AWC オカマとキスした日  KEKE


        
#1314/3137 空中分解2
★タイトル (UYD     )  91/12/ 3  10: 0  (102)
オカマとキスした日  KEKE
★内容
 たびたびバンコクに行っていた時だから、今からもう十年以上前
のことになる。
ぼくの泊まっていた安宿で知り合ったひとがとても酒の好きなひと
で、毎日バーやキャバレーに通っていた。ぼくは酒が飲めないせい
もあってそんな場所に興味がなく、話しだけはふんふんと聞いてい
たが、何度か誘われても行こうと思ったことはなかった。
 それがある日、オカマバーに行くと聞いたとき、ついついて行っ
てしまったのはなぜだろう。やはり恐いものみたさ、だったのかも
しれない。

 そのオカマバーはパッポンのはずれにあった。当時もパッポンは
今と変らず有名であり非常に繁栄していた。
ぼくも何度かそのあたりを通りすぎることはあったが、酒も飲めな
いし、女と遊ぶといっても、そのあたりの女は高くて、一泊300
円くらいの安宿に泊まっている身としては縁がなかった。
後学のために書いておけば、もちろん、それらのバーやキャバレー
の女は連れ出せるわけである。もっと露骨なのはゴーゴーバーであ
る。店に入り、席について酒をちびちび飲みながら、中央の壇の上
で踊っている水着姿の女の品定めをするわけである。これは、とう
女が見つかると、店の者と交渉して連れだし料を払って女を連れだ
し、あとはホテルへ一直線である。このあたりの店はどこもそうい
うシステムになっている。

 当時ぼくは二十台の前半で、精力は余ってしかたがない時期であ
る。鼻血ブーの時代である。そんな時に、女を買うことについて倫
理的な批判をしても始まらない。ぼくもやはり女を買って遊んでい
たのである。ただパッポンの女というわけにはいかなかった。何度
もいうようであるが、一泊三百円の宿に泊まっているのである。女
の値段もそれに比例した安さの女であった。
 もっともその安宿自体にも女が泊まりこんでいた。一泊五百円く
らいでやらせてくれたが、ぼくは何だか照れくさくて買ったことは
なかった。いったん寝たら、次の日には、この女とやったと宿中の
人間にばれてしまうではないか。

 さて、パッポンのオカマバーの店内にはいり、席について酒をた
のんだ。ぼくとそのひととに(もう名前も忘れたので、かりにKさ
んということにしておく)ひとりづつ女がついた。いや正確にはオ
カマがついた。そしてぼくについたオカマが問題のオカマなのだっ
た。Kさんについたオカマもけっこうきれいなオカマだったが、ぼ
くについたのはゴクミもりえもまっさおというくらいの美少女だっ
たのである。歳は十四、五才の感じである。ぼくは最初女だと思っ
た。女としてもものすごい美人である。ゴクミも宮沢りえも、とい
うのはけっして誇張ではない。これに匹敵するのは、もうぼくの古
くからの友人、というだけの関係になってしまったYUKIの少女
のころだけではないだろうか。(もっとも知り合ったのは彼女が二
十歳すぎてからだから、彼女の少女期は写真でしか知らないのであ
るが)

 とにかくとてもこの美少女にちんちんがあるとは思えない。さい
わい店のママがいくらか英語を話すので、ぼくたちはこの子は女だ
ろうとかたことの英語で言った。そしたらママは触ってみろと身振
り手振りでいう。ママがその子に何か言ったら、その子はスカート
のすそを持ち上げた。ママをはじめ回りにいたオカマたちも触れ触
れと身振りでさかんにはやしたてる。
 のりやすい性格と昔からぼくはいわれているが、はやしたてられ
てその気になった。
スカートをさらに上に持ち上げてもらって、パンティの中に手を入
れた。それからしばらく進むと何か柔らかいものに手が触れた。こ
れかな。子細に点検すると、やはりそうである。確かにちんちんは
あった。

 音楽にあわせてその美少女とチークを踊った。ぴったり身体を合
わせて踊っていても、この少女が男だとは思えない。たしかにちん
ちんに触ったにもかかわらず、信じられないのである。
やがてその子が顔をあげてかすかに口をとがらせた。キスして、と
いっているのである。ぼくはほんの一瞬躊躇した。が、気がつくと、
ぼくの顔は彼女の顔に急速に接近していた。
(いかん、いかん、これは男だぞ、オカマなんだ。ちんちんあるん
だぞ)という声がしているのだが、いっぽうこれだけの美人はめっ
たにいない。こんなチャンスはめったにないぞ、という声もしてい
るのである。このふたつの声で心は揺れているのであるが、しかし、
顔だけはどんどん彼女に接近して行くのである。
とうとう唇と唇がくっついた。
 その瞬間、ぼくの唇から脳天へ、脳天から手へ足へ内臓へ、電撃
が駆け抜けた。

 ぼくはそれいらい何度も女とキスしたが、こんなにしびれちゃっ
たキスは経験していない。いつもねちゃっという印象しか受け取る
ことができないのである。おそらく、男とキスするという心の葛藤
がそんなキスを生んだのかもしれない。

 やがてぼくたちは帰ることになった。そしたら、その少女(とし
か思えないのである)は連れ出してくれと頼むのである。思わずK
さんと顔を見合わせてしまった。確かに美少女であるが、オカマで
ある。男なのである。連れ出してどうしようというのだ。
もちろん当時のぼくにもオカマとのセックスの知識はあった。でも
それはうすきみわるいばかりで、とても現実的に考えることはでき
なかった。
 今にして思えば、連れ出してレストランで食事でもして、多少の
金を渡して帰せばいいのである。彼女は確かにぼくを十分楽しませ
てくれたのだから。しかし、そのときのぼくには、そんなことを考
える余裕がなかったようである。
また今度ね、とかいいながら、店を出てしまった。


 それから長い年月がたった。
先年、母とパック旅行でバンコクへ行ったとき、パッポンのあたり
を歩いてみたのだが、その店がどこらへんにあったのかも分からな
かった。その店へは、その後Kさんが日本に帰ったこともあって行
かなかったから、ついにそれっきりである。
すべては一夜の夢であったのではないかとさえ思える。





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