AWC 問題小説:岩佐由美子、汚された白衣(前編)   弾 正


        
#1898/3137 空中分解2
★タイトル (TAA     )  92/ 6/28   8:37  (157)
問題小説:岩佐由美子、汚された白衣(前編)   弾 正
★内容

       岩佐由美子、汚された白衣

        〜欲望と快楽の果て〜


 1.金目当てに先生ヒっかける悪いオンナ

 岩佐由美子は去年の春、ハッタリ看護専門学校を卒業し、天国病院に見習い看護婦
として入った。彼女の勤務態度はきわめて優秀であり、加えて抜群のルックスと、と
ろけるような色っぽい声で、患者(特に男性)のみなさんの評判もすこぶるよかった。
 ある患者などは露骨に、
「由美ちゃん、頼むわ。退院したら一発やらせたってぇな!」
「何をいってるのですか。バカなこといわないでください」
「それやったら、わしここに寝てるさかい、今から口でやったってぇな!」
「うーん。しょうがないわねぇ」
「ああ、ええなぁ。天国や。うっ!」
 岩佐由美子は口で満足させてあげた。「そんなアホな? これポルノ小説か?」と
驚かれている読者諸君は、どうぞ気持ちを抑えていただきたい。決してこの物語は
「制服FUCK・看護婦編」や「女医・****の変態病院」、「淫乱・白衣の天使、
もうがまんできない!」のような下賎なものではない。どうぞ、落ちついて読み進め
ていただきたい。
 なぜ、岩佐由美子はそんなことまでやるのか? 彼女が日本古来の伝統楽器の吹き
方を学ぼうとしているのでないことだけは確かである。実は彼女には、大いなる野望
があった。
 彼女は元来、お金持ちの、カッコイイ、そして背の高い男が大好きであった。特に
彼女が結婚の最重要項目に指定したのは「お金」である。
 読者諸君は、もうおわかりであろう。彼女は評判をよくして、院長・天国昇先生を
密かに狙っていたのだ。天国昇は現在34歳。ダンディーな男だった。加えて背も高
い。彼が28歳の時、先代の天国郁男院長が急死し、以来彼がこの病院のオーナー兼
院長だった。財力はいうまでもないだろう。
 ところがここに一つ問題があった。天国昇はすでに、結婚をしているのである。去
年の6月に式を挙げていた。しかし唯一の救いは、今年に入って二人が別居中だとい
うことであった。
 ある日、天国昇に誘われたバーで岩佐由美子は別居について聞いた。加えて天国昇
は美人ですらりとした、知的で患者の評判もいい岩佐由美子に気があるそぶりを見せ
たのである。
 岩佐由美子は「好機到来」「天祐は我にあり」とばかりにほほえみ、天国昇の手に
自分の手を重ねたのであった。その瞬間、天国昇は一瞬驚いた顔をしたが、すぐにき
つく握りかえしてきた。彼女の心の中は「トラ!トラ!トラ! 我奇襲攻撃成功せり」
と、含み笑いを隠せなかった。
 その夜、天国昇は岩佐由美子を抱いた。


 2.タダでうまい汁すすろとする甘い考え

 あの日の夜以来、岩佐由美子と天国昇は毎晩のように待ち合わせてホテルに通った。
もちろん、誰にも内緒である。
「あいつとは別れる。オレと一緒になってくれ。なあ、由美子。オレはもうあいつの
顔も見たないんや。君とずっとこうしていたいわ」
 彼は寝るたびにそう言って岩佐由美子を喜ばせた。事実、天国昇は弁護士に相談に
行っていた。
「ほんま? それやったら一つお願いがあるのよ。私ね、小さなお店を開きたいんや
けど、お金が足りないのよ。出して頂戴なんて、いわへんから、保証人になってほし
いの」
「なんぼや?」
「とりあえず街の金融機関から1500万。いい物件があるんよ。あなたやったら、
絶対に貸してくれるから」
「そうか。・・・君のためや断られへんやろ?」
「ああ、ありがとう。愛してるわ」
 岩佐由美子はもはや有頂天になっていた。そしてある日、彼女は自分の体に異変が
起こっていることに気がついた。
「まさか・・・」
 そのまさかであった。彼女は妊娠していたのである。
 ある日、彼女は妊娠の事実を天国昇に話した。
「えっ! それ、ほんまか?」
「なんでそんないやな声出すの? もっと喜んでくれへんの」
 彼女は、天国昇のうれしさとかけ離れた口調が意外だった。
「いや、そんなことはないけど。しかし、今はマズイわ。知っての通り、今の女房と
別れる最中やし、今回は堕ろしてくれへんか? なあ、頼むわ」
「・・・わかった。今回はそうする。でも、ほんまに結婚してくれるんやね?」
「ああ、もちろんや。オレが愛してるのはおまえだけや。あいつとはキッパリ別れる
からな」
 そういう彼の言葉を信じて、元々子どもの余り好きでない彼女は数日後、隣町の産
婦人科を訪ねて中絶手術を受けたのだった。
 そのころからである、天国昇が彼女を避けはじめたのは。彼女が誘っても「忙しい」
の一点張りで付き合おうとしなかった。ある日彼女は、同僚にショッキングな聞かさ
れたのである。
「ねえ。院長先生、奥さんと仲直りしたんですって。奥さんに子どもができているこ
とがわかって、院長先生が奥さんにもどってほしいって頼んだそうよ」
 そういう、同僚の声がだんだん遠のいて行くのを岩佐由美子は感じていた。


