#2560/3137 空中分解2
★タイトル (JHM ) 92/12/19 6:19 ( 48)
《血の出る様な》
★内容
最近、やたらと赤い血の吹き出るオカルト映画・ホラー映画の類が一部で流
行している様ですが、「血の出る様な」出来事というのは決して尋常一様では
ないものです。オカルト映画のオカルトとは英語の" occult "、即ち「隠れた」
「眼に見えぬ」が元々の意味であり、" occult blood "「潜血」といいますと、
尿や便中に肉眼では認識できない程度の血液が混入している事をいいます。
(かつて某大学食堂では、肉が血眼的にも認められぬ" occult meat "カレー
が有名でした。)眼で見ただけで出血だと分かる場合は「肉眼的出血」と呼び
「潜血」とは区別いたします。
尿に血液が混入する「血尿」の場合、尿路(腎臓で尿が生成されてから尿道
の出口に至る道筋)のどこかで出血している訳であります。原因として、悪性
腫瘍・結石・炎症・外傷等が挙げられます。腫瘍の組織は脆く崩れ易いが故に、
結石はその機械的な血管損傷によって出血をきたします。最近、40才そこそ
こで膀胱ガンが原因にて亡くなられた某男優氏。検診にて「尿潜血」陽性と指
摘をされていたのを放置。排尿困難などが発現してから受診し検査したところ、
膀胱内は「血の海」で、既に「手遅れ」であった、という事であります。特に
疾病の存在が認められない、顕微鏡的な僅かな血尿(腎臓よりの微量出血)の
場合も多いのですが、陽性の場合には、即刻に受診するべきでしょう。
便の場合、肉眼的に血液の混入が認められる場合を「血便」、肉眼では不明
の場合には「便潜血」と呼び、大量か小量かの違いこそありますが、何れにし
ても、消化管のどこかで出血している訳です(時には「鼻血を飲み込んだ」と
いう場合もあります)。主な原因として、悪性腫瘍(胃ガン・食道ガン・大腸
ガン)、大腸ポリープ、胃十二指腸潰瘍、などがあります。出血してから排出
までに長い時間が経過している場合には血液が変化を受け「黒い便」となりま
す。その量が約300ml以上と多量の場合にはアスファルトの様に粘凋な
「タール便」となります。出血は、常に持続しているとは限りません。「気ま
ぐれ」に断続する出血の場合も多く、また、便のほんの一部をサンプリングし
て検査する訳ですから、一日分だけの「便潜血」検査が陰性だからといって安
心はできません。通常は、3日間程度連続して採取した便について検査をしま
す。
女性の場合の「不正出血(接触出血)」は子宮ガンの重要徴候です。「下着
が茶色く汚れる」以前に気がつく事が肝要です。子宮ガン検診で行なわれる
「細胞診」の普及により、「肉眼的出血」にて発見される「進行ガン」は激減
いたしました。
かつて、「血の小便を流し」刻苦勉励する事が美徳とされた時代がございま
した。しかし、合理的に体調を管理し、能力を最大限に発揮する方が優れてい
る事に気がつく方が増え、「夜の宴会」より昼の「パワー・ランチ」にて商談
を進める向きも見られる様になりました。疾病を「血の出る」前に「発見」す
る事よりも、生活習慣の改善により疾病自体の「発生を抑制」する「一次予防」
の考え方も、力を増してまいりました。何れにしても、「血の出る」程に頑張
る「出血大サービス」を自慢にする、というのは前述の男優氏の如くにあまり
感心しない事であるようであります。