#1998/3137 空中分解2
★タイトル (NKG ) 92/ 7/30 21:47 ( 43)
ラヴコメディは突然に>「月の光に導かれ」 らいと・ひる
★内容
その日は、とっても月がきれいだったの。
「こんな日は、月の光に導かれて天使が舞い降りてくるんだぜ」なんて、あいつが普
段は言い慣れないようなセリフを言うから、わたし思わず笑っちゃったわ。
そしたらあいつ、いつものようにふざけないで、いきなりマジな顔でわたしのこと
見つめるんだもん。思わず、胸がキュンと音をたてて鳴ったわ。擬音なんかじゃない、
胸が締め付けられるみたいに本当にキュンと鳴ったのよ。
それからは、あいつペースにはまっちゃって、わたしは何も言えずにただうろたえ
るだけ。恥ずかしいくらい、けなげになってしまって、もう一人のわたしが心の奥底
で笑い転げていたわ。思い出すだけでも赤面モノよ。
思考回路はめちゃくちゃ、脳みそはパニック状態。
こんな時こそ、なんか言わなくちゃいけないのに、わたしは口をぱくぱくさせるだ
け。わたしゃ、金魚か?って…
でも、あいつは、そんなわたしを優しく見つめて肩を抱いてくれていた。今考える
と、よくあいつのこと突き飛ばさなかったなぁ、って不思議な感じる。
ほんと、普段のわたしはどこにいったのだろうって。
それでもって、わたしがおマヌケな顔してぼぉーっとしてると、あいつの顔がだん
だん近づいてくるの。
最初はパニック状態だったから、何がなんだかわからなかったんだけど、あいつの
唇がわたしの唇に触れようとした瞬間に、それが「キス」だってわかったんだ。
だけど、その瞬間にセーブされていた普段の「わたし」が現れちゃって、思わず顔
をそらしちゃったの。
それだけならいいんだけど、普段のわたしがそれで黙っているわけがない。
「わたしの唇を勝手に奪うなんて許せない」
あいつはきょとんとわたしを見つめていた……と思う。
だって、わたしの言葉はそこで終わったわけじゃないんだもん。
その時のわたしの頭の中といや、照れの裏返しで大ウケを狙うことしか考えてなかっ
たのよ。
少々オーバー気味のアクションで腕を交差し、
「月に代わって、おしおきよ!」
あいつは笑い転げていた。
しかし…せっかくのチャンスに、わたしゃ何をやっとおるんや?!
月夜の晩のおマヌケな話でした。
(了)