#1431/3137 空中分解2
★タイトル (JUF ) 92/ 2/ 1 9: 6 ( 50)
実録・コンサ−トの女(5) ポロリ
★内容
風公司
「東京芸術劇場」なる巨大なド−ムを後に俺と彼女は「メトロポリタン」へと向か
った。まさかこんな出合いが待っていようとは、夢にも思わなかった。この女に出合わ
なかったら、俺は独り淋しく焼き鳥屋で一杯やっていただろう。
「あ、まだ名前聞いていなっかったけど...」
と、そおいえばまだ彼女の名前を聞いていなかった。
「浦野裕子です。」
「裕子」か、「名取裕子」と同名だ。俺は無論、裕子に本名を告げるつもりは無い。
「あ、ぼくは風公司です。よろしく。」
と、「風間」の「風」に「貴花田公司」の「公司」を合成して、偽名を名告った。
「変わったお名前ですわね。風さん。そうですか...。」
裕子は不審に思ったのだろうか...。ふ−んていう顔をしている。
「東京芸術劇場」から、「メトロポリタン」へと向かう道なみには、「温泉マ−ク」
のネオンがチラついていた。そおいえば、この辺は池袋のラブホテルがけっこうある所
だ。過去に2、3度使ったことがあった。
あまりフランス料理は好きではないが、女の手前しかたなく店に入った。何回か
フランス料理は食べたことはあるが、どうも、あの次ぎから次ぎへと、1品ずつ持って
くるやりかたは好きになれなかった。俺は酒飲みのせいか、いろいろな肴を少しずつ、
つまみたい方である。
彼女と同じコ−スと、「生カキ」をオ−ダ−した。スコッチを飲りたかったが、フラ
ンス料理にスコッチではいかにも田舎ペだと思い、白ワインをボトルでもらった。
「裕子さんとの出合いと、モ−ツァルトに乾盃!」
と、一気にグラスの白い液体を飲み乾した。さらにグラスにワインを次ぎまた、一気
に飲み乾した。俺にとってはワインなど、水とかわらない。裕子もけっこう好きみた
いだ。グラスの半分ほどの液体を一気に飲んだ。女も独り淋しいときは男と同様、酒
で気分を誤魔化すのかなと、ふっと思った。裕子の白いほおに少し朱がさした。ほん
のり色ぽい。だいぶ酒の酔いも手伝ってか、けっこうよく喋る。話しの内容はほとん
ど、クラシックのことだ。俺は自分の持っているありたっけの知識を結集して、なん
とか話しを合わせた。
デザ−トがテ−ブルに運ばれた。やれやれである。ステ−キが胃にこたえた。それ
に裕子は生カキを食べなかったので、俺がその分も食べたので、腹はぱんぱんだ。
コ−ヒ−を飲みながら、つぎのプログラムを考えていた。どこかパブにでも行き、
裕子をもっと酔わせ、「温泉マ−ク」にでも連れ込もう。いや、やはり酔っていても
今日初めて知り合った男に体を許すわけはないか...。それに11時近い。やはり、今日はここまでで、次ぎのデ−トで頂こうか。あれこれ考えたが、取り合えず店を
出た。
「裕子さん、今日は本当にありがとう。おかげで、とても楽しかったよ。」
と、礼を言い。
「今日は遅いから、タクシ−で送っていくよ。で、裕子さんはどこ?」
と、送り狼のプログラムを実行に移すことにした。
「そんな−−−風さんに悪いし、今日は電車で帰ります。」
と、裕子。でも、ここはもう一押しと、やっぱ、今日したいと象さんのお鼻が首を
もたげ始めている。
「悪くないよ。ぼくもタクシ−で帰るから、ついでに乗って行きなよ。」