AWC 空想科学時代・劇「まだ誰も見たことがない」(7) CATCH


        
#1409/3137 空中分解2
★タイトル (BDM     )  92/ 1/26   2:27  (200)
空想科学時代・劇「まだ誰も見たことがない」(7) CATCH
★内容
空想科学時代・劇「まだ誰も見たことがない」その7

マシン          座敷童子をつかまえましょう。こんな時、頼りに
                なるのは先生だけです。
博士            博士と呼びたまえ!  想像力は意志の2乗に比例
                し、男と女は距離の2乗に反比例するのだ。わは
                はははは
少年            だめだ。
マシン          どうしましょう。
少年            直接呼び出してやる。
マシン          そんなことが出来るんですか?
博士            わしをさしおいてか
マシン          「突撃、独占インタビュー!大量誘拐事件の全容
                に迫る!!」
博士            隣の芝生はきれいに見える。失敗する可能性があ
                るときは必ず失敗するのだ。
少年            まず用意するのは、椅子とゼッケンと、被験者数
                名。番号!
黒衣1          1。
黒衣2          2。
黒衣3          3。
マシン          4。
博士            5。
少年            リーリーリー、フルーツ・バスケット!

        ゼッケンにはそれぞれ、「いろ」「はに」「ほへ」「とち」
        「りぬ」
        「るを」と書いてある。椅子は全部で6個である。
        少年のかけ声を合図に全員が席を立ち、今自分が座ってい
        たのとは別の
        椅子に座ろうとする。
        そこへスペースオペラのヒロインの姿で、「わか」のゼッ
        ケンを付けた座敷童子が飛び込んでくる。だが出遅れた座
        敷童子に椅子はない。

座敷童子        もう少しだったのに、おしいな・・
少年            いまだ!

        座敷童子を押さえ込む。

座敷童子        ちくしょう、はなしやがれ!
少年            とうとう捕まえたぞ。
マシン          やりましたね、先生。
博士            座敷牢にでも、ほうり込むか。
座敷童子        俺は座敷童子じゃない。
マシン          往生際が悪いな。認めちゃえよ。
座敷童子        ちがうよ。
博士            ならば、どうして飛び出してきたのだ。
座敷童子        みんな楽しそうだったから、仲間にいれて欲しい
                なって・・・
少年            とぼけるな!楽しそうだったから、邪魔してやろ
                うと思ったんだろ
博士            そう思って、子供たちを殺したに違いない。
マシン          「殺人鬼の身の毛がよだつ残虐な毒牙にかかった
                幼い命!」
少年            殺人鬼じゃなくて、座敷童子だよな。
博士            殺人鬼には、人を殺せば誰だってなれる。
マシン          座敷童子には、簡単にはなれませんからねえ。
博士            たとえば座敷童子で人数が増えたとしても、一人
                殺せば誰にもわからない。
マシン          でもそれなら、子供たち全員を消すことはないの
                では?
博士            座敷童子がいるところに、いつのまにか座敷童子
                童子が現われるかもしれん。しかし誰が増えたか
                は、やはり誰にもわからない。その座敷童子童子
                が子供をもう一人消すと、さらにそこへ座敷童子
                童子童子が現われて、やっぱり誰にもわからない。
マシン          だから、子供たちがみんな消えたんですね。
座敷童子        どうしても、僕を犯人にするつもりだな。
少年            犯人じゃなくても、座敷童子になればいい。
座敷童子        そっちが偽物だ!
少年            じゃあ、おまえは誰なんだ。
座敷童子        ・・・・・
マシン          わからない奴は座敷童子だ。
少年            人数外だから、何をしたって構わない。
博士            現代科学の生贄にするもよし。
マシン          ってことは、解剖ですね。イッヒッヒ。
博士            うむ。順序としては、まず解剖だ。イッヒッヒ。
座敷童子        てめぇら、ただじゃすまさねぇぞ。
博士            連れていけ!
座敷童子        覚えてろ!

