#1792/3137 空中分解2
★タイトル (AFD ) 92/ 6/13 10:45 ( 42)
リレーQ>ブッシュ大統領殺人事件(11) ふみ
★内容
砂堂はノートパソコンをしまうと、チャイナドレスの女の後を追おうと立上がった。
海野は慌てて砂堂の背広の裾を引っ張った。
「ちょっと待てよ。その『ブラック・ジャンプ』だけどさ。俺まだ詳しい話を聞いて
いないぜ。おまえに仲間にならないかと誘われた時は、ヤングジャンプの愛読者クラ
ブみたいなもんだろうと軽く考えていたんだ。だけど何だかヤバい組織みたいだな」
「心配いらん。俺を信用してくれ。うまくいけば何億のカネが手に入るんだ」
紫色のチャイナドレスの女はカウンターの一番奥に座っていた。砂堂はその隣のイス
に腰を降ろし、少し遅れて海野が砂堂の隣に座った。砂堂は一呼吸おいてから小声で
女に言った。
「・・・わたしのラバさん」
女は驚いて振り向いた。ビーズのイヤリングが揺れて微かな音を立てた。ミニチュア
人形のような精巧な造りの顔の中の薄い眉毛が少し釣れ上がった。砂堂はゆっくり繰
り返した。
「わ・た・し・の・ラ・バ・さ・ん」
「オホホホ。『酋長の娘』。合言葉ね。いきなりだったんで驚いたわ」
「私『影』です。こちらは『ジャッカル』。よろしく」
「わたしジョドーです。ジョドー・パッカリング」
ジョドーは手を差し出して握手を求めた。ドレスと同じ紫のマニキュアが光っている
指を海野が握るとパウンドケーキの様な感触がした。
「今度の作戦は大変よ。覚悟してね。じゃ早速私のアジトへいらして」
女は立上がるとスタスタと出口へ歩いていった。男2人は後に続いた。店の中には嘉
門達夫の「替え歌メドレー」が鳴り響き、何だかよく分からない集団は相変わらずバ
カ騒ぎをしていた。店の隅のテーブルで、1人の男がカウンターのほうをじっと見て
いた。彼はジョドーと男2人が出ていくのを見届けると、背広の内ポケットからマイ
クロカセットレコーダーを取り出した。そしてマイクに口を寄せて言った。
「タイアン。今6月13日午後4時。ジョドーが男2人を連れて『喫茶RR』を出て
いった。これから後を追う。ところでこの店の『うなぎパイ』は最悪だ。食うんじゃ
なかった」 (続く)