AWC CAMPUS> 不屈の学園都市 (2)  ■ 榊 ■ (03/75)


        
#794/3137 空中分解2
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CAMPUS> 不屈の学園都市 (2)    ■ 榊 ■  (03/75)
★内容


いつのまにか、オーケーストラの演奏がやみ、さっきの歓声はどこえやら、いっぺん
に静かになった。
人の群れもいつのまにか、きちんと整列している。
(歓迎というよりも、もしかしたら、からかわれているのかしら……)
御影はピョンと飛び降り、助手席のドアを開けた。
「お嬢さま。どうぞお降り下さい」
さっきの笑い顔はどこえやら。真面目な顔をして御影は綾を招いた。
(どうやら、からかわれているみたいね……)
綾はしかたないという顔で車を降り、2千はいる生徒の前を通り、台の前まで歩いた。
御影と綾は台の前に立つと、きをつけ、の姿勢をとった。
やがて広い運動所に響くような大きな音で、放送がかかる。
「えーただ今より、校長の姪にあたる、炎城綾さんの歓迎式典をおこないます。校歌
斉唱!」
そしておごそかに音楽が流れ始め、全校生徒は歌い始めた。


ACT2 AYA&SARA

柳瀬沙羅 < ヤナセ サラ >
 剣道部部長。今回綾と同室となり、クラスメイトとしても綾と関係。これも御影と
一緒で綾の子守のための校長の配慮らしい。

学園内のある寮の一室。AM6:00。
すばらしい快晴で、窓からの光がまぶしい。
部屋は二人部屋で、二段ベッドと机と、ちょっとしたスペースがあった。
そのちょっとしたスペースで少女が木刀で素振りをしている。
ネズミ色のトレーニングウェアを上下にまとい、赤色のタオルを首にまいている。
重そうな木刀をまるで細い木の枝のように振り回していた。
ちょっと男もまさりの様な顔立ちではあるが、優しそうな大きな瞳が印象的な少女だ
った。
さて、もういっぽうの同居人といえば、まだふとんの中でおねんね。
昨日、45分間もの間、ずっと立たされ続け、あげくのはてに貧血でぶっ倒れてしま
った綾であった。
綾は知らないが、計画としてはじつは3時間ものだったそうだ。
綾はやがてゆっくりと目を開けた。
現状を把握できず、目の焦点があっていない。
「あっ、起こしちゃった?」
木刀を振り回していた少女は綾が起きたのに気付き、すまなそうに声をかけた。
「ここは……」
綾はゆっくり体を起こして周りを見た。
少女は部屋の隅に木刀をたてかけて、綾のほうに近付いていった。
「始めまして、剣道部所属の柳瀬沙羅です。よろしく」
「あ、炎城綾です。よろしく……。えーと、ここは……」
「あら、覚えてない? えーと、きのう、式の途中で倒れてかつぎ込まれたでしょう?
保健室でもよかったんだけど、朝までゆっくりさしてやろうってことで麻酔うってこ
こで運び込まれたってわけ。わかる?」
綾はやっと昨日の事を思い出した。
(そういえば昨日、45分間も立たされたんだっけ)
理解したという顔を見て沙羅はにっこり笑い、こんどは腕たてふせを始めた。
綾はしばらくその姿を見ていた。
「あのー……。ちょっと聞いていいですか?」
「なーに?」
「なぜみんな、自己紹介するとき自分の所属している部の名前をいうんですか?」
沙羅は腕立てふせを続けながら言った。
「ここの学校はねー、クラスよりもクラブの単位で行動するの。だから1年B組とか
いわずに、何部所属というわけ」
「そうなんですか……」
きっかり30回やると沙羅は立ち上がり机の方に歩いていった。
「忘れてたわ。ハイッ、プレゼント!」
沙羅は机の上にあった山ほどの花束を綾に渡した。
ばら、ゆり、すずらん。赤や黄色に青。
いっぺんにそこだけ春になったようだった。
「わあ……」
花束のまん中にカードがあった。
綾はそれを取った。

