#1806/3137 空中分解2
★タイトル (HBJ ) 92/ 6/15 20:18 ( 52)
リレーQ>ブッシュ大統領殺人事件(19)<疲れたコウ
★内容
その頃、一番最初のシーンで、新聞を読んでいた女は、地下鉄の吊革に捕まって、新聞を読んでいた。
新聞を読んでいたが、読んでいなかった。
つまり、女は、不満だったのだ。
「どうして、誰も、私の名前を考えてくれないのかしら?」と女は考えた。
「それにしても、さっきから、私の腰に手をあてているのはだあれ?」
女の腰にあてられた手は、地下鉄の揺れにあわせて、尻の割れ目へと進む。
更には、お股のビラビラへと進んでいく。
思わず、女は、ため息混じりに呟いた。
「気持ちエエェェェェ・・・・」
第一回目のオルガスムの寸前、地下鉄が、ガクンと揺れた。
クリトリスを揉み揉みしていた手は、ずるりと、股間をすり抜けて、女のヘソの前で、グー・チョキ・パーしている。
「痴漢じゃあああああ!」と、ぼろ雑巾を引き裂く様な悲鳴。
女は、グー・チョキ・パーしている手を掴むと、高々と持ち上げて、庶民大衆に訴えた。「みなさん、この人は痴漢です。警察を呼んで下さーい!」
「俺じゃねえ」と男は言った。
「何よ、変態、男の癖にマニュキュアなんてぬっちゃって」と女は、力いっぱい、男の手首を握りしめた。
「俺じゃねえよお」と男は、グー・チョキ・パーを続けながら、言った。
「俺じゃねえ、本当だ、それに、あんただって、相当濡れていたじゃねえか」
「失礼な!」と、女は更に、マニュキュア男の手首を締め上げた。
「いてえ、いてえじゃねえか。俺じゃねえんだ」
「じゃあ、誰だって言うの?」
「今は言えねえ、だけれども、知ってる」
「誰なの?」
「言えねえ」
「言わないと、こうよ!」と女は、更に、手首を締め上げる。
マニュキュア男の手は、すっかりうっ血してしまっていて、すでに、グー・チョキ・パーは続けられない。
「いてえ、いてえよお」
「言わないと、もっと痛い目にあうわよ」
「わかった、わかった、じゃあ、ヒントだけ」
「ヒント?」
「ヒントはこれだ」と言って、マニュキュア男は、自由な左手で、右手を指差した。
紫色の右手は、チョキが抜けて、グーとパーを繰り返している。
「何よ、それ」と女。
「グーとパーだ」
「グーとパー?」
「グーとパーで、クーパーだ」
「何よ、それ」
地下鉄が止まって、ドアが開いて、構内アナウンス。
「アメリカ大使館前、アメリカ大使館前、そんな駅は無いと思うかも知れないけれども、アメリカ大使館前」
マニュキュア男は、女をふりほどくと、ホームに向かった。
「あばよ!」
「ちょっと待って、犯人は誰なの?」
「あいつだ!」と、マニュキュアの人差し指がさしたのは、
ネイビーブルーのウインドブレイカーを着た、背の高い白人男性だった。
ウインドブレイカーの背中には、大きく『FBI』と刺繍してあった。
「捕まえろ!」と、庶民大衆は、白人に襲いかかった。
(つづく)