AWC CAMPUS> 不屈の学園都市 (11)  ■ 榊 ■ (12/75)


        
#803/3137 空中分解2
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CAMPUS> 不屈の学園都市 (11)   ■ 榊 ■  (12/75)
★内容


「そうだ」
男は結構あっさりと白状した。
「つまり、またか……」
未杉と男は、榊が今言った意味が解らなかった。
「どういう意味だい? またって」
榊は手を額に当て、落ち込んでいた。
「しょーこりもなく、あのおっさんは」
榊はぶつぶつ文句を言い始めた。
「その喜多川って言うおっさんな、うちの校長のライバルらしくって、何かにつけそ
のおっさん勝負しかけてくるらしい。校長が毎日のように愚痴いっとったわ」
未杉と男は理解した。
「おれも一度そのおっさんにお世話になったことがある」
榊は再び落ち込んだ。
何か嫌なことがあったのだろう。
「それで、期限は3日か……」
榊は再び考え出したが、やがて迫力のある低い声で言った。
「よし、受けて立とう」
男はにやっと笑った。
勝算があるのだろう。
「さてと、何はともあれ、どこに綾さんが連れられたかだな。未杉」
榊は因縁、疑惑付きというような目で未杉に合図した。
男の背中に悪寒が走り、逃げようとした時にはもう遅かった。
未杉はウィンクし返すと、おとこの後頭部をこんと叩き、気絶させた。
「せっかくの<証拠>ですから。しっかり絞ってきます」
「演劇部にでも手伝ってもらえ」
榊は男を引きずって出ていく未杉に言った。
「さて……では、忙しくなるぞ。美里!」
「何でしょうか」
榊は、女生徒会長のような、髪の長い、気の強そうな女性を呼んだ。
この学園の副会長をやっている、中国美里である。
背が高く、榊と並んだら、なかなか似合いそうな美少女である。
「放送部とつないで、このマイクを、学園全域に放送が伝えられるようにしてくれ」
美里は全ての人と交信し、全ての人に命令をするのが役目である。
「やるんですか…………。解りました」
美里は手元のコンソールを叩き始めた。
この部屋の状況を話し忘れていたが、大きさ少し広めの会議室と言ったところか。
中には、机が円形に並べられてあり、そのちょうど一番奥に当たるところに榊が座っ
ている。
そしてその左に副会長が。
その右に会計、書記の順に座っていた。
会計は勿論お金関係。
書記は、情報の出し入れと言ったところを仕事としている。
「会長、張り切るのはいいんですけど……」
大きな丸い眼鏡を掛けた少し小さめのかわいい女の子が榊に紙を出した。
会計の中条裕美である。
「なんだ、今月の支出の分じゃないか」
榊は紙を取って見た。
「よく見て下さい。これでまだ、半月なんです」
裕美は眼鏡を外しながら言った。
「そういえば…………何でだ?」
「その炎城さんの歓迎式典です。会長」
「そういやー、そうだな」
「今回はあまり大きくやれませんよ」
裕美は榊に釘を打ち込んだつもりだったが、逆に榊はかすかに笑った。
「これがいつもならな。だが、今回誘拐された人は誰だ? 校長のたった一人の血の
つながりのある子だぞ。どれだけお金をかけても、校長から金をもらうことが出来る」
会計の裕美はクスッと笑うと、眼鏡を掛け直し、席に戻った。
「では、どうぞ、ご自由に」
榊は満足げに微笑んだ。
「会長。用意できました」
美里がマイクを差しだした。
「よしっ」
というと榊はマイクのスイッチを入れた。
息を大きく吸い、そして叫んだ。
「全校生徒の諸君!」
第一校舎 −−−−−
「我々に一通の挑戦状が届いた」
白百合館 −−−−−
「あの校長の姪の炎城綾嬢を誘拐し、今かくまっているという」
第二校舎 トイレ −−−−
「それを3日以内に奪回してみろと言うものだ」
運動場 −−−−−
「幾人か知っている者もいるだろう。『喜多川一郎』と言う男がこの挑戦状をたたき
つけてきた」
剣道場 −−−−−
「我々はこの挑戦に受けて立つことにした」
情報部部室 −−−−
「各部の部長は至急、生徒会室に。他の生徒は各自待機していてくれ。以上報告終わ
り」
放送が終ると、一瞬の沈黙が広がる。
その後、Aは他人事のように呟いた。
「えらい張り切っとるなー。会長はん」
生徒会室 −−−−−
榊はマイクのスイッチを切った。
「よく、響いたか?」
榊は美里に聞いた。
美里は耳をふさいで、倒れていた。
「どうした?」
美里は体を起こして言った。
「この……。そんな大声で放送するな!!」


ACT 13 綾の行き先

御影達4人は、ワゴンに乗って出発した。
運転は美那である。
車は学園を出て、町に続く一本道を通っていた。
車の中では、情報部にあるコンピューターの<YURA>と交信はできないかという
御影の注文により、菜緒がいろいろ改造していた。
ラジオを引き出し、途中の回線経路につなぎ、そのコード線を阿修伽の情報処理の回
路につなぐと言う芸当を、菜緒は10分でやってのけた。
「よーそんな事が出来るなー」
御影は感嘆した。
御影は頭が悪い方ではない。
いやむしろ良いと言った方がよいくらいである。
一度、見聞きした事は忘れないのである。
しかし、勉強は好まなく、授業でやったことのみ憶えているだけである。
それに加えて機械も好まない。
だからせっかく制作部が重装強化服〈コンバットドール〉などをつくっても、着るこ
とはない。
むしろ、ナイフや剣などの方が喜ぶ。
さて、無線にのせ、阿修伽がBIG COMPUTER <YURA>に侵入し始
「パスワードって聞いてますけど、どなたか知りませんか?」
阿修伽が聞いてきた。
「M・I・S・U・G・I」
御影が答える。
「解りました。コンタクトします」
阿修伽は目をつぶり、交信し始めた。
「MISUGIって……。  」
菜緒が聞いた。
「そう、あいつ部長になったら、いきなり自分の名前をパスワードにしやがったんだ」
未杉君は、見かけによらず目だちたがり屋です。
「何をひきだすんですか?」
「喜多川関係の資料。最初は綾さんの誘拐先になりそうなところを割り出して欲しい」
「解りました……」

生徒会室 −−−−
「ゆきちゃん。ちょっとあの男の様子を映像に出してくれないかな?」
榊はちょっとボーイッシュな格好をしている、髪の短い女の子に言った。
書記の岡田由岐である。
<ゆき>とゆばれたその女の子は、手前にあるコンピューターを操作し始めた。
「今でます」
と言うと、榊の机からテレビが出てき、何やら映像が出て来た。

病院の手術室 −−−−
なかは消毒液の独特の臭いがした。
青い部屋の中に、3人いた。
一人は脈拍などを調べる機械の前。一人は台の前。
そしてもう一人は、台の上…………
そうあの男である。
未杉は部屋が覗けるマジックミラーの後ろにいた。
台の前の男 −−− 演劇部の副部長をやっている男であるが、今、やってきた男
を切り開いていた。
ちょうどその時、男が起きた。
「なんだ? ここは……」
男は周りを見回したが意味が解らなかった。
てっきり拷問室にでも運ばれるもんだと思っていたのである。
部屋は青く、少し暗かった。
男は首しか動かすことができず、不自由ながら周りを見た。
そして自分を見た。






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