AWC 掲示板(BBS)最高傑作集23


        
#2597/3137 空中分解2
★タイトル (KCF     )  92/12/26  16: 1  (175)
掲示板(BBS)最高傑作集23
★内容

 みなさん、こんにちわ。掲示板(BBS)最高傑作集1〜22をご覧になっ
ていただけたでしょうか。今回はその続きとなります。以下の作品は私が10
月31日に掲示板に登録したものです。

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仮設トイレの話  [10/31]
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  みなさん、こんにちわ。ノーベル文学賞ノミネートの知らせがまだ来ないフ
ヒハです。今回は、仮設トイレについて話をしたいと思います。仮設トイレと
いうのは、常時そこにはなく、一時的に混雑が予想される場所に設置されるト
イレです。正月、お盆時の高速道路のサービスエリア、イベント会場、スポー
ツ施設など一時的に多くの人が集中する場所に仮設トイレは設置されます。私
はあれでひどい目にあったことがあるので、今回みなさんに聞いてもらおうと
思います。
  数年前に私は、千葉県の桜というところで毎年開かれる桜マラソン大会に参
加しました。調子が良かったのでいいタイムで走れそうだといい気分になって
いたのですが、レース開始寸前に、私は腹のぐあいが急に悪くなり仮設トイレ
に駆け込んだのです。スタートが近づき緊張するため、腹の調子が悪くなると
いう人は多いらしく、スタート10分前にトイレに駆け込む人がけっこういま
した。私は一杯になってはまずいと、ダッシュで1つのトイレに向い、ドアを
開けました。中には黄色と黒の縞の入った派手なランニングシャツを着た中年
のおやじが用を足してました。私はびっくりして、「鍵かけてくださいよ。」
と言うと、その人は「鍵がこわれててかからねーんだよ。」と怒り始めました。
私はむっとして、「だったらそんなとこ入らなきゃいいだろ。」とおやじに怒
鳴ってやりました。おやじはさすがに用を足しながら喧嘩をするという離れ技
を行うことはできず、あきらめてすなおにドアを閉めました。私はスタートが
近づいていたため、急いで他のトイレを探しました。しかしすべて使用中なの
です。まずいと不安になり、あるトイレの前で待っていたところ、さっきのお
やじが一番早く出てきたのです。おやじは真っ赤な顔をし、私をにらみつけ、
今にも殴りかからんばかりでした。険悪なムードになりましたが、もうマラソ
ンのスタート約6分前だったので、おやじはスタート地点に急ぎ、事なきをえ
ました。やがてスタート5分前というアナウンスが聞こえたのですが、おやじ
が出ていった鍵の壊れたトイレしか空いていないのです。私は漏れそうだった
のでしかたなく、そのトイレに入り、用を足すことにしました。しかし、さあ
始めようとする瞬間、必ず誰かがドアを開けてしまうのです。もちろん開けら
れないようドアを両手で引いているのですが、相手もスタート時間が近づいて
いるため焦りがあり、ノックをして確認するようなことはせず、いきなりおも
いっきり開けてしまうのです。私は、「鍵がこわれてるんだよ。」とさっきの
おやじとまったく同じことを言って弁解すると、相手も必ず「だったら入んな
きゃいいだろ」とこれまた私がさっきおやじに言ったのと同じことを言うので
す。こんな状態だから落ち着いて用など足せるわけがありません。こうして私
は、両手でトイレのドアを力いっぱい引っ張りながら、しゃがんだ状態でマラ
ソンのスタートを告げるピストルの音を聞いたのです。
  スタ−トしてからはさすがに誰も私の入ったトイレのドアを開ける者はおら
ず、また、私も開き直っていたため落ち着いて用を足すことが出来ました。3
分あまり遅れたスタートとなりましたが、参加者があまりに多かったため、ま
だスタートしていない人もたくさんいました。しばらく走ると、見覚えのある
黄色と黒のランニングシャツが目に入ってきました。これはいかんと思い、し
ばらくはそのおやじを追い越すことはせず、おやじの後ろ約30メートルくら
いの所で走ってました。そのおやじのペースというのがめちゃめちゃで、急に
速くなったり、歩くくらいのスピードに落ちたり、追走するのが大変でした。
やがてこれでは、4時間の時間制限中に完走できないと判断し、道幅が広くな
ったところで、おやじの反対側を走り、気付かれないよう一気に追い抜きまし
た。私は2時間45分を目標にして、千葉県の桜に乗り込んだのですが、スタ
ート時のアクシデントと、とんでもないペースメーカーのおかげで、そんなタ