 3.悪いオンナは、とことんヤル

 岩佐由美子は、院長室を訪ねてことの真意を天国昇に確かめた。
「聞いたんか。・・・そうや、子どもができたんや。悪いけど君とはもうおわりにし
たいんや。頼むから身引いてくれ」
「そんな! 勝手やないの。結婚してくれる言うたやないの! 私をだましたん?」
「だますもだまさんも、君も結婚してる男と知ってて付き合ったんやろ。お互い様や
ないか?」
「・・・ふざけんといて! 私は中絶までしたんよ。あんたか堕ろして言うたからや
ないの!」
 感情的になっていく岩佐由美子にたいして、天国昇は落ち着き払って、
「そんなこと言うてもなぁ。誰の子どもか証拠もないやろ? まあ、ここは穏便に片
づけようやないの。50万払う。それでどうや?」
「そんな! あんまりやわ」
「なに言うとんのや。おまえには1500万の保証人になってやったやないか。あれ
はおろさしてもらうで」
「ひどい! ・・・わかったわ。奥さんに言いつけたる。私との関係洗いざらい奥さ
んに言いつけたるから!」
 さすがにそうまで言われると天国昇も、
「ちょっと、待ったぁ!」
「なにが、ちょっと待ったぁ、よ? ねるとんやないんよ。誰が待つもんですか」
「それは困る。50万払う言うとんや。それで我慢してくれ」
「うるさいわね。結婚してくれへんいうなら、ええわよ。たったの50万? ふざけ
んといて! 弁護士に頼んでもっとふんだくってやるから!」
 そう捨てぜりふを残して、真っ青な顔をしている天国昇を残して、岩佐由美子は院
長室を出た。
 岩佐由美子は病院を早退すると、悪知恵弁護士事務所を訪れた。
「先生! なんで、そんなこというんですか? 被害者は私ですよ」
「まあ、ちょっと落ちついてください。確かに、あなたには気の毒や思います。しか
し、もともと天国さんは奥さんがいて、あなたとの結婚の約束をなしえる立場ではあ
りませんでしたから、婚約不履行は成立しません。あくまでも婚約と言うのは、婚約
できる立場の人、つまり結婚していない人ができることです。したがってあなたと天
国さんの関係はいくら約束や肉体関係があっても婚約とはみなされません。慰謝料の
請求も無理です。」
「でも、詐欺やないですか。結婚してやるいうたんですから。それに中絶までしてる
んですよ」
「結婚詐欺と言うのは、あくまでも結婚を名目に金品をだまし取ったとか、肉体を要
求したとかいう場合に成立する犯罪です。あなたの場合は、肉体関係を持った後です
し、天国さんに詐欺罪を立証することはまず不可能です。
 それから、あなたが妊娠して、その子が天国さんの子どもだと言うことを誰が証明
できます? あなたは、天国との関係を誰かに話しましたか?」
「そんなことしません。彼には奥さんがいはるんやし。・・・」
「そうでしょう。と、いうことはあなたと天国さんが関係あったということさえ、証
明できるものは何一つないわけです。それに。・・・これは言いにくいことですが、
あなたの落ち度も非常に大きいと言うほかありません。妻ある男性と知りつつ肉体関
係を持ち、最初はむしろあなたの方が積極的だったということから考えますと、肉体
をもてあそばれたという不法行為による損害賠償の請求も認められないでしょう」
 岩佐由美子は愕然とした。「お昼の電話110番」などのテレビ電話相談を聞いて
いると、女性は慰謝料をもらって当たり前、と思っていたのに余りに違う話だった。
「こうなったら、奥さんに洗いざらいぶちまけたるから!」
 彼女は天国の邸宅を訪れました。
「なんですって! あの人が、あなたと。・・・まさか」
 案の定、天国鬼子は岩佐由美子の話しを聞くと真っ青になった。そして、すぐに席
をたって隣室にかけ込んだ。岩佐由美子は一人ほくそえんで、天国鬼子の後を追いま
した。
「奥さん。お話はまだあるのよ」
 天国鬼子は大粒の涙を流して泣きじゃくった。
「ものは相談ですけど。・・・奥さんあの人と別れません? あの人は私と結婚した
い言うてました」
 岩佐由美子は天国鬼子の状態から、さらに押しを続けた。
「それに私、中絶までしたんですよ」
 天国鬼子は、その場に倒れ伏してもう岩佐由美子の声に耳を貸そうとはしなかった。
最後に岩佐由美子は、
「まあ、よくお考えください。でも、あなたもかわいそうな人ね」
と、捨てぜりふを残して去った。

 次の日、岩佐由美子は同僚の看護婦や患者達に天国昇が不倫をしているらしいと、
ふれ回ったのである。こういうフライデー・フォーカスネタはすぐに広がるものだ。
やがては近所近隣にも広がるだろう。
「ふふふ。これくらい当然よ。あいつのしたことに比べたら。・・・」
 そして彼女は病院を退職して小さな飲食店をはじめたのである。

  <以下、後編>





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