AWC がんばれ美由紀ちゃん−大坂秋の陣−(3) かきちゃん


        
#1174/3137 空中分解2
★タイトル (ENB     )  91/ 9/16  22:25  ( 90)
がんばれ美由紀ちゃん−大坂秋の陣−(3)  かきちゃん
★内容

3.生まれたての朝(1)

 自慢じゃないが朝は弱い。
 今朝もいつものごとくぼーっとしたままでのろのろと布団から這い出て、何かいつ
もと部屋の中の風景が違うが考えることはできない。
 「あれぇ、何でこんなところにカーテンがあるんだ?」と思うが、何も考えずカー
テンを開けるとベッドの方で何か気配がする。
 ふとそちらの方に目をやると………。
 俺は一気に目が覚めた。
 当然ベッドには美由紀が寝ており、なんと布団からまあるいおしりがのぞいていた。
 一気にカーテンを引き、「ぎゃーっ!」と叫んでそのまま体が後ろに吹っ飛んだ。
ちなみに後ろにあったのは布団だ。その拍子に壁に後頭部をぶつけ、また「ふんぎゃ
ー!」と悲鳴をあげた。
 ずきずきする後頭部をおさえながら、
 「美由紀のおしりは超強力な目覚しがわりになるんだなあ。これから毎朝おしりを
見せてもらおうかな。でも毎朝壁に後頭部をぶつけていたら硬さは大木金太郎かボボ
・ブラジルなみにはなるかも知れないが、いいかげん脳ミソのシワがなくなってしま
う。
 うーん、どうしたものか。」と一人馬鹿なことを考えていると、
 「なによ、朝っぱらからうるさいわねぇ」とこれまた寝ぼけた美由紀がカーテンの
向こうから出てきた。
  パンティとブラジャーだけの姿で…………
  美由紀は目をこすりながらぼーっと立っているお坊(ぼー)さんだ。俺は美由紀を指さし口をぱくぱくさせている金魚さんだ。
 坊さんと金魚さんで先に動いたのはかわいい坊さんの方だった。自分の格好に気付
き、「きゃっ!」と叫んでカーテンの向こうに飛び込んで行った。
 しばらくカーテンの向こうでガサゴソ音がしていた後、美由紀が頬をぷっと膨らま
せて(か、かわいい)出てきて(もちろん服を着てだ)、こたつに向かい合ってすわ
った。
 「ねぇ、美由紀ちゃん。」
 美由紀は頬を膨らませたまま何も答えない。「やっぱ、偶然とはいいながら見てし
まったことを努ってんなかなあ。」と思い、素直に謝ることにした(別に何も悪いこ
とはしていないのだが)。
 「え、えーと、その……ごめんね。」
 俺は精いっぱいかわいこぶってあやまった。美由紀は黙って俺を見ている。
 「だから、わざと見たわけじゃないんだ。」
 「あんなに化物でも見たように驚くことないじゃない。」
 美由紀はやっと口をきいてくれた。
 「いや、だから、それは、美由紀ちゃんがあんまり魅力的だったもんでついおどろ
いちゃって……。」
  俺はいったい何こびをうってるんだ。
 「本当?」
 「も、もちろん。」と答えると、美由紀は急ににこにこしだした。単純な娘だ。
 「今日私の家に行くんでしょ?」
 「ああ、場所を教えてくれよ。」
 「私も一緒に行く!」と美由紀は宣言した。別に危険なこともないだろうからまあ
いいだろう。
 「うん、でも俺は会社休んで行くけど美由紀ちゃんも学校休む?」
 面倒なことは早く片付けておきたいので会社を休んで行くことにしたのである。美
由紀は一応大学生だから別に休んでも関系ないだろう。
 ということで、途中DomDomで朝飯を済ませて美由紀の家に行った。

 美由紀の家は俺の部屋から歩いて約30分と割と近いところにあった。一言で言え
ば”豪邸”ってやつだった
 「大きい家だなあ」と思わずつぶやいてしまった。この家にいったい何が起こって
いるのだろうか………。
 美由紀が門を開けて玄関の前に立つと、何やらなま暖かい風が吹いてきたのは気の
せいだろうか?
 美由紀がスカートのポケットから鍵を取り出し玄関の鍵を開ける。ドアノブを回し
ドアを開けると中から一陣の風が吹いてきた。美由紀はスカートが捲れ上がりそうに
なるのを必死に押さえている。ちらっと白い太股がのぞいた。
 ………ドアの向こうには一面野原が広がっていた。何回目をこすってみても変わら
ない。美由紀は俺のシャツの袖を引っ張り、”ねっ”という顔で俺を見ている。俺は
5分ばかり踊った後、
 「ここここ、コークと呼ぼうコカコーラ、じゃない、コンドーさんと呼ぼうコンド
ーム、でもない、こここ、これは………。」
 などと美由紀の前でみっともない程うろたえてしまった。穴があったら入れたい、
じゃなかった、穴があったら入りたい(まだ錯乱しているようだ)。
 「な、なるほど、美由紀ちゃんが”家に入れない”と言ったのはこういうことだっ
たのか。」
 いきなり俺の部屋に入ってきて、居座ってしまったときは”とんでもない娘だな”
と思っていたが、よく考えてみるといきなりお父さんが行方不明になって、しかも自
分の家がこんなふうになってしまって帰る場所もなくなってしまって俺の所に来たん
だから、心細かったんだろうな。そう思うと、俺のシャツの袖をつまんで俺を見上げ
ている美由紀がたまらなくかわいそうで、いとおしく思える。
美由紀のセミロングの髪が風になびいている。
 「さて、どうしたものか。」
 実際、こういう常識で説明できない事態に直面すると人間は思考能力を失う。つま
り、どうしていいかわからなくなってしまうのだ。選択枝としては、入る、戻る、の
2つしかない。そして、どうしていいかわからなくなった時は、どうしたらいいのか
わかるまで動かない方がいい。ここは一旦引き上げて、諸々の状況を整理してみた方
が良さそうだ。
 「ここでぼーっとしててもしかたがないから、一旦部屋に戻ってこれからどうする
か考えようか。」
 美由紀はドアの向こうから吹き込んでくる風に乱れた髪を細い指先で整えながら、
 「そうね、途中にコンビニがあったからそこでお昼ご飯を買って帰りましょうか。」
 まだ昼にはかなり時間があったが、多少小腹も空いていたので、
 「うん、そうしよっか。」
とコンビニで買物をして俺の部屋に帰った。




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