AWC CAMPUS> 解説集  その七    ■ 榊 ■ (45/75)


        
#837/3137 空中分解2
★タイトル (HHF     )  91/ 3/ 9  13:55  (140)
CAMPUS> 解説集  その七    ■ 榊 ■  (45/75)
★内容


   File - 5 沖直也 一条昌也

   これは冒頭どころか、まったく構想のみ。その構想すら、紙に書いておいてい
  ないのであやふやである。と言うのも、ほとんど流れで作ってしまった作品で、
  特に書きて残しておきたいという意欲を誘う作品ではなかったのです。


   沖と一条は親の代からのライバル同士で、それでいて仲のいい二人である。何
  かと争い合い競い合うのだが、その勝敗は大方引き分けになる。小さいものは口
  げんかから、大きいものは兵器を持ち出してまでの争いになる。この話は、星城
  学園に入学する前にあった、最も規模の大きかった戦いを書こうと思いました。

   最初は、口げんか程度の言い争いをしながら、いつでも一緒にいる二人のシー
  ン。やがて、争いがエスカレートしていき、何かで決着をつけたいと思いだした
  二人の前に、同級生の誘拐事件が転がり込み、どちらが先に救い出すかというと
  んでもない賭けを始めた。親の協力も得て、戦車は走るは、戦闘機は飛ぶはで大
  騒ぎになる。誘拐した犯人の方は大変で、何かと被害にあっていた二人のライバ
  ル会社が手を貸し、規模はさらに大きくなるが、けっきょく二人はものともせず
  文字どおり壁を突き破るようにして、「同時に」誘拐された同級生の女の子の前
  に出る。
   また引き分けであることに気づいた二人は、急にやる気が失せ、同級生の女の
  子のことなど忘れて、慌野となってしまった場所を二人で仲良く帰っていく。思
  わず呆然とする女の子、そして被害甚大のライバル会社の幹部連。
   二人は、何もなかったかのように歩いて帰る途中、沖が
   「星城学園にいこうと思っている。お前も来ないか?」
   と言い、一条も同意して、二人は入学する。

   そんな話です。


   Fiel - 6 阿蒙弥生

   彼女はもともと不良でした。と言うより、何事に関しても素直でなく、反抗し
  続けて育っていったのです。この話は、そんな彼女が普通の女の子の格好をして、
  人通りの多い道ばたに座り込み、通りゆく人々を眺めているシーンから始まりま
  す。

   どちらかと言えば厭世家である彼女は、「普通の人が普通に生きている」こと
  が何故か不思議でしょうがなく、気まぐれにこうして座り込むことがあった。歩
  いている人々の十人十色の表情、しぐさ、態度を見ながら、「どんな気持ちでい
  るのかな」とか「何を考えているのかな」などと想像しているのである。この時
  もそうであった。
   彼女は彫りの深い顔をした美人なので何度となく声をかけられるが、その度に
  奇想天外な返答をかえして相手を追い払っていたのだが、たった一人、この弥生
  の奇想天外さに対応した男がいた。後に、星城学園の演劇部副部長になる男であ
  る。
   弥生は、興味がないような様子で一度は彼と別れるが、すぐに学校で出会うこ
  ととなる。彼は同じ学校の演劇部に在籍していたのだ。同じような感性を持ちな
  がら普通に生きている彼に興味を持ち、知らず知らずのうちに彼女はその演劇部
  へ頻煩に足を運ぶようになった。
   彼は不思議な人物であった。馬鹿なのか、天才なのか。怒っているのか、笑っ
  ているのか。嬉しいのか、悲しいのか。全てに境がなく、いっぺんに変化する。
  そして、時折、どきっとするほど自分と似た行動をとる。
   そしてある日、彼が初めて書いたと言う台本を、読み通すことがあった。
   それは彼の人生を語ったようでもあり、弥生の人生を語ったようでもあった。
  ただ、あまりにも真剣に、まるで自分の心を叫んでいるかのような彼の声に、弥
  生ははかなくも涙を流してしまった。
   弥生はとうとう演劇をやってみたいと彼に語ると、演劇部は彼女を喜んで受け
  入れてくれたが、そこには一つの試練が待っていた。
   入部試験として、あの彼女がはじめに佇んでいた通りで、ナンパしろと言うの
  である。それも男装をして。
   彼が言うには、「恥を捨てさり、観客に魅力を感じさせるための、最高の練習
  方法」と言うことなのである。
   そして試験日、一番女性を引っかけることに成功したのは、誰でもない男装を
  した彼女であった。落ち込む部員達を見て、彼女は初めて笑った………。

