AWC ●連載パソ通小説『権力の陰謀』 9.組織化


        
#2507/3137 空中分解2
★タイトル (CKG     )  92/12/11  15:49  ( 70)
●連載パソ通小説『権力の陰謀』 9.組織化
★内容

 信一が大気汚染課に移ってからも苛めは続き、次第に組織化して行った。 最初の頃
はある部下が「課長が(お前を)救ったからね」と本来信一が辞めさせられるところを
若山課長が救ったという意味のことを言っていた。 課長が「お前、あれがなかったら
ね」とあたかも何か辞めさせる理由があったかのようにも言っていた。
 課長が席にいると絶えず信一を陥れようと皆に聞こえる程の声で圧力を掛けた。
「咳払いやれよ」、「要領覚えないとね」、「訓練だからね」等、信一に訓練と思わせ
て持ち上げておいて、後で「そんなに人が良くて管理職になれると思うか」、「俺がそ
の役買って出たからね(信一を辞めさせる役)」、「悔しかったら矢でも鉄砲でも持っ
て来い」等で、今度は落とすという揺さぶり先方をとる。 すると他の職員が「課長、
試されているからね」と言うこともあった。 つまり、うまく信一を辞めさせたら出世
が期待されるのだ。 そして部下はその協力をする。 また、「もう1回揺れ戻しがあ
るからね」とか「次の衝撃に備えろよ」とかの言葉で、信一が訓練と思って気を良くし
ているところから急に落とす。 それから「我慢強くなれば大丈夫だろう」と、こうし
て苛めることで我慢強くなり勤まるようになると、また、今度は訓練と思わせた。 ま
た「お前のお手柄でね。 お前が(前の和田係長を)助けたからね」ということも言っ
ていた。(差別村から出られたからか、解消されたのかは不明だが) 最初はこのよう
な手口で苛められていた。 信一はもう前の職場の苛めで疲れ切っていたので、疲労の
色が次第に濃くなり、身体は痩せていった。 次第に苛め方もエスカレートして、また
、隣の測定部の連中も加わり、段々エスカレートして行った。

   明けそうで明けない梅雨のように、私は再び闇の中へ突き落とされた。 あたか
  も、今朝晴れていた空が昼頃には曇りから雨になったように。 金曜日はこの間の
  試験に合格したという噂をたてておいて、今日は一気に不合格の噂を立てた。 立
  ち直ろう立ち直ろうとしている私をめった打ちにしたのだ。 私への苛めが組織的
  に行われたのだ。 まるで誰かの指示によって動かされているかのように。 課と
  他の部の連中が噂を流すのだ。 また帰りの車中でも誰かが私を悩ませる言葉を発
  していた。
             (昭和49年7月22日月曜)


   若山課長は午前中は好意的な笑いを時々しながら私をほめた。 私の政治意識が
  高まったことや、法律が良く分かることなどを。 そして、非常に人が良さそうに
  して、皆私のために、私に政治意識を持たせて、要領を植え付けて、大人にしてや
  るために苛めてきたと言うような意味のことを。 そして来年の4月から5等級に
  してやるという噂を流した。 課長や他の人はやはりいい人なんだと思い直した。
   ところが午後になって事態は一変した。 「馬鹿野郎。5等級なんかになるか、
  当たり前だ」と急に冷たい声の響きに変えて、呟いた。 そして「そんなに俺がお
  人好しと思うか。 そんなに人が良くて偉くなれたと思うか。」と私を急に崖から
  突き落としたのだった。 私は非常にショックだった。 私は午後中ほとんど涙に
  濡れたのだった。
             (昭和49年10月19日土曜)

   朝から良く晴れたひやっとした風の吹く、いわゆる秋晴れの一日でだった。 し
  かし、私は深刻であった。 昨日からの研修で田町へ通ったが、今日も苛めがあっ
  たからだ。 いつも私の傷をかきむしる言葉を言う南田がその役であった。 最近
  の私への暴力は奴によることが多くなった。 今日もそのために心暗くした。 そ
  の上、今日の講師の桧山副主幹は抗議中「前の3人(大気汚染課の)は大気拡散式
  については良く知っていますが・・・」とその次の列にいる私を無視した。 何で
  もないその言葉に私は酷く傷つけられた。 真剣に聞き入っていた私の心に突然苦
  悩が始まった。 その上、彼は私が休憩時間に教室を出る時に「お前に言うと思う
  か。」と南田の顔を見ながら意地悪く呟いた。 南田はニヤニヤしながら喜んでい
  た。 とにかく、言葉では言い表せない無数の圧力が、私に襲いかかってくるのだ
  。 私はそれ以後心が暗く沈んで、段々その講義から心が離れて行ったのだった。
   そして今、私は新らためて私の身に起こっていることが何なのかを突き止めた。
   最近再び激化した苛め。 それは私を辞めさせるためだった。 計画係長の吉田
  が9月頃「今度は辞めさせるためのあれだ。」と言ったのは脅かしではなく、本当
  だったのだ。 そして、それ以後私への苛めはあらゆる所で行われた。 出勤の車
  中で、職場で、昼休み外でと。 帰りの買い物先では「あんまりフラフラすると為
  にならないぞ。」と言って威圧した。 そして、こうして尾行して分かったことを
  若山課長に報告し、課長がそれを種にまた苛めるのだ。 とにかく、連中は私の想
  像を遥かに越えた悪どさで、私に圧力を掛け続けているのだ。 私は時間が経過す
  るとともに、連中の悪徳が次々に明らかになり本当にびっくりしている。 入都早
  々のその他公害課での驚きどころではなく、帝都は官僚主義集団のとてつもない悪
  の温床だったのである。 思いやりがないとか、冷たいとか、そんなに生易しいも
  のではなく、正に悪そのものだったのである。・・・
             (昭和49年10月24日木曜)

 信一はとてつもないストレスと苦悩のため眠れない夜もあり、いよいよ心身ともに衰
弱して行った。 それでもどうにか耐えて勤務を続けた。




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