AWC リレーQ>ブッシュ大統領殺人事件(14) ゐんば


        
#1799/3137 空中分解2
★タイトル (GVB     )  92/ 6/14  19:32  ( 40)
リレーQ>ブッシュ大統領殺人事件(14) ゐんば
★内容

「いやあ、でもブッシュ大統領が日本で死んでたらえらい騒ぎでしたねえ」
 日本たばこ産業の廊下では、杉野森弥三郎市場調査課長が営業部長の松本喜三
郎と談笑していた。
「はいちょっとごめんなすって」バケツを持った掃除夫と、モップを持った掃除
夫が喜三郎の足元を磨いている。
「それこそ日米戦争になりかねんからな」
「そんなんなったらうちなんか大変ですよ。英語がご法度ともなりゃ」
「新発売柔らか七、ってか」
「ははは」
 二人が笑いながら歩いて行った後、掃除夫たちが窓のところに駆け寄った。
「あれだな」
 向かいの建物を見て二人はうなずき合った。

 前の日の夜、海野と砂堂はジョドーから虎ノ門病院に侵入する方法の説明を受
けていた。
「病院なんだからあ、見舞い客のふりすりゃ簡単に入れるんじゃないの」
 海野がいうとジョドーは顔を横に振った。
「だめだめ。ブッシュ大統領と会う予定のある日本人にはアメリカ大使館の厳重
な監視がついてるわ。特にジャッカルは一度顔を見られているし」
「ジャッカルっつーと……あ、俺か」
「ええい、自分の暗号名くらい覚えとかんかい」
「それでね」ジョドーは地図を広げた。
「ちょっと危険だけど、隣の建物から侵入することにしたの」
 二人は地図を覗きこんだ。虎ノ門病院の隣には、「日本たばこ産業」と書かれ
ていた。
「なるほどねえ……JTか……」砂堂がつぶやく。
「ち、ちょっと待って、これ結構離れてるじゃない。こんなもんどうやって」
 ジョドーは黙ってロープを取りだした。
「ね、ね、JTよりこっちのビルの方が近いんじゃない、これ」
 海野は虎ノ門病院のもう片方の隣を指さした。ジョドーは黙ってそこに書いて
ある文字をなぞった。
『大蔵省印刷局』と書かれてある。
 がっくりする海野にジョドーが畳み掛けた。
「決行は明日。それまでにこのマニュアルをよく読んでてね」

 さて日本たばこ産業。掃除夫になりすました海野と砂堂は窓をあけ、向かいの
虎ノ門病院をにらみつけていた。
(やっぱ結構遠いわ……)
                              (続く)




前のメッセージ 次のメッセージ 
「空中分解2」一覧 佐野祭の作品 佐野祭のホームページ
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE