AWC まちのネズミといなかのネズミ やまもも


        
#1871/3137 空中分解2
★タイトル (LYJ     )  92/ 6/26  18:58  ( 57)
まちのネズミといなかのネズミ やまもも
★内容

 まちのネズミのモンティーがいなかのネズミのアブナーのところに遊びに行
くことになりました。彼らはパソコン通信で知り合った仲で、アブナーがモン
ティーをいなかの家に招待したのです。いなかの駅では、アブナーが「モンテ
ィーさん歓迎」と書いた紙を手に掲げて待っていてくれました。だが、モンテ
ィーを迎えたのはアブナーだけではありませんでした。驚いたことに、アブナ
ーの両親や兄弟姉妹までが迎えに来ていたんです。いえいえ、それだけではあ
りません。なんと、彼の兄や姉たちの奥さん、旦那さんたちまでが来ていまし
た。あっ、それから、彼らの子供達もたくさん来ていて、周りでわいわいがや
がや賑やかに走り回っていましたよ。簡単な挨拶が終った後、ネズミたちは
みんなででナガーイ行列を作ってゾロゾロとアブナーの家に向かいました。

 アブナーの家は駅から歩いてすぐ近くでした。二階建てで、大きなバルコニ
ーとたくさんの出窓のあるとっても大きな白い外壁のモダンな家でした。最近
建て替えたばかりだそうです。夕方から、大きな広間で歓迎の宴が催されまし
た。この宴には、アブナー家の親類縁者たちが大勢列席していました。アブナ
ーのお爺さんの長い挨拶の後、さらに延々と列席者たちの紹介が続きました。
その後、やっと食事が始まりました。お膳の料理はいろいろ盛りだくさんなん
ですが、残念なことにいなか独特のものといえるようなものは見あたりません
でした。アブナーの話だと、これらの料理は出前専門のお店から頼んだものな
んだそうです。その店は、モンティーも知っている全国チェーン店でした。

 宴もたけなわになると、アブナーの親類達がつぎつぎとモンティーのところ
にお銚子を持って挨拶にやって来ました。彼らはみんな、まちのことをとても
聞きたい様子でした。天子様の住んでおられる立派な御殿のこと、シティタワ
ーや高層ビルなどのこと、大きな大きなビッグドームのこと…。モンティーは
どんどん酒を注がれてかなり酔いが回って来ましたから、調子にのってほらを
吹きまくりました。モンティーが有名なテレビタレントの名前を列挙して、み
んな彼の友達だよと言ったときには、、いなかのネズミたちは目をまんまるく
して驚きました。モンティーは調子に乗って、週刊誌などから仕入れた有名タ
レントの裏話をさも自分が見てきたかのように話まくりました。いなかのネズ
ミたちはますます目をまるくして彼の話に聞き入りました。

 歓迎の宴は彼のまちの話を肴にしてとっても賑やかに盛り上がりました。カ
ラオケも始まりましたよ。モンティーも歌いました。歌は、勿論、「ちゃんち
きおけさ」です。なかには、手品なんかの隠し芸をやったり、踊りを披露する
者も出てきました。みんな大いにしゃべりました、食べました。食べました、
歌いました。歌いました、飲みました。飲みました、笑いました。宴会は夜を
徹して楽しく賑やかに続けられました。

 モンテイーはアブナーのところに1週間ほど滞在しましたが、その間、いな
かのあちこちを案内してもらいました。近くの温泉に行って、そこのホテルに
1泊したりもしました。そのホテルは全国チェーンの近代的な施設を誇ってい
ました。全国チェーンのレストランで食事もしましたよ。全国チェーンの大き
なスーパーで買物もしましたよ。全国チェーンの美術館、いや、いなかの町が
建てた美術館も案内してもらいました。セラミック製造工場の見学までありま
した。アブナーはとっても張り切っていろんなところを案内しました。ところ
がどうしたことか、肝心のモンティーはなんだか浮かない顔をしていました。
きっと体の調子が悪かったんでしょうかね。

 大歓迎を受けたモンティーは、お礼にアブナーをまちに招待しました。まち
に行ったアブナーが1週間ほどして帰ってきました。みんながまちの様子を聞
きました。アブナーがニコニコして答えました。いゃー、よかったよ。彼はま
ちの賑やかな様子や立派な建物のことなどをとくとくと話しました。そして最
後に言いました。「モンティーの住んでるアパートの部屋はとても狭かったけ
れど、でも環境はとてもよかったよ。なんたって犬、猫お断りだもんね」。





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