#2622/3137 空中分解2
★タイトル (ZBF ) 92/12/29 3:49 ( 23)
昔話「髭鬼(18禁)」 久作
★内容
昔 をのこ ありたり (をのこ とは へのこ 持ちたる子ぞ いふ)
父母 困窮の狭間に をのこに振り袖 小袖 晴ケ間敷物 着せ換え 弄び
馴れにし閨(ねや)の 慰めと 為す
をのこ 或る夜 蚊帳の外にて 母の雁が音吹かせらるるを聞き 腹立ちて いはく
唐土(からくに)の蕎麦たぶを 我に知らせじ あな 憎し
をのこ 喚き泣き走り出ず 夜明けて 帰らず
母 取りぃ乱し 探し歩く 皮こうぶりの男に会いて 尋ぬ 男 答へていふ
先に 河童に連れらるを見る 草庵の主ならん
母 尋ね歩き 草庵見つけ出だししが 戸を閉ざし 呼ばわりても こたへなし
板壁の高き ひと処 毀つるを見つけ 這い入たり 梁をまたぎて 下を窺ふ
河童の男の 将に をのこに及ばんとするを 見いだし
あわてふためき ドウとばかりに 河童の顔にぞ股を開きて落つ
河童の男 うむ と呻きて気を失ふ 母 をのこ連れて 逃ぐ
ほどなく 河童の男 起きて言ふやう
朱(あか)き大口 髭面 臭き息 はてさて 髭鬼ならん
あなや 稚児の何処にか消ゆる さては 髭鬼に食われたるか
河童の男 をのこを え忘れずして 出家し 菩提を弔いたるとや
(了)