#2433/3137 空中分解2
★タイトル (TEM ) 92/12/ 4 21:46 ( 27)
『乗り継ぎ駅にて』 うちだ
★内容
友人Aの家は電車を2本も乗り継いで、1時間もかかる。彼女の家は海のそ
ば。途中の乗り継ぎの駅、ホームで次の電車を待ってたのは背広着た中年と、
派手ななりしてギター抱えた私と、浮浪者おやじ。適当に距離をとって立って
いた、私たちの均衡を破ったのは浮浪者風おやじ。おやじは背広中年に近寄っ
てうだうだうだと話かける。それも私に聞こえるように、だ。
「なっ、なあ。あの女(私のことだ)あんたの愛人かぁ?なあっ」
「違いますよぉ」逃げ腰の背広中年。
あーよいよい、私のことをネタにしようと構わないからこっちへ来ないでくれ、
浮浪者おやじー。派手ななりしてても案外私は気が弱い。
がしかし、逃げまくりの背広中年に飽いた浮浪者はターゲットを変えてこっち
に来る。えーん。
「よおよお、ねーちゃん」
「・・・は?」怖いからつい笑顔になっている私って、ちょっと情けない。
浮浪者おやじは汚い鞄をごそごそっとさばくると、大きなカメラを取り出した。
ポラロイドカメラだった。
「写真とってやらぁ」パシャ。
プルプルと写真を振って乾かす浮浪者おやじ。
なんてやっている間に電車がやって来た。わーお・3分待たないと画面が出て
こないんだね、ポラロイド写真て。でも電車は1時間に1本しかないんだよ。
「うーん、もちょっと時間かかるな」
浮浪者おやじはまだ画の出ない写真をホームのベンチの背もたれに置くと、電
車に乗り込んだ。私も背広中年も同じ電車に乗り込んだ。もちろんそれぞれ違
う車両にね。
駅のホームのベンチに、派手なカッコした童顔の女がピースしているポラロイ
ド写真が置いてあったら、そいつは私だよ。