 「 親愛なる綾よ。せっかく歓迎式典を設けたんだが、かえって悪かったよう
   だな。また用事で当分あえんが、同室の柳瀬に色々聞いて、仲よくやって
   くれ。昨日はすまんかった。
                               北村啓治 」
叔父からの手紙であった。
もう少し、話がしたかったなと思いつつ、綾はそのカードを元の所に戻した。
「今日は日曜だから授業ないけど、クラスはF−2よ」
「F−2?」
「そう、F館の2番目の教室のこと。同じクラスだから、あした教えたげる」
沙羅はいつのまにか着替えると、ドアの方に歩いていった。
「これからちょっと朝練行ってきます! 今日の案内は御影君が来てくれるはずだか
ら……じゃあ、いってきます!」
ドアはパタンと閉められ、再び静寂が戻る。
(元気な人だな……)
綾は、まだ薬の効果がきいているのか、ぼんやりした頭を振りながらバッグの中の服
を取り出すために、あったかな布団を出た。


ACT3 制作部

芹沢美那 < セリザワ ミナ >
 学園内の一番の問題クラブといわれる制作部の部員。おもに化学的な薬品調合を得
意としている。少々性格に欠陥有り。

芹沢菜緒 < セリザワ ナオ >
 先に書いた美那の妹。同じく制作部。おもに組立および、それのテストを担当。


そのころ御影はバイクで北の方にある、大きな校舎に向かっていた。
校舎の前でバイクを止めると、御影は(制作部)と書かれたドアを叩いた。
鍵はかかっていなかった。
ドアを開ける。
中は教室ぐらいの大きさの部屋だった。
天井の高窓から朝日が差し込み、部屋は案外明るい。
中には所狭しと、いろいろな機械がおいてあった。
IC、LSIの入った基板。R−2D−2らしきロボット、メーヴェ、はたまたレー
ザーソードまであった。
ほとんど歩ける場所がない。
御影は慎重に中に入って、ドアを閉める。
「あら、せーくんじゃない」
部屋のまん中で少女がなにやら立って仕事をしていた。
清潔感のある白いコートをまとい、学者とは思えないような、まだ若い少女だった。
二本の試験管を持っているところを見ると、なにか薬品を調合しているようだ。
「おっ、美那か。早いなー」
「徹夜よ、て・つ・や。あのあほ部長がやれっていうの。ところでせーくん、今度の
編入者の子守頼まれたんだってねー。けっこう美人だがら嬉しいんじゃない?」
美那のはやすような言葉に、御影はそっぽを向いた。
「別にー。興味ねー」
「またまた。そんなこと言ってー。これ、欲しい?」
美那は近くに置いてあった、何かしらの小瓶を取り出した。
「なんだ?」
御影の問に対し、美那は真剣な顔で答える。
「媚薬」
「んなもんいるか!!」
「じゃあ麻酔薬?」
「いらんちゅーとろうが!!」
「せっかく親切にいっているのに……」
美那はふくれっ面になった。
「おまえの親切は質が悪い」
「御影君が欲しいのはこれよねー」
今度は奥の方から声がした。
美那とそっくりの少女だった。
だが髪が違う。あちらは腰までとどくほどのロングヘアー、こちらはセミロング。
しかしそれ以外はほんっとに似ている。
それもそのはず、実はこの二人、一卵性の姉妹である。
しかし、性格は少し違う。
姉の美那はさっきので解るように、少しかわっている。
妹の菜緒のほうが、少しまともである。
しかしさすが姉妹、じつは妹にはもっと凄い性格が隠されているのだが、それは次の
ACTで話します。
菜緒は白いプラスチックらしき物でできた肘あてをひらつかせた。
「そうそれ。投げてくれ」
「じゃあ、いくわよー…………ハイッ!」
菜緒がそのプラスチックを投げる。
それは大きな弧をえがき、御影の所に飛んできた。
すかさずキャッチ。
「ナイスッ!」
「サンクス。……ところであほ部長は?」
御影は服の下にすかさず装備しながら聞いた。
美那は、いかにも具合い悪そうな顔をして、奥の扉を指さす。
「今合わない方がいいわよ。硫酸かけられても、文句のいえない雰囲気」
「またか…………」
御影は呟きながら、服を元に戻す。
「一応、あとで来たということは伝えといてあげようか?」






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