#1770/3137 空中分解2
★タイトル (ZQG ) 92/ 6/ 6 4:17 (147)
マレーシアは暑かった。(4) 【惑星人奈宇】
★内容
−−−−− ペナン二日目 −−−−−
宇見は夜明けの7時に起きた。マレーシアの夜明けは7時であり日没は午後7時だ。
日本に居る感覚からすると少し変に感じるけど、要するに一時間早く天文学的時刻より
現実は進んでいるのである。
外は ??? 外は・・・あれっ 雨がしとしと降っている。
あはっはあ これでは・・・ これでは今日どうしようかなあ! 何処に行こうか!
予想外の雨降りに宇見は当惑してしまった。
でも待てよ ここはマレーシアだ きっとすぐに雨降りが上がるに違い無いと思い
出発の準備に取り掛かった。 昨日ボーイが持ってきた水は美味しいなあ。
昨日街角で買ったバナナを食べながら水を飲んで空腹を満たした。
このバナナ 昨日ペナン・ヒルからの帰り道に路端で店を開いているおばさんから
買ったのだが、これ幾らかと聞くと 「ちゅが」と答えた。これは当然英語の「ツ」
つまり 二ドルだと解釈し5ドル札を渡した。ところがお釣りを見てびっくり2ドル
しか無かった。おばさんにこれは二ドルでは無いのかと言うと、これは3ドルだと
言われてしまった。 そなのだ マレシア語の3は ”TIGA”即ちチガなのだ。
でもこのバナナ結構美味しい。とても日本では見れない程太っていて栄養満点に思
える。
チェックアウトを済まし、傘をさして街に出た。
成る程 道路には誰も歩いていない! 勿論銀行は休み、それにバスも動いて居ない
ナショナル・ホリデだからなあ! コムタ近くに行っても誰も居ない !
全く静かな雨降り観光の始まりであった。昨日昼食を食べた食堂もまだ開店して居な
かった。もう少しホテルでゆっくりしていたら良かったかなと反省しながらうろうろ
していると、何処かから人が現れたがちらっと見過ごし、「多分大丈夫だろう」何事
も順調に予定どおりに進むだろうと独り合点をしてコムタの入口の方へ足を向けた。
宇見の手元には40ドルくらいしか無かった。何処かで両替してバス汽車泊り賃など
を作らなくては成らない。コムタは多分10時位に成れば開店するだろうし、それ程
気にすることでは無い。でも観光案内書にはスコールは昼にあると書いてあったから、
まさか朝から雨降りだなんて予想外の出来事であった。雨さえ降っていなければ近くの
寺院とか観光施設を見学するのになあ! これではここでボケッとして居るしか方法が
無い。
当然まだドアは開かれていなかった。 途方にくれてコムタ前の段の所に行き、近
くに落ちていた紙袋を拾ってきてこの上に腰を降ろしてぼおっとして居た。暫くする
とガードマンらしき人が歩いてきたので開店は何時かと聞いてみた。
開店は10時 それに今日はホリデだから一部の店しか営業しないと教えてくれた。
仕方がない 10時まで待つしか方法がない。
何と言ってもここは観光地 ペナン! 9時半頃に成ると所々から人が現れ、バスも
少しづつ動き始めた。
それにしても昨日の夜は凄い混雑だったなあ !
ペナン・ヒルから降りるとき、あまりに乗客が多くてケーブルカーに乗るのに1時間
程も待ってたからなあ それに降りてからも凄い混雑でなかなかバスに乗れなかった。
やっと何とかバスに乗れて「やれやれこれで安心だ」と思うや否や、今度は道路が人
と自動車で混雑していてバスは先に進めないのだった。宇見は疲れてバスの中でへとへ
とに成ってむんむんする暑さに酔ってしまったのだった。中国系の女性だと思うが
ぺちゃくちゃと騒々しく更に若者だったからあちこちに移動しがちでそのカン高い声
が宇見の頭にキンギンと響くのであった。宇見は疲れていたから「静かにしろ」と言
ってやりたい程だった。バスの中で辛抱強く座席の手摺に手を置きながら夕食を何処
で食べようかなあなんてことをぼんやり考えていると、バスの前方から歓声が聞こえ
て来たのである。バスが少しずつ前進し祭りの行列の辺りに差し掛かった。
ペナンの若者達はハリ・ラヤ・プアサを祝って道路一杯に御輿のようなものを
担いで踊りながら奇声かと思えるような唄を歌っていたのだ。
あの時はほんとに迷惑やなあと思ったけど、あの時短慮的にバスから降りて歩いて
帰らなかったからほんとに良かった。 降りて歩いたら大変なことに成っていただ
ろうからなあ あの時乗客の2割位はバスののろのろ進行を我慢出来ずに降りたの
であった。
取り留めの無いことを思い浮かべたりしているうちに開店の10時に成った。
まず先に両替をしてと考えコムタ内に入って行った。 インド人の経営する両替商
の所に行ったがまだ始まっていなかった。遅くても11時には開店するよ何て教えて
くれる人も居たのでコムタ内の店を見て回ることにした。食堂に入る気にも成れず
書店に入った。書物は全部英語がマレー語 殆んど理解不可能だ! 疎らな客に混
じって子供ような絵本を見るのも気が引けて本屋から出ることにした。あちこちぶ
らぶらと歩き回ったり適当な箇所に腰をかけたりしながら11時に成るのを待った。
ちよっと便所に行くとしよう ! トイレの入口に行くと管理人が居た。9時半
頃利用した時には管理人が居なくて無料で利用できたのに、何だ今日はホリデなの
にこのおばさん頑張っているやあ ! おばさんに20セントを支払って中に入っ
た。
11時になって両替商のところに行ったが、まだ開店されていなかった。
