AWC リレーQ>ブッシュ大統領殺人事件(34) ふみ


        
#1869/3137 空中分解2
★タイトル (AFD     )  92/ 6/25  18:32  ( 51)
リレーQ>ブッシュ大統領殺人事件(34) ふみ
★内容

 スヌヌを思い出してしまったので、ここで『スヌヌ物語』を書きたいという誘惑を
抑えることはできない。ブッシュ大統領首席補佐官(前回の特別補佐官は誤り)スヌ
ヌ氏の一家の物語である。

 スヌヌ氏の家系はアイダホ州の土着インディアンの1部族「ヌヌ族」にまで遡る。

 アイダホ州におけるインディアンと白人との闘争史においては、1866年に起こ
ったいわゆる「スネーク戦争」が名高い。ネズ・パース族の酋長ジョゼフが、当時の
連邦政府軍と土地の所有権を巡って闘った戦争である。

同年6月ジョゼフは州西部のホワイトバード・キャニオンでアメリカ軍を破ったが、
大量のアメリカ軍に太刀打ち出来ないと悟り、部下を引き連れて1600キロ以上も
退却し、4カ月後にカナダ国境付近で降伏した。その後、彼らはワシントン州のイン
ディアン居留地で暮らすハメになった。

ネズ・パース族は18の支族からなる大部族で、ヌヌ族はその支族の1つであった。
スネーク戦争における敗北は、1万余のネズ・パース族の人々の胸に悲しみと共に深
く刻みこまれ、130年後の今日まで「屈辱の歴史」として語り継がれている。今だ
にワシントン州の居留地で暮らす彼らには、アイダホ州の先祖伝来の土地に帰る日が
来ない限り「スネーク戦争」は終わらないのである。

  さてこの「屈辱の歴史」は、スヌヌ一家にはやや屈折した形で伝承されている。スヌヌ氏の曾祖父アンダラ・ヌヌは、「スネーク戦争」の当時ヌヌ族の青年であった。
彼は酋長ジョゼフのもとアメリカ兵と勇敢に闘ったが、形勢が不利となって退却する
と決まった晩、こっそりネズ・パース族の砦を抜け出し、アメリカ軍の陣地に駆け込
んだのである。そして英語は喋れなかったものの、身振り手振りでネズ・パース族の
動静をアメリカ兵に伝えた。この情報により、アメリカ軍は最も効果的に部隊を展開
し、予想外に早く闘いに勝利することができたのである。

アンダラ・ヌヌはアメリカ政府から功労勲章を授与され、アメリカ国内のどこでも自
由に居住できる権利を与えられた。彼は東海岸に移り、その地で白人女性と結婚し、
今日のスヌヌ家の礎を築いた。

このアンダラ・ヌヌの「裏切り」は、当然ネズ・パース族の中でのヌヌ族の立場を極
めて悪いものにした。裏切り者を出した部族として、いわば「村八分」の処分を受け
その差別待遇は現在のワシントン州の居留地内でも歴然として残っている。

当然ヌヌ族のアンダラ・ヌヌに向ける目は厳しくなる。ヌヌ族の酋長は、アンダラに
「ヌヌ」の名を名乗ることを許さず、代わりに部族語で「非」を意味する「ス」を頭
につけて「スヌヌ」と名乗るように命じた。つまり「スヌヌ」とは「非ヌヌ」という
意味である。アンダラはこれを受け入れ、スヌヌを一家の姓とした。このことからア
ンダラが自分の裏切り行為に多少とも呵責を感じていたことが推測できる。

さて100余年を経た後、スヌヌ家に極めて優秀な子供が誕生した。彼は名門大学を
優等で卒業して政治家となり、遂には大統領首席補佐官の地位まで登りつめた。この
スヌヌ氏は子供のころ、祖母から一家の歴史を聞かされるたびに、裏切り者の烙印を
押された先祖を怨み、くやしさに涙を流した。しかし祖母は孫が祖先の悪口を言うと
決まってこう言うのだった。

     「だけどねぇお前、スヌヌもヌヌもヌヌのうちなんだよ」   (続く)




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