#1105/3137 空中分解2
★タイトル (MEH ) 91/ 8/17 23:51 (108)
英国王イディオット伝 3 クリスチーネ
★内容
「ランスロットよ…この道で間違い無いはずだが?」「そうです、エリ
ック王。伊藤さんの言うことが正しければ、妖精の森へ通じる道はこれ
しかありません。」「そろそろ見えてきても良いはずだが…。おや?」
「ああっ、妖精の森だ!!」
道のまん中にあった看板には、はっきりと「妖精の森へようこそ」と書
かれていた。
「ウェルカム、心の古里へ」と言う文字が印象的だった。
「エリック王、この看板の向こう側が、妖精の森のようですね。」ラン
スロットは、目の前にある看板を指さした。看板から先の道は、見事に
舗装されていた。あちこちに小さい旅館があり、小さい家屋があり、つ
いでに小さい、ボンカレーとオロナミンCのサビた看板も見受けられた。
小さい妖精たちが畑仕事にいそしんでいるのも見えた。実に平和な、牧
歌的な風景であった。
これから残虐な場面が繰り広げられる事に、この妖精の森の人々は気付
いていなかった。
「エリック王、いました、いました。妖精が!あんなにいますよ!」ラ
ンスロットは、妖精がたくさんいるのを見て、興奮した。
「よし、ランスロット。やつらを一匹残らずひっとらえるのだ!逆らう
奴は殺してもかまわん!全員逆らうのであれば、皆殺しだ!!グフフフ、
ばぶうー!」彼らは、威勢よく走りだした。
畑にいた老妖精が、走っているエリックとランスロットに気付いた。
「おおっ!人間じゃ!」
「キャア、人間よ!」
「うわあ、人間だ!」
「おおー、人間だぞ!」
妖精の森に警鐘が打ち鳴らされ、大騒ぎになった。
「食えー!」
「食え、食え!久しぶりのごちそうじゃ!」
「必ずしとめるのじゃ!」
妖精の大群が、エリックとランスロットに突進して来た。思わず二人は
逃げだした。だが、妖精はさっそく噛みつき始めた。
二人とも、血にまみれた。
血がエリックとランスロットを赤く染める。
「痛い、痛い!噛みつくな!われは、英国王…イタタ!いたいでちゅ、
ぼくは赤ちゃんでちゅ、やめてえー!!」
「ウワーッ、助けてくれええ!!こいつら、食人族だ!」
エリックとランスロットはたまらず逃げだした。エリックの方が若いだ
けあって、早く逃げた。
ランスロットは、完全に逃げ遅れてしまった。
「エリック王!助けてくだされ、ヒー!痛い、痛いイイ!!」
バリッ、ボリッと言う音がエリックの耳に入った。妖精たちが、ランス
ロットの骨をかじっている音だ!!
「アアアアアアアアアアアアアアア!!!」
エリックは失禁した。
彼は、ウルトラムーニー(男の子用)を着用していたので、どうやらも
らさずに済んだ。
さすが、もれないギャザーだけの事はある。
エリックはどんどん逃げた。ランスロットを助けている暇はない。
もうすでにランスロットは、白骨と化していた。それでもなおかつ白骨
をかじる妖精たち。
それを見たエリックは、悲鳴をあげた。
「ウギャーーーーーーーーーーーーーーー!」
と言う声が、森の中に響き渡った。
さっきまで生きていた、優しいランスロット。
おお、彼は、もうこの世にはいない。
忠実だったランスロットの面影が脳裏をよぎる。初めて出会った時の彼
の裸踊りが、昨日の事のように思い出された。
ある時は共に喜び、またある時は共に悲しんだ親友、ランスロット。
今はもう白骨となった、わが親友。
「おおー!ランスロットー!!」
エリックは、泣き叫んだ。
「妖精の森」を抜け出て、なんとか安全な地域まで逃げてきたエリック
は、震えが止まらなかった。怒りと、悲しみと恐怖のいりまじった感情
が彼を支配する。彼は地面にへたりこみ、その場に寝そべった。
危険は去った。だが、まだエリックはガタガタと震えていた。
「ぼくちん恐い!恐いよー!!うえーん!」
そしてエリック王は、「ホンギャアー!ホンギャアー!」と泣き、手足
をジタバタさせるのであった。
故郷の母へ、届け泣き声。
エリックは懸命に泣いたのだが、そのうち疲れて眠ってしまった。
かわいいベイビー、ハイハイ
かわいいベイビー、ハイハイ
そんな中尾ミエの歌声を、エリック王は聞いたような気がした。
エリック・ザ・イディオット生後3日の春の出来事であった。
END