AWC 雪原のワルキューレ42     つきかげ


        
#3595/5495 長編
★タイトル (BYB     )  96/12/13  21:12  ( 68)
雪原のワルキューレ42     つきかげ
★内容
の肩に手を乗せたまま、言った。
「紹介しよう、クラウス。我が夫、ブラックソウルだ」
  クラウスは、一瞬、狂死してもおかしくないような表情になる。しかし、すぐ平静を

取り戻し、静かに言った。
「お戯れを」
「事実だよ、クラウス」ブラックソウルは、嘲るように言った。「あんたはもう少しで

、あんたの真の主を冥界へ送るところだったんだぜ」
「おまえは黙れ!汚らわしい家畜」
「我が夫に対し、無礼であろう、クラウス」ヴェリンダが泰然と、たしなめる。
  クラウスは傷ついた獣のように、憎しみで輝く瞳を、ヴェリンダに向ける。ヴェリン

ダは、宮廷で謁見する王妃のように微笑んだ。
「ヴェリンダ様、あなたはガルンの手により、異界へ飛ばされ、幽閉されていたと聞き

ます。いつ戻られたのですか」
「確かに私は魔導の力も届かぬ、異界の地に閉じこめられていた。ガルンがエリウスに

殺されたのちも、私はこの世界へ戻ってはこられなかった」
  ヴェリンダは、楽しげに微笑む。
「我が父、セルジュはガルンに密殺された為、王位は我が弟、ヴァルラが継いだ。弟は

、私を救った者には私を妻にする権利を与えると、ふれを出した」
「まさか」
「私を異界の地より、連れ戻したのがブラックソウルなのだ、クラウス」
  クラウスは無表情となった。
「おれの言った通りだろ、クラウス」
  ブラックソウルは、勝ち誇ったように言った。
「おれの名は、忘れられぬ名となっただろう」
「確かにな」クラウスは、自分に言い聞かせるように、繰り返した。「確かにそうだ」

  哄笑が響いた。フレヤである。
「呆れた時代になったものだな、え?クラウス」
  フレヤは美しき青き瞳を、皮肉気に煌めかせている。
「それはそれとして、聞きたいことがある」
  クラウスは、疲れたように言った。
「何のことだ、最後の巨人」
「私よりも、我が相棒の望みだ」
  黒衣のロキが、ゆっくり進み出る。
「黄金の林檎のことだ、クラウス殿」
「黄金の林檎か。ロキ殿、そなたまだ、あれを見つけ出していなかったのか」
「残念ながら」
「確かに、ラフレールは黄金の林檎を携えて、ここへ来た」
  魔族の王女、ヴェリンダの傍らに立つブラックソウルの瞳が、昏く輝く。ロキは、ブ

ラックソウルの存在を意に介していないようだ。
「しかし、ラフレールは、そのまま持ち帰ったよ」
  ロキは、無表情のままである。
「ラフレールは、どこへ黄金の林檎を隠したのだろう。四百年も人の目に触れぬとは」

 クラウスは、笑って答えた。
「さあな。奴自身が、今だに持っているのだろうよ」
  ロキは、撫然として言った。
「人は、四百年も生きぬものだ」
「奴は、黄金の林檎を持ち歩いていたのだ。その力を全身に浴びている。奴を人間と考

えぬほうがいいぞ、ロキ殿」
 ロキは、少し戸惑ったような表情を見せた。
「ラフレールはどこへ向かうと言っていた?」
「はっきりとは、聞いていない。多分、西の方へ向かったのだろう。エルフの城の話を

していたからな」
「西か」ロキは遠くを見る瞳をして、言った。
「ラフレールは、何を求めてここへ来たのだろう、クラウス殿」
  クラウスは、夜の天使のように美しい顔を、わずかに歪めた。
「あれは、ただ一人、黄金の林檎の意味に気づいた人間だ」
  クラウスはゆっくりと、ヴェリンダとブラックソウル、それにフレヤとロキを見渡




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