#1344/3137 空中分解2
★タイトル (ENB ) 91/12/23 2:24 (198)
お題>「少女刑事」 かきちゃん
★内容
これは新宿の馬追い町にある鼻曲署・捜査一係の物語である。
「おはようございまーす。」
「よう、おはよう。」
今日も定時に出勤してきた堂々係長はにこやかに部下と挨拶を交わした。
「あれ? ボス、その娘は?」
堂々係長の後ろから入ってきたセーラー服の少女を見た海パン刑事はハッハ
ッハ、と犬のように呼吸を荒くしながら尋ねた。
「ボスう、新しいコレ(と小指をたてて)ですかあ?」
などとなれなれしく堂々の肩をつん、とつっついたのはボリ刑事である。向こ
うでがまさんが、ふん、と鼻で笑っている。
「おおそうだ、紹介しておこう。この娘は今日から一係りに配属になった原
田真美君だ。仲良くしてやってくれ。」
「でもボス、何でいきなり女子高校生なんか……。」
ともっともな疑問を提出しかけたチョビさんだったが、
「俺の趣味だ!」
と堂々の一言のもとにぶったぎられた。納得しているのは海パン一人だが、み
んなそれぞれ女子高校生は好きなので黙っていた。
「よろしくお願いしまーす☆」
と真美がペコリと頭を下げ、はにかんだようにぺろっと舌を出す。
非常に可愛らしい。
「うおーーーーっ!」
こういう時には真っ先に理性を失う海パンはいきなり真美に向かって突進し
た。
しかし真美はとっさに身を沈め、海パンを見事一本背負い。
「なんじゃこりゃあっ!」
と叫びつつ海パンは7階の窓から落下して行った。
海パン刑事は殉職した。
「海パンー!」
一同騒然。
いきなり海パン刑事を殺してしまった真美はさすがに真っ青な顔をしてガタ
ガタ震えだした。
しかしである、さすがに堂々は落ち着き払って真美の肩を抱き寄せた。
「大丈夫、気にするな。」
どさくさにまぎれて肩を抱き寄せた堂々をセクハラ委員会に訴えようかな、
と一瞬思ったが真美は、
「で、でも……。」
「いいからいいから、どーせあいつは今日あたり殉職するかなあって思って
たんだ。その証拠にちゃーんと補充要員も呼んである。おーい、ヘキサン、入
ってこい。」
堂々がドアに向かって呼ぶと、がちゃっとドアが開いて有機物の臭いをプン
プンまき散らしながらヘキサン刑事が入ってきて、
「よろしく。今殉職した海パン刑事の替わりにここに配属なにりましたヘキ
サンです。ちなみにまだコック刑事も待機しておりますからもう一人位殉職し
ても大丈夫です。」
かわいそうな使い捨て刑事達であった。
「やめよーかなー。」
このとき全員そう思った。が、
「ヘキサンさん、よろしく!」
とセーラー服のスカートをひるがえしながらヘキサンに駆け寄り、握手を求め
る真美を見て、
「やっぱやめるのやーめた。」
と思うのであった。
セーラー服の美少女と同じ職場になることなど滅多に(とゆーよりは絶対に)
ない。
そーゆーわけでみんなうんうん、と真美とヘキサンを囲んで和気あいあいっ
て感じでやっていると電話が鳴った。
「はい一係……何?」
堂々は顔をしかめ、二言三言話して皆に、
「馬追い町2丁目の勘弁銀行に強盗が入った。客と行員を人質にして立て篭
もってる。ボリさん、真美とヘキサンを連れて行ってくれ。」
「わかりました。おい真美、ヘキサン、いくぞ。」
「はーいっ。」
とゆーわけで三人は現場に向かった。
現場に行ってみると勘弁銀行の前には黒山の人だかり。警官隊が野次馬達を
必死に抑えている。
それにしてもこの大量の警官隊はどっから湧いてくるんだろう? 普段はこ
んなにいっぱいいるとは思えないんだが……。
犯人はライフルを持って閉め切ったカーテンの隙間からこちらの様子をうか
がっている。
ボリさんは現場の責任者からメガホンを受け取り、篭城している犯人の説得
を始めた。
「きみのお母さんは泣いているぞ!」
一同こけた。今時こんなことを言う奴がいるとは……。
「うるせー! ぼくのお母さんはこんな事じゃ泣かないんだい! つおいん
だぞお。」
と持っていたライフルを振り回しながら言った。
「じゃあ、お父さんが泣いているぞ!」
「へーんだ、ぼくのお父さんは三億円事件の犯人なんだぞ! えらいえらい
って誉めてくれるに決まってるもーん。」
「それじゃあ、おばあさんが泣いているぞ!」
「えーい、うるせえ! あんましごちゃごちゃ言ってるとここの女子行員を
全員妊娠させたるぞ!」
「あ、そーゆーことするんなら俺も混ぜて欲しいなあ。」
と呟いたヘキサンを睨みつけてボリさんは、
「ま、待て、わかった。要求を聞こう、何でも言ってみろ。」
犯人は即座に答えた。
「処女。」
と。
「処女ォ?」
ボリさんは聞き返した。
「そうだ、バリバリの処女だ。できればセーラー服がいいなあ。」
うーんと考え込んだボリさん、横に真美がいるのに気がついて、
「真美君、君、処女?」
「えっ?」
「処女かって聞いてるんだ。」
「え、ええ、そのう、一応処女ですけど……。」
真美は真っ赤になってぼそぼそと答えた。
「よしっ、じゃあ真美君、行ってくれ。」
「えーーっ!」
「えーーっじゃない、行くんだ!」
「で、でもお……。」
「中の女子行員が全員妊娠してもいいのか!」
「じゃ、じゃあ、私が妊娠してもいいって言うんですか?」
ボリをきっと睨みつけて言った。
「馬鹿もん! おまえは刑事だろう! 一般市民を守るのが刑事の仕事なん
だ、たとえ自分の身を犠牲にしてもな。それにおまえも刑事なら自分の身くら
い自分で守れ!」
さすがはボリ刑事、真美を一喝した。
「わかりました、行きます。」
悲壮な決意を固めて一人銀行に向かった真美にボリさんは、
「なあ、モノは相談なんだが、どうだ、犯人に処女を奪われる前に俺と一発
やってかんか?」
真美はボリ刑事を殴り倒して銀行の中に入った。
ちゃっかり見に来ていた堂々係長が、
「うん、処女膜っつーのはこーゆー時に役に立つもんだ。」
と呟いた。
銀行の中では行員と客達は一ケ所にかためられていた。
犯人は入ってきた真美に銃口を向け、あごをしゃくった。そちら(行員と客
ががかたまっている所)に行けとういうのである。
真美はその通りに人質達の前に立った。犯人は銃口を真美に向けたままで、
「ストッキングを脱いで俺に渡せ。」
と命令した。
「う゛、そんなー。」
と思いながらもこれも自分と人質のため、とばかりにセーラー服のスカートの
中に手を入れて(う゛、見えちゃう)ストッキングを脱ぎ、犯人の方に投げた。
犯人はそれを受け取ると、へっへっへ、と呼吸を荒くしながらそれをかぶっ
てしまった。こころなしか口元のあたりから湯気が立っているような気がする。
何を考えているんだ、こいつは。自分の今まではいていたストッキングをかぶ
られて真美は鳥肌が立った。
下半身を膨らませた犯人はさらに命令する。
「よーし、セーラー服を脱げ。」
真美はたじっとした。セーラー服のリボンに手を掛けたまま硬直している。
「早くしろ! 早くしないとこいつらを一匹ずつ殺すぞ!」
と一発発砲した。一斉に悲鳴があがる。真美は、
「わかった、わかったからやめて!」
と叫び、震える手でリボンをほどく。
続いて脇のジッパーをおろし、振り切るように上着を一気に脱いだ。ピンク
のブラジャーに包まれた可憐なふくらみが愛らしい。
「ほーら次はスカートだ。」
こんな状況にもかかわらず人質の野郎どもは下半身総立ちである。まったく、
男って生き物は……。
真美はもう半ベソ。でも私は刑事、人質を守るためには……。けなげ。
ホックをはずし、ジッパーを降ろす。スカートがするっと落ちてブラとお揃
いのピンクのパンティーがあらわになった。
胸を抱えてうつむきながら犯人を見る。真美の下着姿に夢中になってライフ
ルの銃口は下がっている。
今だ!
真美は犯人に向かってダッシュ、ライフルを持っている手を蹴り上げた。ラ
イフルは宙に舞い上がる。
「ボリさーん!」
外に向かって叫びながら犯人を得意の体落としで投げ飛ばす。
犯人は壁に叩きつけられ、ぐしゃっとつぶれて床にずり落ちた。
ガシャーン!
ボリさんがガラスをぶち破って飛び込んできたときには犯人は完全に気絶し
ていた。
体中にガラスの破片が突き刺さって血まみれのボリさんに、
「大丈夫か?」
って聞かれて急に緊張がゆるんだ。
真美は床にぺたんと座って、わーんと泣きだした。
やっぱり恐かったんだなあ。まだ17歳の普通の女の子なんだから。
ボリ刑事は、よしよし、とばかりに真美の方を抱いて慰める。
後から入ってきたヘキサンはジャケットを真美に掛けてやって真美に微笑み
かける。よくやったねって。
どさくさにまぎれて真美の胸に触っていたボリさんを投げ飛ばして真美も微
笑み返す。ありがとう。
いつの間にかやってきた堂々係長は真美の肩をぽん、とたたいて。
「ご苦労さん、さすが柔道五段だね。君のお父さんに君を託された時はさす
がに不安だったけど、このぶんだと大丈夫だね。」
「お父さんに託されたって?」
ヘキサンが口をはさんだ。
「そうだよ、真美君のお父さんは優秀な刑事だった。運悪く殉職したが、死
ぬ間際に俺に言ったよ、真美を頼むって。刑事になりたいって言ってるからっ
て。それで今日、所長の許可を貰って一日体験入署させてもらったんだ。それ
なのに真美君、こんな目にあわせてすまなかった。」
真美は黙って首を振る。
「一日体験入署だったんですか? 言ってくれればこんな危ない目にあわせ
なかったのに……。」
ヘキサンが抗議するが、
「ううん、私が頼んだの。一日入署だって言わないでって。みんなと同じよ
うに一日だけでも本物の刑事の仕事をしてみたかったから。」
「よし、それじゃあ、今度はちゃんと警察学校を出て本当の刑事になって一
係に戻ってきてくれよ。」
と堂々係長。
「待ってるぜ!」
とヘキサン。
再びセーラー服を着て去っていく真美に、いつの間にか集まってきたちょび
さん、がまさんも加わって万歳三唱。
「がんばれよー!」
ちなみに真美に投げ飛ばされたボリさんは、そのはずみにガラスの破片が頚
動脈に突き刺さって殉職したそうである。
今は補充のコック刑事ががんばっているとか……。
− おわり −