イムはとても無理になり、こんなとこ来なきゃよかったと走りながら悔やみ続
けました。
  30キロ地点では、沿道の人がバナナを配ってました。私は、普段のロード
レースでは絶対に何もとらないのですが、タイム的にもまったく希望が持てな
いレースになったので、ピクニック気分でバナナをとり、歩きながら食べまし
た。食べ終わった後は、とっととゴールに戻り、すぐ東京に帰ろうと走りだし
ました。35キロ地点を過ぎてから数分後、また腹の調子がおかしくなりまし
た。あのバナナは食べてるときは気にしなかったのですが、かなりいたんでい
て、黒かったのです。しかし、ラッキーなことに公園が目の前にあり、奥に公
衆便所があったのです。しかも、誰も入ってなく、トイレットペーパーまでつ
いており、いたれりつくせりのトイレでした。すぐに用を足し、水を流しトイ
レから出ようとしたのですが、しゃがんだ状態から立ち上がるとなぜか、もっ
としたい気持ちになるのです。こんなわけで、水を流しては、再びしゃがみ用
を足し、また水を流すというように同じことをえんえんと繰り返していました。
このようなことを20分くらい行っていると、外がやけに騒がしいことに気付
きました。ドアの隙間から外を見ると、10人くらいのマラソンランナーが列
を作ってトイレが空くのを待っているのです。そして、な、な、なんと、怒り
の列の先頭は、黄色と黒のランニングシャツを着たあのおやじなのです。
  冷汗がどーと流れ、排便の欲求が一発で消え失せました。やがて、あのおや
じの「いつまで入ってるんだ。みんな待ってるんだぞ。」というどなり声が聞
こえ、ドアをガンガン叩き始めたのです。ここでもし私が素直にトイレから出
たら、あのおやじは、「また、おまえか!」と怒鳴り、私に殴りかかることで
しょう。そしてもし私が「さっきはあなたが入っていて、私がドアを開けてし
まったのだから、「また、おまえか!」というのは文法的に誤りです。」など
と言おうものなら、おやじの怒りは頂点に達し、私の髪の毛をつかみ、私の額
を便器の「金かくし」におもいっきりたたきつけたことでしょう。この絶体絶
命の危機を救ってくれたのはやはり私の冷静な判断力でした。ドアの反対側の
トイレの壁と天井の間は50センチほど開いていて、ここを通って外へ直接出
ることが出来るのです。私はすばやく壁をよじ登り、50センチの隙間をする
りと抜け、公衆便所の外へ出ることができました。隙間から飛び降りるときに、
左足の爪先がわずかに壁に引っかかり、足より顔面の方がほんのすこし早く着
地してしまい、額を切ってしまったのですが、顔面を便器にたたきつけられて
の流血ではないので自尊心を損なうことはありませんでした。
  私は逃げるようにして、マラソンコースに戻ったのですが、数分後にトイレ
のことが気になり、再び公衆便所に戻りました。気になったというより、10
人もの人が誰もいないトイレに並んで待っているという愚かな風景を観賞する
ために戻ったのです。どうせ、今ごろは列は15人ほどにまで延びているはず
で、私はその列の最後に並んで被害者ぶって、とくに一番前にいるあのおやじ
の怒りを第3者の立場からとくと楽しんでやろうと思いました。
  ところが、さっきは公衆便所の外まで列が続いていたのに、私が戻った時に
は誰も並んでいないのです。そんなー。10分の間に10人以上の人間が用を
足すことは理論的に不可能なはずです。2人ずつ前後にしゃがんで同時に用を
足したとしても、10分で5組以上はきついのです。1度に3人ずつというウ
ルトラCの場合は、時間的には可能ですが、一番後ろの人の腰は便器外です。
そうか。3人ごとに1回水を流したんだな。公衆便所研究の権威とまで言われ
た私は、この謎をいとも簡単に解いてしまったのです。
  しかし、実際はどうも違うようでした。ドアがなかったのです。そして、ド
アがあるはずの位置には、誰かが我慢しきれずに漏らしたことを如実に証明す
る証拠が広がっていました。でも、列を作って並んでいた人はどこへ行ってし
まったのでしょうか。彼らはトイレのドアがないので外からまる見えなためト
イレを利用するのをあきらめたのか、あるいは黄色と黒のランニングシャツの
おやじが我慢しきれずドアの前で達してしまい、みんな雲の巣を散らすように
逃げていったのかは定かではありません。私は公衆便所内を探しましたがドア
は見つかりませんでした。おかしい。私は何か嫌な予感がしました。そして、
公園内をくまなく探し、ついに公衆便所の裏で、無惨な姿で横たわるドアを見
つけました。
  ドアはまっぷたつに折られ、数カ所に穴が開いていました。その穴の一つに
は、黄色と黒の切れ端がからまっており、わずかに血痕も見られます。鍵は鋼
