#1287/3137 空中分解2
★タイトル (EGC ) 91/11/23 8:47 ( 67)
一太郎君のお話(1)
★内容
小学校2年の時
小学校2年の春休みの事です。近所の友達の誠君と旭君と充君と一緒に探険をする事にしました。その頃は探険ごっこが友達の中ではやっていました。一太郎君はこの頃まで「探険」と言う言葉がとっても好きでした。探険ごっこをするぞと誘われるとすぐに飛んで行ったものです。
今日の探険はお化け屋敷でした。でも、一太郎君はお母さんからあのお屋敷には近づいたららいけませんと前に言われた事を覚えていました。だから友達にその事を言いました。すると誠君が「お母さんに怒られるのが恐いんだ」と言いました。
旭君は「じゃぁ、イッちゃんは今日は辞めるんだね」
そして、充君は「もしかして、イッちゃんてお化けが恐いんじゃないの」なんてとんでもない事を言い出してしまいました。
一太郎君は本当の事を言うとお化けが恐いのでした。お母さんに怒られるのも嫌でした。でもみんなに馬鹿にされるのはもっと嫌でした。一太郎君はとっさに言ってしまいました。「僕みんなと一緒に探険に行くよ」
「よーし4人みんなで探険に出発だ」と充君が言いました。
お屋敷は学校から歩いて20分ぐらいの町外れに在りました。昔は貴族の偉い人の別でした。しかし、今は町が管理しています。お屋敷のまわりは高い塀があり、入り口の門は鍵がきちんとかけられていて普段なら勝手に中にはいる事はできません。ところが一週間前からどっかの偉い学者さんが研究のためにお屋敷に来ていて入り口の門が開いているのでした。
4人組は門番をしている人の目を盗んでお屋敷の庭に潜り込みました。
誠君が得意になって言いました「どうだ言ったとおりだろ。簡単に門の中に入れただろ、後はあの連中に見つからないようにすればいいんだ。一太郎気をつけろよ。まずは庭の探険だ」
広い庭でした。庭のすみっこには古い井戸がありました。まわりの積み石がほとんど崩れていました。でも子供達には何だかわかりませんでした。子供の知識では石が積んであって真ん中に穴が開いている物としかわかりませんでした。穴が開いていれば覗きたくなる子供の心理です。一番背の高い旭君が中を覗いてみました。中は暗かったようです。旭君が石を拾って中に投げ入れました。ボチャンという水のある様な音はしませんでした。一太郎君も中を覗こうとして背伸びをしました。中は暗そうだなと思った時でした。
「こらあ、何をしているんだ」大人の怒鳴り声がしました。一太郎君はびっくりしました。つい腕に力が入りました。手をのせた石が井戸の中に落ちて行きます。一太郎君の体が前に進みます。「わーーあ」一太郎君は古井戸の中に落ちてしまったのでした。
一太郎君はまわりが真っ暗になってしまいました。
いったいここは何処なのかな。一太郎君は考えました。とっても広い場所でした。たり一面にはには草がはえていました。いつのまにか夜になっていました。満月に近い大きな月が夜空に昇り始めていました。
遠くで何かが動いていました。動く何かは一太郎君の方へ動いていました。一太郎君は全然その物に気がついていません。一太郎君は不安でした。一太郎君は恐くなってついに泣き出してしまいました。大きな声で泣いていれば誰かが気づいて助けてくれるに違いないと思ったからです。
「おいお前、どうして泣いているんだ」
一太郎君は突然声をかけられ驚きました。一太郎君は声のした方に振り返りました。「叔父さん僕を・・・」一太郎君は話す事ができなくなってしまいました。声をかけてきたのは人間ではなかったからです。
その生き物はトカゲでした。でも2本足で立っていました。手には剣を持っていました。身長は160センチ位。1匹でなく少し離れてあと3匹いました。そして4匹とも丸い宝石を首に付けていました。丸い宝石が月の光を浴びて美しく光ります。
「お前、人間の子供だな」トカゲは剣をしまいながら不思議そうに言いました。一太郎君は恐ろしくて何も言えませんでした。
「子供なのか」後ろにいたトカゲたちが近づいてきました。「変な格好をしているな」「どうしてこんなところに一人でいる。仲間はどこにいるんだ」一太郎はまた泣き出してしまいました。「おい、ぴーぴーと泣くな尋ねた事に答えろ。この剣で殺されたいのか」最初に声をかけてきたトカゲが剣をパシッと鳴らして言いました。一太郎君は泣くのを止めました。でも恐くて何も話せませんでした。トカゲはゆっくりと剣を抜きました。「子供、何とか言わないか。殺してしまうぞ」剣がゆっくりとトカゲの頭上に上がって行きました。月の光の中剣は冷たく輝いています。一太郎君はただただ恐ろしくてしかたありませんでした。「何も言わないつもりか。ならば死ね」剣が一太郎君の首に向かって降りて行きました。「やだー」一太郎君は大声で叫びました。
「一太朗くーん」「坊ーや、大丈夫か」ボーとした頭の中に声が響いてきました。
そして一太郎君は無事古井戸から助けられました。2メートル近くも落ちたのに怪我は全然有りませんでした。お屋敷に来ていた大人たちは大変不思議がりました。
さてその後一太郎君はどうなったのでしょう。そうですお母さんからさんざん叱られてしまいました。臆病だった一太郎君は益々臆病になってしまい、暗い所が極端に恐くてしかたがなくなってしまったのです。お母さんは一太郎君の将来を心配して、少しでも強い男になってもらおうと空手の道場に通わせました。
小学校2年の時 終わり