のベッドの中で起きた
ところかもしれない、とさえ思った。だが、すぐに自分が冷たい草の上にうつ伏
せになっていることに気付いた。
熱病にかかったように全身が熱かった。
美奈代はよろよろと身体を起こした。
下半身に鋭い痛みが走り、がくっと腰が砕けた。同時に全ての記憶が甦った。
激しい嘔吐がこみあげてくる。耐えきれず両手をついて吐いた。
泣きたかったが、何故か涙は出てこなかった。まだ美奈代の心の大半が、起こ
ったことを受け入れていないのだろう。まるでテレビドラマでも眺めているよう
な非現実感だけがあった。
周囲を見回すと、そこは川原だった。暗いが見覚えはある。美奈代の自宅から
それほど遠くない。
美奈代は再び立ち上がろうと試みた。今度は成功した。
奇妙なことに制服は上から下まで身に着けていた。ただし下着は上下とも着け
ていないのがわかった。カバンも足元に置かれている。
急いで服装を点検した。髪が少し乱れている他は、何かあったようには見えな
いだろう。
時計を見た。午後八時を過ぎたところだ。
美奈代はふらふらと歩き出した。足をふみ出すたびに、下腹部にかすかな痛み
が走る。いまだに何かが挿入されているような感覚が残っている。
太腿の内側を、なま暖かい液体がつたうのがわかった。だが美奈代は足を止め
ようとはしなかった。立ち止まって確かめるのが怖かった。確かめてしまったら、
永久にその場から動くことができなくなりそうだった。
途中で何度も嘔吐感に襲われた。二回ほど、美奈代はその衝動を解放した。