鉄でできているにもかかわらず、あたかもユリゲラーが万力とハンマーを使っ
て曲げたかのように曲がっていました。私が公衆便所から逃げた後、何が起こ
ったのかは知りませんが、おそらく次のような事が公衆便所で展開されたので
しょう。
  私が逃げた直後、黄色と黒のランニングシャツのおやじが我慢できなくなり、
「早く出ろ、バカヤロー」と怒鳴りながらドアをガンガン叩きました。返事が
まったくないので、激怒したおやじは勢いをつけてドアに体当りし、肩を脱臼
して救急車で病院に運ばれました。おやじの次に並んでいた人は、肩を脱臼す
るのが嫌だったため、トイレのドアに膝蹴りをお見舞いして、半月盤損傷の全
治6ヶ月と病院で診断されました。その人の後ろに並んでいた人は頭がよかっ
たため、ドアを開けるために自分の体をドアにぶつけて体を痛めてしまうよう
な愚かな事はせず、公園の中に落ちていた鉄パイプを拾いに行きます。しかし、
トイレに帰ってきたときは、並んでいた人々が1人ずつ前につめてしまってい
たため、しかたなく列の最後尾に並びます。次の人は、一人ではダメだと悟り、
後ろに並んでいる2人と協力して3人で体当りすることにしました。3人は5
メートルほどドアから離れ、勢いをつけてドアに突っ込みました。さすがにこ
れは効果があり、ほとんどドアが開きかけたのです。しかし鍵は壊れるまでい
かず、まだドアを開けることができません。みんなはドアが開きかかったこと
に注目してしまい気付かなかったのですが、協力を頼まれ、ドアに体当りした
二人はやっぱり肩の脱臼、半月盤の損傷で苦しんでました。2人に協力を頼ん
だ人は、ドアに体当りする時、頭から突っ込んだのはいいのですが、ぶつかる
寸前に2人に押され、ドアに頭をぶつけることはできず、隣の大理石の壁に頭
を激突させてしまい、意識不明の重体だそうです。3人とも前の二人を運んだ
のと同じ病院に救急車で運ばれていきました。次に並んでいたのは外人でした。
どっかで見たことあるなあと思ったらなんとユリゲラーでした。彼は待ってま
したとばかりに、たまたま持っていた万力とハンマーでドアをねじ曲げ、つい
にトイレのドアが開いたのです。ユリゲラーの後ろに並んでいた人はおもしろ
くありません。なぜなら、彼は何かあったときのためにチェーンソウ(電気の
こぎり)を手に持ってマラソンに参加していたからです。こんな絶好の機会を
ふいにされ、怒った彼は、ユリゲラーをチェーンソウで切り刻んでやろうとし
ましたが、相手が外人なので恐いから、遠慮して、この怒りを便器の中に流し
忘れた汚物にぶつけたのです。すなわち、チェーンソウのスイッチを入れ、不
気味な音を立てて回転するの刃を汚物に押し当てたのです。当然、汚物は飛び
散り、大部分はチェーンソウの操作者に降り掛かったのですが、一部はドアの
あったところの床に広がりました。彼は、15回目のマラソンで初めてチェー
ンソウを実際に活用することができ、満足の笑みを浮かべてマラソンコ−スに
戻って行きました。しかし、彼の後ろに並んでいた人は面白くありません。そ
の人は、空手5段、柔道4段、そろばん3級の腕前で、自分の順番を指折り数
えてではなく、そろばんの玉をはじいて待っていたからです。彼は当然この怒
りをトイレのドアにぶつけたのです。彼はドアを無惨な姿にしてしまった後、
自分がやったとばれて、マラソンの表彰台に上がれなくなったら大変だと、黄
色と黒の布をドアに引っかけて、あの黄色と黒のランニングシャツのおやじの
せいにしようとしたのです。この人は残り5キロ地点で3時間半以上かかって
いるのにまだ3位以内に入るつもりですが、もう表彰式はとっくに終わってい
るはずです。私は、ただただ呆れるばかりですが、責任を黄色と黒のランニン
グシャツを着たおやじになすりつけようとした点については賛成です。
  これはあくまで現場からみた私の想像ですので、このようなことが起こらな
かったかもしれませんし、このとおりのことが起こったかもしれません。

○コメント
ある方から、よくわからないメールをいただきました。「大きなマラソン大会で
は、有名選手が生理現象にも負けずに最後まで完走して、関係者から絶賛される
ことがありました。私の参加したマラソンでは、無名選手が性の欲求を満たしな
がら最後まで完走し、関係者は警察から厳重注意されていました。」有名選手が
どのような状態で走り続けたかは想像がつきますが、無名選手は何をしながら走
り続けたのでしょうか。


これで終わりです。掲示板(BBS)最高傑作集24をお楽しみに。





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