        マシン、座敷童子を連れていく。
        がらん、がしゃんと響く。
        その音は、大人の叫び声になり、デモのシュプレヒコール
        になり、町を
        破壊する音になる。

少年            これはいったい。
博士            子供たちが消えたことで、わしを疑っているのだ。
少年            座敷童子を捕まえたのに。
博士            天才はいつも誤解される。ううッ!
少年            どうしたんですか。大丈夫ですか先生!
博士            急がなければ、座敷童子軍団の総攻撃が始まるぞ。
少年            サーティーン、しっかりしてください。
博士            どうやらお迎えが来たようだ。君の出番だ。
少年            そんなこと、急にいわれても・・・・
博士            では、いつまでも待っているつもりか?
少年            そんなのは嫌だ。
博士            大人に知らせるのだ。座敷童子が狙っていること
                を!
少年            証拠もないのに、大人は子供の話に耳を貸しませ
                ん。
博士            君は今まで何を探してきたのだ。
少年            ・・・そうか、手がかりは音楽なんだ。
博士            暗闇に耳を澄ますのだ。いったい何が聞こえる?
少年            笛の音が聞こえます。江戸屋猫八師匠のうぐいす
                のような笛の音です。
博士            そりゃ、うぐいすだよ。
少年            そんな。
博士            どこでも聞こえるものが音楽になるかね。
少年            何もなくって何も見えないんだから、何が聞こえ
                てもいいじゃないか。
博士            何も見えなくって何も聞こえないところには、や
                はり何も存在せんのだ。
少年            今までなにを探してきたんだろう。
博士            ならば自分の力でやるのだ。ここで活躍しなけれ
                ば、どうやってヒーローになるつもりだ。ううっ。
少年            先生!
博士            わしを先生と呼ぶな。
少年            これ以上喋らないでください。今、マシンを呼ん
                できます。
博士            もう時間がない。あと一言だけ言わせてくれ。少
                年よ、自分自身を変えるため、世界を変えるのだ!
                ガク。
少年            先生!
博士            わしを先生とよぶな。神様と呼びたまえ!

        突然元気になる博士。
        座敷童子がハリツケになっている。
        マシンと黒衣たちが現われて、重低音の“手のひらを太陽
        に”で踊る。
        黒衣たちの手のひらは真っ赤だ。

博士            生徒諸君
                諸君はこの爽快たる
                諸君の未来圏から吹いてくる
                透明な清潔な風を感じないのか
                それは一つの送られた光線であり
                決せられた南の風である

                諸君はこの時代に強いられ率いられ
                奴隷のように忍従することを欲するのか

                今日の歴史や地史の資料からのみ論ずるならば
                われらの祖先ないしはわれらに至るまで
                すべての信仰や徳性は
                ただ誤解から生じたとさへ見え
                しかも科学はいまだ暗く
                われらに自殺と自棄のみをしか保証せぬ

                むしろ諸君よ
                さらに新たな正しい時代をつくれ

                諸君よ
                紺色の地平線が膨らみ高まるとき
                諸君はその中に没することを欲するのか
                じつに諸君はこの地平線における
                あらゆる形の山獄でなければならぬ

                宙宇は絶えずわれらによって変化する
                誰が誰よりどうだとか
                誰の仕事がどうしたとか
                そんなこと言っているひまがあるか

                新たな時代のマルクスよ
                これら盲目な衝動から動く世界を
                すばらしく美しい構成に変えよ

                新しい時代のダーウィンよ
                さらに東洋風静観のチャレンジャーに乗って
                銀河系空間の外にも至り
                透明に清く正しい地史と
                そう訂された生物学をわれらに示せ

                おおよそ統計に従えば
                諸君の中には1000人の天才がなければならぬ
                素質ある諸君はただこれらを刻み出すべきである

                ああ諸君は
                この爽快たる諸君の未来圏から吹いてくる
                透明な風を感じないのか!

マシン・黒子    ユンケル皇帝、万歳! ユンケル皇帝、万歳!

        博士、ナイフをとりだし、少年に渡す。

博士            @@@@@@!(歓声にかき消されて、聞こえない)
少年            ******!(歓声にかき消されて、聞こえない)
座敷童子        ¥$#&?!。(歓声にかき消されて、聞こえない)
少年            魔女め!(ナイフを座敷童子につき立てる。)
座敷童子        わ%っ!(再び、歓声にかき消されて聞こえない。)

        座敷童子、崩れ落ちる。
        歓声が高まる。しかし、どこか悲鳴や銃声が混じっている
        ようにも聞こえる。

博士            どうかね。闇の音が聞こえたか。
少年            これが僕のなすべきこと何ですか。





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