#881/3137 空中分解2
★タイトル (HHF ) 91/ 3/14 6:51 (113)
CAMPUS> 降霊 (11) ■ 榊 ■ (73/75)
★内容
「みずき君、行ってしまいましたね」
綾は呟くように、語りかけてきてくれた。
みずきが自分の弟である事に、おそらく綾は気づいていないだろう。しかし、
少なくとも、弟のように思っていたことは確かだろうな。 −−−− 綾の表
て、榊はそう感じた。
「そうだね」
榊はうなずいた。
綾は手を止め、ふとみずきの事を思い出した。
元気いっぱいな少年の姿。
彼の明るい笑顔を思い出し、ふと慰められているような気がして、綾は微笑ん
でしまった。
そんな表情を読みとると、榊は苦笑してしまった。
彼女はあまりにも、感情が表情に出すぎる。
心を読むのが得意な榊にとっては、綾の心のすべてが解ってしまう。
なんとなく、榊は恥ずかしくなって下を向きながら聞いた。
「生意気だったけど、どこか憎めない奴だったね」
綾は顔をあげた。
「ええ、私もあんな弟がいたらなって、思いました」
そう言って綾は微笑んだのだった。
榊も答えるように微笑み、天井を……いや空を見つめて、こう呟いたのだった。
みずき……………、聞いたか?
外では一度だけ強い風がふき、山が震えているかのように木々が鳴いていた。
川のそばでは蛍が舞踊り、漆黒の山肌には綾の家の明かりが浮かび上がる。
中腹に広がる墓場。
明かりの灯された、ふもとの家々。
空には月がぽっかりと、白い光を放って浮かんでいる。
田舎の、夏の夜。
家の中ではいつまでも、人の笑い声が続くのだった。
END
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後書き
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何行ぐらいいったのでしょうか? とにかく、2000行は意識してい
ますが達成する気がありませんので、おそらく2000行近くだろうと思
います。とにかく、短編が長編になってしまうので困ってしまいます。
(^_^) 2000行近くなど、本編のCampus City 1 以来なんです。本当に。
でもこれで、一応の京夜綺譚シリーズの終わりです。おそらく、そうなる
ことと思います。理由は、書いてみたいものがこのシリーズでは無くなっ
てしまったこと、そして、もとの路線で書きたいものが見つかったからで
す。(初公開! 題名は「CORRAN」と言います。実際に書くかどうか
はまだ解らないのですが) いままで、お付き合い下さいまして、有難う
ございました。そしてこれからも別のシリーズで、宜しくお願いします。
(^_^)
振り返ってみると、この「京夜綺譚」ある意味で、中国古史を書いた
「京夜おじさんの寓話」シリーズの延長上にあるような気がします。「寓
話」の方も、自分でログの記録さえ残っていないのですが、けっこう気に
入っていました。その時、その時、いろんな意味を込めて、キーボードを
叩いていた自分を、なんとなく、思い出してしまうのです。
さて次は、「京夜日記」などでもやろうかな。(笑)
そうそう、このシリーズの冒頭で(変換の際「暴投」と出たのですが、
思わず確定キーを押してしまいました:笑)「いろんなことを」といいつ
つ、結局はCampus Cityの外伝となってしまったことをお詫びいたします。
と言うのも、最初は予定通り書きたい話題が先にあったのですが、キャラ
を奴らにしたとたん、本編の方で書けなかった部分を書きたいという欲求
にかられたのか、すっかり外伝の体を示してきてしまったと言うわけなの
です。その点が心残りでもあるのですが、実はスッキリもしました。これ
で多分、本当にCampus Cityとお別れすることができます。(実に、3年の
付き合い!)
画面を見やすくするために最初に空白を入れたり、章のかわりを明記し
なかったり、行の開け方を多くしたり、言葉を変えたり……。こんな作業
が文を書くのと同じぐらい好きだったりしますが、なかなか望み通りの結
果が得られません。特に、稚拙な文章が一番の問題なのですが、いかがだ
ったでしょうか? 誤字・脱字、文法間違いなど無かったでしょうか?
………心配です。
それでも、最後まで読んで下さった方に感謝。そして、「読んだよ!」
と一言いって下さる方にも、感謝! 間違いをそっと指摘して下さる方に
も感謝。こんな文章でも、いろんな人が見てくれるといいなぁと思ってい
ます。
最後になりますが、これは自分に向けてのメッセージ。
どうか、いつまでも小説を書くことができますように。
新鮮な感動を、いつも感じることができますように。
今日も風が体に心地よいです。
空には星が広がっています。
こんな単純なことに、いつでも感動できることを願って………。
-------- 京夜
89/09/01