AWC CAMPUS> 過去からのファイル 7-2 ■ 榊 ■ (47/75)


        
#839/3137 空中分解2
★タイトル (HHF     )  91/ 3/ 9  14: 7  (139)
CAMPUS> 過去からのファイル 7-2  ■ 榊 ■  (47/75)
★内容


ら叫んだ。
「席に座りなさい!」
「はーい!」「へえへえ」「いっそげー」
生徒は、ばらばらと散って行き、各自元のように席に付くと、号令がかかった。
「礼!」
やっと静かになり、御影は安心した安堵の息を漏らし、席に沈みこんだ。
やれやれ。
御影は窓の方を見つめた。
そとは、相変わらず暑そうで、蝉の声がうるさいほどであった。
広い運動場に陽炎が揺らいでいるのが見えた。
夏だな……。
御影はしばらくぼーっとしていた。
化石のような年老いた数学の先生の声などは、聞こえてはいなかった。
もっとも、まともに聞いている奴も殆どいない。
御影は、視線を感じ、そのまま焦点を近くに合わせた。
窓際の席。
ショートカットの元気そうなタイプの女の子が、嬉しそうに御影を見ていた。
「御影君?」
「えっ、なに?」
御影が慌てながら答えると、その女の子は楽しそうに笑い、乗り出してきた。
「は・じ・め・ま・し・て! 鈴木紗夜香よ」
「あ、ああ。御影誠一朗………です」
「ふふ、女性と話したことがないの?」
「あまり………」
「へえーっ。変わってる!」


           ☆   ☆   ☆   ☆



      と、ここまで書きました。まさに冒頭ですね。(笑)
 そして、次の話は、冒頭になるはずだった冒頭です。(笑) 最初は、こちらを
 使う予定だったのですが、次とのつなぎを考えて上を採用したのですが、個人的
      にこの場面好きですので一緒にアップしておきます。



           ☆   ☆   ☆   ☆



今は昔。
まだ、御影が榊に勝てなかった頃の話。
ただ闇雲に体を鍛えてきただけの御影にとって、榊の強さはどうしても理解できな
いものだった。
御影にとって強さとはすなわち、<力>であり、<早さ>であった。
その点では確かに榊に劣っているとは思えなかった。
しかし、勝てない。
それも、一回や二回の事ではない。
30回闘って30回勝てなかったのだ!
「心の違いだ」と榊は言うのだが、御影にはその意味がさっぱり解らなかった。
心……………心を一体どうしたらいいと言うのだろう。
榊は笑ってそれに答えてくれなかった。だが一言。
「普通の学校に通ってみれば?」と言うだけだった。
普通の学校……………。
そこで一体何を学びとれと言うのだろう!



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               CAMPUS CITY 3

             FILE 5   MIKAGE


                「赤い瞳 黒い瞳」


                      By SAKAKI



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「おい、御影!」
「あっ、ああ?」
体育の時間、運動場の端でどうしたら良いのか解らず途方に暮れていた御影はいき
なり声をかけられ、驚いたように振り向いた。
俗に言う<バット>と呼ばれる物を相手は持ち、「ほれ、順番だぜ」といって、手
渡そうとしているようだった。
「これを…………」
どうしたらいいのか………という言葉を口に出さず、精いっぱいの知識を動員して、
行動し始めた。
すなわち、そのバットを降り上げ、手渡しに来た友達を殴ろうとした。
「ちがーーーーう!!」
「ほ?」
「そっちだ、そっちに立つんだ!」
相変わらず首をかしげつつ、言われたとおり御影はバッターボックスの立ち、キャ
ッチャーをバットで殴ろうとした。
「違うっちゅーの!」
「…………いったい、どうすればいいんだ?」
「………お前いったい、どこで育ったんだ」
そう言いつつ、彼は他の選手を代わりにバッターボックスに立たせ、いちいち事細か
に説明してくれた。
その選手は初球を上手く打ち、球を外野まで飛ばし、走りはじめた。
「なるほど、要するに球を遠くに飛ばせばいいんだな」
御影は納得したようで、うなずきながらバッターボックスに立った。
見ている者は、いまいち心配であった。
皆の心配をよそに、しかし、御影はさきほどよりはよっぽど野球らしくバッターボッ
クスに立った。
「球を……遠くに……打つ」
ぶつぶつ言いながら、彼は一二回素振りをしてみた。
ピッチャーの方は、この不可思議な男にどう対応したら良いか解らなかったが、何は
ともあれセットポジションをとる。
「球を……遠くに……打つ」
御影はピッチャーを見据える。
ピッチャーは大きく振りかぶり、球を投げた。
直球、ストライクゾーンぎりぎりのいい球だ。
「球を……遠くに……」
そして御影は、バットを疾風のごとく振りぬく。
「打つっ!」

カ゛ッッッ!

不可思議な音のしたボールは、一線、空に白い軌跡を残して飛んでいった。
「飛んだ、飛んだ……」
そして球は落ちる気配などいっこうに見せず、さらに飛んでいく。
「………おいおい」
そして球は、空に吸い込まれる。
球はもうどこにもなかった。
「…………どこに行った」
それを聞いて、誰かがぼそりと呟いた。
「こりゃ、衛星になったな……」
彼のいいはまことに的を得ていた。
実際に球はその頃、大気圏を脱出したところであった。

誰もが口をぽかんと開けて空を見つめるなか、金網を越えればホームランというこ
とさえも知らぬ御影は、さっきの彼にこう聞いた。
「もっと遠くに飛ばさなくちゃいけなかったのかい……?」






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