#1805/3137 空中分解2
★タイトル (LYJ ) 92/ 6/15 20:15 ( 65)
小噺「人面魚」 やまもも
★内容
遊 遊遊遊さん、ゐんばさん、歓迎のお言葉と拙文「木花開耶姫」へのコメ
ントをありがとうございました。
遊 遊遊遊さんが、「桜島の噴火くらいの力強さが欲しい」と批評してくだ
さってますね。これは、作品の表現・内容ともに平凡で、読者の心に強く訴え
るものがない、インパクトが弱いってことなんでしょうね。今後、大空高く舞
い上がる桜島の噴煙を眺めながら、さらに一層修業を積みたいと思います。
ゐんばさんが、「もしかしてやまももさん落語ファンではありません?(ち
なみに長い文はぶちぶち切った方がもっとそれっぽくなります)」とおっしゃ
っておられますね。大ファンというほどではありませんが、私が物心がついた
頃に耳に入ってきたものの一つがラジオの落語中継でした。テレビなどまだ庶
民には高嶺の花のその時代、私の周囲の大人達はラジオの落語をとても楽しみ
にしており、笑い転げて聞いておりました。そんなことから、幼い私には分か
らないことも多かったんですが、それでも結構楽しんで落語を聞いておりまし
た。
それから、私の文章はともすると各センテンスが長くなってしまい、まるで
愚妻の長電話のようにペチャクチャとりとめもないものになったり、フワフワ
浮かんで漂い流れる金魚の糞のようにだらしなくずんだれたものになってしま
うという悪しき傾向があるようなんですが、こら駄目だぞ、気をつけろと何度
も自分自身に厳しく注意するんですが、どうもなかなか改まらず、これもまあ
我が豚児たちのいたずらと同じ様なもの、そう簡単に直せるもんじゃないとい
まは半ば諦めの境地に到っております。
それで、今日は「人面魚」という小噺を一席やることにいたします。なお、
この小噺は古典落語の「猫の皿」が元ネタです。
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ある道具屋さん、なにか掘出し物はないかと、田舎の方をまわっております
と、道端で一人の爺さんが鉢に金魚を泳がせて売っているのに出会いました。
その鉢が絵高麗の梅鉢の皿で、三百両以上の値打ちもの……。「うーん、これ
はすごい掘出し物だぞ。しかし、この爺さん、金魚を入れて売っているところ
をみると、この鉢の値打ちを知らないな。しめしめ……」ってんで、道具屋は
爺さんに声をかけることにしました。
「爺さん、この金魚はいくらするんだい。なんだって、三両だって。こんな
金魚一匹にそりゃ高すぎるぜ。えっ、これは人面魚だって。別にそうは見えな
いぜ。なに、頭の上に白い模様があるだろうって。うん、あるある。それが人
の顔の形をしているだろうって。うーん、まあそう言われたらそんな感じもす
るかなー。しかし、鼻も目も口もないぜ。なに、目をつむって誰か知ってる人
を心に思い浮かべ、それから目を開けて、金魚の頭の白い模様をじっと見てみ
なさいだって。」
道具屋は、それでは物は試しと、目をつむってまず遊 遊遊遊さんのことを
思い浮かべたんですな。そして、金魚の頭の白い模様を見ると、なんと立川談
志師匠が年取って横丁のご隠居のようななりをしながら両腕を組んでいる姿が
浮かんで来ました。うーんと感心して、また目をつむり、今度はゐんばさんの
ことを思ったら、眼にサングラスをかけ、口を大きく開けて笑っている30才
前後のハンサムな男性の顔が浮かび出て来ました。
うーん、たいしたもんですね。それで道具屋はそれなりに納得し、この人面
魚を買うことにいたしました。「じゃー、どうだい爺さん、この鉢も一緒にし
て四両で買おうじゃないか。えっ、この鉢は売れない、あっちの鉢に金魚を入
れて持ち帰ってくれだって。いいじゃないか、こんな鉢ぐらい」。そしたら爺
さんが言うんですね。「こんな鉢っておっしゃいますけどね、これは絵高麗の
梅鉢でして、二百や三百両はする大変な値打ちものなんですよ」。
爺さん、梅鉢の値打ちを知っていたんですね。それで、道具屋は不審に思っ
て聞きました。「ふーん、でもどうしてそんな高価な鉢に金魚を入れて売って
るんだい」。そうしたら、爺さんが言いました。「はい、そこなんですよ。い
えね、この鉢に金魚を入れて人面魚として三両で売りますとね、本当にこれは
人面魚だと驚いて高い金で買ってくれる人がときどきいるんですよ、はい」。