AWC 《フランチャイズの犬》切り口 その2       カラオケ救


        
#2497/3137 空中分解2
★タイトル (JHM     )  92/12/11   7:15  ( 79)
《フランチャイズの犬》切り口 その2       カラオケ救
★内容


 12月に入ると、まだ随分早いというのに「クリスマス」の音楽が街には満ち溢れ、
店頭の飾り付けも、すっかりその気分になってしまう。アッシー君だの貢君だの、散々
良い様に使われた男達も、一年の総決算だと刃を振るう季節になった。

 「メリー・コロシマス!」

活動写真・無声映画の昔から変わらない。人間そんなに醒めてはいられない。そんな処
へ「野暮は言いっこ無しだわな」と小股の切れ上がった姉さんか、それとも、やり手婆
ぁのおばさんが忘八者を従えては飛び出してきて、仲人口で経済原理の法則を一気にま
くしたてては、馬鹿な男に蹴りを一発入れて、それで全てはオシマイなのだ。水戸黄門
のステロタイプをば誰が責められよう。そんな事は、全て御見通し。

 「しょうがないじゃん」

という感じで醒めてしまった男が随分増えた。どこかしこの周りには、仁・義・礼・智
・忠・信・孝・悌の8つを忘れた忘八者が溢れているのかもしれない。

 今年は、三高にも、森高にも縁の無い私にも、何とか歳は越せそうな気がしている。
慎ましやかなボーナスが出るとコンビニのプリペイドカードを2万円程買おう。会社の
帰りに、暖かいオデンでも買って帰ろう。

 最近このあたりでも、髪ボウボウに伸ばした、俗に「レゲェ・オジサン」と呼ばれる
類のオジサンの事をしばしば見かけた。取り合えずの家賃が払えるかどうかを思い出さ
せて、私を心配にさせるホームレスのオジサンである。

 「神様、迷える子羊を御救い下さい・・・」

神に祈ったとて、それはそれは、か細い蜘蛛の糸に過ぎないのではないかい。例により

 「男はみんな『おぉ神』よ〜」

なんて事になるだけでね。

 最近、長谷川きよしのアルバムを見かけない。しこたま酔っ払うと彼の歌が出る私で
ある。カラオケには「黒の舟歌」「別れのサンバ」くらいしか無い。私のお気に入りは
「愛の終りのサンバ」なのである。出だしは、カーニバルの祭の後を歌う。

 「消え行くサンバ〜 帰る人・・・祭の時は過ぎ〜 ・・・・」

という感じである。紙屑ばかりが落ちている、午前0時過ぎの街。会社の宴会の帰りに
家までをトボトボと歩く時くらいは、若干の問題はあるが高歌放吟が許されても良い、
と考える私である。

 そんな、とある金曜の夜に、その「レゲェおじさん」を見かけた。暗い道すがらなの
で、ごく近くに寄るまでは、そうだとは気がつかなかった。そして、それが、その見納
めであったのだ。

 次の日の朝、凍死した遺体でみつかった「レゲェおじさん」の側には、何故だかわか
らないけれど(私は良くは知らないのだが)、イケムという御酒の瓶が空っぽになって
置いてあったとの事だ。想像するに、中身の入った瓶を見つけ、これ幸いに封を開け、
無謀にも、グビグビと飲み干すのだ。

 「もう、寝るろ」

 何処の方言だか知らないが、そう言うとゴロリと横になる。カラカラの空腹には、
アルコールは毒だ。咽越しに通り過ぎただけで気が遠くなって、暗黒へと沈んだ。風
は冷たく吹き荒び、体表の毛細血管が開いた男の体は、あっという間に冷えきる。

 「寝るな〜」

と言って揺り起こしてくれる人もいない。野良犬が側で「クゥン」と悲しそうな声で
なく。だが動く筈もない。満天の星が輝いている。寒冷放射現象は体温を急速に奪う。
「寝るろ」と言って眠りに落ちた「寝るろ」オジサンは天に召されていったのだろう。

 花の金曜の晩は丁度土曜の朝へ向かっている。幸せ一杯のカップル達は、一体何をば
執り行っている最中であろうか?昔懐かしい童話の世界にでも浸っているに違い無い。
ベルギーのその地方も、今はきびしい冬である。飽食の時代のクリスマス。

  We're gloomy of a fat Christmass ~~~~~

  With every Christmass fat we've got ~~~~~

 太る前に予防するか、太ってから痩せる様に頑張るか、どちらが良いのだろう。一旦
太った方がグルメも流行する余地があるし、ダイエットも流行して商売繁盛。無駄な金
を使った方が、経済活動は盛んになる訳である。そんなこんなで、マッチポンプが世に
溢れて、歳も今しも暮れんとしている。





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