#1568/3137 空中分解2
★タイトル (GCG ) 92/ 4/ 1 3:26 ( 62)
Rock'n Roll Cinderella (17)Farlia
★内容
* * *
今日は目覚めが悪かった。そもそも床に寝させられているのだから、満足
する睡眠など取れるはずがないのだ。おかげで背中を中心にして、体全体が
痛い。
肝心な俺のベットはと言うと、舞に使われてしまっている。
もっとも今日一日の辛抱ということで、しかたなく我慢しているのだ。
あの後、結局舞は風邪を引いて寝込んでしまったので、ベットを貸してや
ってる訳だ。流石に、病人を床に寝せるわけにもいかないだろう?
俺は固くなった体を捻り、良くほぐす。
「さてと」
俺は寝ている舞の額に手を当てて、熱があるか確認する。
「熱は下がったみたいだし、もう大丈夫だな」
「ん〜」
額に触れられて、舞が目を覚ましてしまったようだ。
右手で目を擦りながら、ベットの中で伸びをしている。上半身を起こして
俺を見る目は、あからさまに『まだ眠い』と訴えているようだ。
「おはよう」
俺は声を掛けるが、舞は『ふにゃふにゃ』と理解不能な言葉を発しながら、
洗面所のほうへと歩いて行く。
男物のシャツ一枚はおっただけで、部屋の中をフラフラと歩かれても困っ
てしまうのだが、着るものがなかったので仕方がない。舞が着て帰ったのは、
汚れたウェディングドレスだけだったので、俺がシャツを貸してやっていた
のだ。舞の服はと言うと、ホテルに忘れて来たということだった。追って連
絡が入ってくるだろう。
「おはよ〜」
顔を洗って来たのだろうが、まだ眠そうだ。
「風邪、そのぶんだと大丈夫そうだね」
「うん。もー大丈夫」
ガッツポーズを決める舞。
「さて、帰る身支度をしなきゃね……おっと、体一つで来てたんだっけ?」
「帰るって……どこに?」
不思議そうな顔をして、俺を見返している。
「帰るって…当然、舞ちゃん家に決まっているだろう?学校もバックレて
んだし。それに第一、こちとら報酬は貰えない、おっさんから借金はする、
ローンはあるで、明日の食費にも悩まなきゃならない次第で、二人分の余裕
なんて逆立ちしても出てこないんだからさ」
これ以上苦労したくないと言うのもあった。が、やはりあれだけ苦労して、
得た物が借金と怪我だけということで、今回の落ち込み方は普通じゃなかっ
た。
今慰められたら泣いちゃうぜ、きっと
「報酬。あたしの財布……」
俺の話を聞いて、舞は思い出したかのように呟いた。
「あたし……財布……落として来たぁぁぁ」
「げぇぇ、あれ百万円も入ってるんだぜ〜〜」
「お金だけはちゃんと手に持って、ホテルを出たんだけど……あんまり一
生懸命指輪探してたから、財布落としたのも気が付かなかった……どうしよ
う、報酬あげられるはずだったのに………」
その言葉を聞いて、さらに俺は落ち込んだ。出来れば善良な人に拾われて、
交番に届けられる事を願うだけだ。
「しかたがないから………あたしを報酬で貰ってよ」
「なっ、いっいらん」
これ以上の厄介ごとは御免被る。
「ひどい、あたしの唇奪ったくせに……始めてだったのに……」
「そっちが、奪ったんだろ〜〜」
「まぁ、いいわ。これからもよろしくぅ」
あぁあぁああ、俺はガックリと首と肩を落とした。
どうやら本当の災難はこれから始まるのかもしれないと、俺は思い始めて
いた。
<おわり>
P.S.#4に間違ってUPしましたぁ。