#3121/3137 空中分解2
★タイトル (AKM ) 93/ 4/18 0:48 ( 59)
●楽戦楽勝ごりら男●その17 10人抜きの巻 ワクロー3
★内容
◆楽戦楽勝ごりら男◆17 ベガ破り10人抜き
『ベガ』は、このゲームで最強キャラクターとされています。し
かし、問題となるのは、ここでもやはりゲーマーの技量です。
いくら優れたキャラクターでも、操っているゲーマーが弱ければど
うにもならないことはこれまで紹介してきた通りです。力が互角に
してはじめて、キャラクターの力の差がでて来るわけです。ラウン
ド1、ファイトーゲームセンターに合成音声が再び響きました。開
始早々『ベガ』はサイコクラッシャーの大技を出してきました。ど
りゅどりゅどりゅー
擬音をひらがなで書くとあほみたいですが、ほかに表現のしよう
がありません。擬音とともに空中をよことびに飛んでくる『ベガ』。
知人Rは『ごりら男』を後方にジャンプさせて蹴り落とします。
手慣れたものでした。『ベガ』の使い手がやったことといったら、
この開始いきなりのサイコクラッシャー。これをかけただけでした。
蹴り落されてからは、まったく『ごりら男』のなすがままです。
2ラウンド目は、さらに悲惨でした。抵抗のすべもなくコーナー
に追い詰められ、とどめを刺される『ベガ』。最強の名が泣きます。
ダブルニープレスも悪投げさえも、自慢の破壊的な技を繰り出す暇
もない、あっけない敗北です。
この瞬間。ついについにゲーマーを10人撃破達成。
ふらりと入ってきた道場破り=知人Rが、ついに10人のゲーマ
ーを破りました。周囲のゲーマーたちは、まるで看板を奪われた、
間抜けな道場師範のように放心していました。誰も11人目の席に
つこうというものがいません。
『こいつには勝てない』
誰しも挑戦する意欲を無くすほど、知人Rは抜群の強さを見せつ
けたのでした。Rの完勝です。
面接までいくらも時間がありません。10人抜きをひとつの区切
りにして、会社への道に一歩を踏み出そうとしたときでした。
ゲームセンターに入ってきたばかりの、小学生が100円だまを
握り締めて席につき、Rとの対戦機械に、その貴重な小遣いを投入
したのです。小学生の中には確かに強いゲーマーはいます。
いますが、彼らには『知恵』がない。悲しいかな多くの小学生ゲ
ーマーは単に反射神経に優れているだけで、駆引きを知りません。
あほ丸だして手数で勝負するのが小学生ゲーマーの特徴です。
そのことを知ってかどうか。周囲の見物人の輪が解けました。み
んなめいめいに自分のゲームをはじめる気になったのでしょう。結
果が知れている知人Rと無知な小学生ゲーマーとの対戦など、誰も
興味が沸かないという訳なのでしょうか。
面接試験の行きがけの駄賃とばかりに、知人Rは、この挑戦を受
けて立ちました。11人目。もう、面接の時間まで余裕がありませ
んから、勝っても負けてもこれが一応の最後の勝負です。
小学生ゲーマーはキャラクターの中から『サガット』を選択しま
した。
(以下次回)