#2654/3137 空中分解2
★タイトル (AKM ) 93/ 1/ 8 23:20 (100)
続続続▼聖戦の道▼ 激激激突10対2の巻 ワクロー3
★内容
続続続【聖戦の道】 激激激突10対2の巻
正しいことも時として、正しくないことに敗れることもあります。
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短気な友人Pは当然として、のんきな僕もこりゃ怒ります。大渋
滞のおおもとを作った、工事のおっさんたち。迂回路の看板も出さ
なければ、交通誘導もしていないままに、この険悪な事態を引き起
こしてしまった、工事のおっさんたち。
7台もの『やむなき一方通行違反車両』の方に、頭をさげさげや
ってきたのは良かったが、その後が不愉快千万でした。
僕らにも頭下げてくれれば、それはそれで納得したかも知れませ
ん。なにしろ日本人というものは『体面のためには死を厭わない』
というのが、徳川300年支配のもとから、しみついた民族です。
僕らとてその例外ではありません。
僕も友人Pももともとは、武家の家系とは無関係ではありますが、
この場合、こころは江戸時代です。武家です。公の面前で大義をま
っとうしようとしているにも関わらず逆に大恥をかかされている、
という動かしがたい気持ちがあります。無礼者は斬る。これです。
それでなおのこと、腹をたて、工事のおっさんに食ってかかりま
した。
けれども、僕らがいかに大義を主張しても、現実というのはそれ
はそれでものすごいものなのです。いちばん初めはタクシー運転手
に無礼があったかもしれない。はたまた、工事のおっさんに許しが
たい手落ちがあったかしれない。なるほど、悪いのは全部相手のほ
うです。
ところが現実はどうか。
『道路交通法の厳正な適用』と『無礼な態度への私憤』を盾に、
車7台を相手にして、かたくなに道を開けない頑迷な馬鹿ども。
これが、大義のために立った僕ら二人に着せられた現実でした。
主張すればするほど、自分らの正当性をわめけばわめくだけ、話
はおかしな方向へとのめりこんでゆきます。
このころになると、どの運転手も僕らの回りを取り囲むようにし
ています。そして僕らの主張を聞くだけ聞いてしまうと、じんわり
と反撃を開始しました。
『んじゃ、どげんすればよかとね。うちらがみんな下がればよか
とか』
『ばからしか。最初は腹がたったかしらんが、どげんしてもはじ
まらんやろうもん。そんなら、あやまりゃよかとね』
『あやまらな、いかせんとね』
『運転手さん、あやまらないかんとげな』
『あやまりゃよかとやな』
(そそそ そげな問題やないっちゃけどなー。そう迫られると根
が善良な僕らはちとひるんだのであります。第一もーめんどう。少
なくとも僕らが大義を全うしようとしたことによって、一定の時間、
彼らに時間のロスを背負わせた。そのことだけでもよしとしよう)
あやまらないかんとね−攻撃。これはけっこう効いたのでありま
あやまらないかんとね。この言葉をですね、多少の愁いを含んで、
僕らがひそかに待ちこがれていた『友軍』。これが今ごろになっ
一方通行の道順をたどってきた』その車が、今ごろになってやっと
一台、僕らの車の後ろに到着したのです。
到着した『援軍』は、ベンツ560SEL。高い車です。高級車
です。意味不明なまま盲目に言葉を選びますと、これはとっても偉
い車です。一方通行のこんな狭い道になんぞ、世が世ならば招待し
ても来ていただける車ではございません。それがわざわざ(
らの背後から、強力な機甲師団が救援に到着したようなものでした。
このベンツ560SELの運転手がどうでたのか。それは、長くな
ったので次回に譲ることにします。
(以下次回)