ああああ どうしよう これは困ってしまった! 今日はハリ・ラヤ・プアサ
ホリデなのだ。 あっそだ 思い出した 大事なことを忘れていた。確か三階の
何処かにツリスト・インホメーションがあったのだ。まずそこに行って尋ねてみる
のが順序と言うものだと気づき、若いお姉さんに尋ねた。両替はコムタの展望階に
あってエレベタから降りて右に行った最初のカウンターだと教えてくれた。
雨は奇麗に上がりペナンは観光客で賑わってきた。もう少しで12時だ。
宇見は今から観光と言うわけにも行かず近くで食事を終えてタクシ乗り場に行った。
タクシの運転手は「フェリ乗り場なんて近くには行かない クアラルンプールとか
シンカポールになら行くけど・・・」と言うでは有りませんか。宇見はびっくりし
てしまって「でもこれはタクシでしょう!」って運転手に言うと、「いや これは
タクシでは無くてハイヤだ」と言うでは有りませんか。 おおおおう あははは
でもこの自動車の屋根にタクシと書かれてあるではありませんかと言おうかと思
ったが、少し考えた後抗議することを諦めてバス乗り場に向かった。宇見としては
今日中にクアラルンプルに戻り、明日一杯を観光に使用し明後日早朝の出国に備え
ようと計画していたのであった。
バスを利用してのフエリ乗り場までの運賃は30セントで有った。あっあはあ
これでは昼食を二回食べられるでは有りませんか思い、フェリ乗り場近くの屋台で
果物、とうもろこしを買い ”コーンウォーリス要塞 ” に向かって歩くことに
した。要塞までは近い筈なのだけど、歩くとかなり遠く感じそのうちに汗が出てき
て途中で歩くことに自信が無くなり引き返そうかと思ったりした。
するとここにも、やっぱり自分同じような観光客が存在するのでした。自分の前を
中年の男性が疲れた足取りで歩いていたので、「やあああ こんにちわ」と声をかけ
てみました。私はクアラルンプルから旅行に来ていて、そろそろ自家用船でクラン港
に帰ろうかと思っているのだと言った。船と言うと ホバークラフト船か あるいは
???何でしょう。ああー!それはホバークラフトで時速120キロメートル位なら
楽らくだ。
ひゃあああ それは凄いですね 一度乗ってみたいですよ。 君は船が好きなのか?
船は運転が下手だと転覆の可能性が有るんだ! だから他人には乗ることを勧めない
んだよう。それで転覆したことが有るんですか? まさか転覆したことは有りませ
んよ。 そですか安心しました。 えっ? あはははははは。
要塞の有る所は公園に成っていて、前面には果てしなく広がる海があった。
海岸では釣りをしている人や家族連れなどの行楽客で賑わっていた。
私写真を撮りたいと思っているんですけどシャッタを押していただけませんかと
彼に言うと、あああ いいとも お安い御用ですと彼は言った。ではあそこの大き
な花の咲いている木の所で頼みます。写真を撮った後、彼は「それでえー!あなた
今日クアラルンプルに戻るのですか?」と言った。 ええ どうしても帰るつもり
ですと答えると、よろしかったら私の自家用船に乗って見ませんかと言われた。
えっ! あなたのホバークラフト船にそれは嬉しいですね!でももう汽車の切符を
買ってしまってあるので残念です。私の船で乗ればクランまで順調に進めば3時間
もあれば大丈夫ですよ。 そですか すると今乗船すれば夕方の5時頃にはクラン
に到着していることに成るんですね。まあああスピードが速すぎて甲板の上でそよ
風を楽しむなんて事は不可能ですけど あっははは。 もう1時半ですのでそろそ
ろフエリ乗り場に急ぎます。 そですか それは残念です。
宇見は後髪を引かれる思いでフエリ乗り場に急いだ。
バタワースでは乗客がプラットホーム一杯に汽車が来るのを待っていた。今回も
20分遅れで汽車は発車した。この調子だとクアラルンプルに到着するのは夜9時
近くに成るのではないかと心配された。宇見にとって一番の気掛かりな事はクアラ
ルンプルで無事に突然に尋ねていってホテルに泊まれるだろうかと言うことだった
。でももうマレーシアの人達はハリ・ラヤ・プアサの行事も終って仕事が始まるか
ら多分旅館なども空いているだろうと想像していた。汽車の中では中国系と思われ
る少女の甲高くて両親に甘えているお喋り声に頭が響いた。
何しろ汽車は満員なのだから多少の不満はあるだろうと気を取り直し窓から見え
る景色に見とれていた。
都会から遠く離れたこの辺りだと、家から少し歩いて行くとジャングルという環
境の中で、ここでもし自分が生活したらどうような事が起こるのだろうか? 虎と
か猛獣に襲われる事が無いのだろうか! 危険な毒虫なんかも多いだろうしなあ!
長い間住みたいとは思わないが、でも条件が良くて生活し易いのなら何年住んでも
いいけど、でもまああ一週間ぐらい住んでみたいなあ ! 資産が何億円も有るな
ら仕事を放り出してこちらに住むことも可能だけど銭が無いから無理と言うものだ
。 あっはははは! 宇見は思わず苦笑してしまった。
家に帰れば仕事が待っていて、長期休暇を取れる状態で無いしジャングル近辺で
の生活は不可能だ。 でも一回だけでも、一週間でいいから住んでみたいなどと取
り留めもないことを考えていた。
予想どおりクアラルンプルには殆ど9時に到着した。汽車からの洪水のように乗
客が降り、いつもは静かで乗客が疎らな駅内を出口に急ぐ人達でごった返していた
。宇見もなるべく早くホテルに辿り着きたいと思い出口に急いだ。