   と言った感じです。


   File - 7 御影誠一郎

   これは、冒頭だけは書いてあります。先に簡単な説明をします。
   1で少し書いたことなのですが、御影は無類の強さを誇っていたのですが、か
  つて榊に負けたことがあります。その後、御影は榊に教えを請い、御影はさらに
  強く、また人間らしくなります。その話は、その御影が成長するときのお話です。

   御影は孤児でした。まだ赤ん坊の頃に孤児院に預けられ、物心ついた頃になる
  と理事長の北村啓治に引き取られます。孤児院にいたときから、そして引き取ら
  れた後も御影はケンカばかりしていました。相手を見つけてはケンカをふっかけ、
  彼は勝ち続けました。学園が出来上がり、榊が入学したときにもやはり彼は試し
  に殴りかかってみたのですが、信じられないことにことごとく避けられてしまっ
  たのです。それは、御影にとってはじめての経験でした。それ以来、暇があれば
  榊につっかかていたのですが、すべて避けられ逃げられてしまいます。そしてあ
  る日、とうとう榊が反撃し御影ははじめて殴られ、気絶してしまいます。
   御影は数日のあいだ、何故負けたのかを考え続け、そして、榊に教えを請いに
  いきます。榊は喜んで、その願いを受けました。
   直線的で先の読みやすい御影の動きを指摘し、円の動きを教えると言った、基
  本的な指導がしばらく続き、そして御影は最後の指導を受けます。
   「一度、普通の学校にいってみるといい」
   それがどうして強さの本になるのか解らぬまま、御影は転校します。話は、そ
  の転校するシーンから始まります。

   ごく普通の高校に入学した彼は、まず、三人の個性的な人物と出会います。一
  人目は堺義家と言う、クラスに一人は必ずいるような、何事にもなんくせをつけ
  る不良。二人目は、大原一郎という、気弱なクラスの委員長。そして、御影の隣
  の席に座る、活発で世話好きな女の子、鈴木紗夜香。この三人に囲まれ、御影は
  様々な経験をしていきます。

   あとは、具体的なストーリーはなく、イメージがいくつか存在するのみです。
  例えば、御影は転校する前にケンカをしてはいけないと厳命されています。とこ
  ろが、堺義家は機会あるごとに御影に突っかかってきます。御影はこれにより、
  以前の自分を堺義家に見いだします。
   そして、大原一郎という気弱で頭のいい委員長と友達になり、いろいろと常識
  を教えてもらい、その一方で弱い彼の精神を鼓舞するようになります。
   鈴木紗夜香は彼が最も苦手とするタイプで、例えば、御影が堺義家に殴られる
  と、「馬鹿っ! 何で、すぐに逃げたりしないのよ!」と言って怒りながら、バ
  ンソーコーを貼ったりしてくれます。この時、御影は強いという条件は力だけで
  はないことをしみじみと味わいます。

   あと、イメージに強く残っているのは、体育の授業でバスケットボールをやっ
  たときのことです。誰もが当然のごとくに身につけている流れるような動きを見
  て感動し、彼は日が暮れるまでその動きを研究し続けます。
   円の動き。次の動作に続く、水の流れのように止まることの無い動きをこの時、
  実感します。彼はたった一日で、その高校のバスケットボール部のキャプテンを
  遥かに越え、飽くこと無く、貪欲に動きを追求し続けます。

   また、彼は学園にいたときも毎夜、訓練を続けていた癖が抜けず、なるべく目
  立たぬようにして、夜の街を走り抜けます。そのほとんどは屋根から屋根へ、木
  から木への空中の移動なのですが、その途中、クラスの女の子がからまれている
  のを見つけ、ばれぬように助けるのですが、猫のように光る瞳を見られてしまい
  ます。(彼は猫のように夜目が効くので、逆にこう言った現象が起きることもあ
  るのです。もしくは、目が赤くなっていたからかも知れません。目が赤くなった
  とき、彼の赤い瞳は闇の中でも光っているのです)
   この話は、それほど本編には関係がなかったはずなのですが、かなり強い印象
  を受けています。と言うのも、彼の目はやや切れ長で、非常に野生的な瞳をして
  います。闇の中に二つ、この双瞳のみが光っている様子を想像したところ、言い
  もいえぬ強い印象を受けたのです。

   そして、最後のシーン。一か月ほどの滞在を経て、彼は学園に帰っていきます。
  榊が車で迎えにきてくれ、やっと慣れてきた仲間達と離れてしまいす。御影は車
  の中で、生まれて初めて泣きます。そして、彼は大事なことを見つけたのです。

   余談ですが、彼が泣いたのは、確かこれが最初で最後だったはずです。ですか
  ら、この涙は、普通以上の意味あいが、彼にはきっとあったはずです。

   こんな、お話です。






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