AWC 試験前の過ごし方(第一回)       青木無常


        
#761/3137 空中分解2
★タイトル (GVJ     )  91/ 2/ 6   5:27  ( 90)
試験前の過ごし方(第一回)       青木無常
★内容

         教養講座「現代大学生の生活」
             春の特別偏
           「試験前の過ごし方」

 核の冬の寒さも厳しい新春のおり、全国の大学生のみなさんはいかがお過
ごしでしょうか。進学、卒業を目前にして、いまみなさんは勉学にいそしん
でおられることと思います。しかし、ちょっと待ってください。試験を前に
して勉学にいそしむ――少し妙だと思いませんか? あなたはひとの道に外
れたことをしているとは思いませんか?
 そうです。大学生は勉強などをしてはいけません。とりわけ、試験勉強な
どという不毛な行為は百害あって一利なし。毒にも薬にもならない学校のお
勉強などに貴重な時間を浪費するなど愚の骨頂であることは、二度と戻らな
い青春時代を予備校で過ごしてこられた皆さんなら重々承知しておられるこ
とと思います。
 当講座では毎回、こうした道に外れた大学生をあるべき姿へと呼び戻すべ
く、マニュアル方式で正しい大学生の在り方を指導してまいりましたが、今
回は特別偏、と題しまして、試験前の過ごし方について講義してまいりたい
と思います。どうぞこの番組をご覧になって、有益な学生生活に戻るよう、
切に願ってやみません。
 さて、前おきが長くなってしまいましたが、みなさんは、現代の大学生が
学士という名に値する頭脳を持ち合わせているとお思いでしょうか……。そ
うですね。みなさんもご承知の通り、現代の大学生というのはバカ、と同義
語であることは論を待ちません。もちろんこの私も、大学を出ております。
と、いうことは、もちろん、私もまたみなさんと同じバカなのです。その私
てきたからといって、急に焦り出して勉学の真似事をはじめようとしても、
これはもう無謀としかいいようがないことは疑いもありません。
 そこで、本論です。試験前の正しい過ごし方、というのには、ポイントが
三つあります。まず「無理」。そして次に「無駄」。そして最後が「無計画」。
この「無理、無駄、無計画」の三大原則を遵守することが大切です。
 それでは、これから試験一ヵ月前を起点にして、タイムテーブルで標準的
な試験前後の過ごし方をみていくことにしましょう。Aくんは大学二年生。
一浪して希望よりワンランク落ちる大学に入学した前年度、試験の結果は惨
憺たる有様でしたが、かろうじて留年の危機を免れました。Aくんの大学は
試験が二期に別れていますが、今年度の前期試験も成績は芳しくありません。
そんな状態にありながら、Aくんは模範的大学生のマニュアルどおりディス
コやドライヴで毎日を脳天気に過ごしてきました。そして……。

[試験一ヵ月前]
回の試験後、「今度こそ最低でも試験の一ヵ月前から準備をは
じめよう」などと心に固く誓ったのですが、にもかかわらず、まるでなにも
していません。それどころか、あきれたことに少なくとも試験前くらいは授
業に出席すべきところを甘く見て、一日中アパートで寝ていることさえあり
ます。かと思えば、アルバイトやパソコン通信といった授業とはまったく関
わりのないものごとに抑え難い意欲を突然示し、その反動でますます試験の
準備などといったことからは遠ざかっているのです。そしてこの悪循環をく
りかえしながら、Aくんは試験前一週間へと突入していくのです。

[一週間前]
、まだ一週間も時間があるという安心感が拭い難く存在してい
るようです。ことここにいたっても、まったくなにもしていません。学校に
は顔を出していますが、あいかわらず教室からは足が遠退いているようです
ね。友達や女の子と楽しく過ごしながら、試験のことにはほとんどかかわり
なく一日を浪費していきます。しかも、この時期に徹夜ぐせだけでもつけて
おこうという無謀きわまりないことを考え、通常に倍する夜更かしをはじめ
ています。おやおや、その結果、三日前を迎えずして体調を崩しはじめたよ
うですね。相応して気力の方も削がれています。さあ大変。

[三日前]
@気ばかり焦って、やはり実質的なことはなにもやっていません。遅ればせ
ながらノートのコピーを入手してきたようですが、まちがいなくすでに手遅
れです。おや、引き出しから以前に入手していた別の課目のコピーも出しま
したね。しかしどれだけ早い時期にコピーを手に入れていたとしても、引き
出しの奥に眠らせておいてはものの役に立ちません。必死になって移しはじ
めたようですが、長くは続かないでしょう。
 徹夜が本格的になってきたようです。体調はますますひどくなりつつあり
ます。

[前日]
 どうやらAくんはやっとのことで、コピーをノートに移したりまともに勉
強しても無駄だということを悟ったようです。ご覧ください。ロヂャースで
購入した炬燵に向かって彼がしこしこと作成しているのは、試験用のノート
ではなくもっとちまちました小さな紙――そうカンニングペーパーですね。
どうやら今夜も徹夜になりそうです。当日の体調は、もう最悪。

目]
 Aくんは教室で試験用紙に懸命に取り組んでいますが、連日の徹夜で頭が
うまく働かないようです。試験官がこまめに巡回しているため、せっかく作
成したカンニングペーパーも威力を発揮していません。
 結局、できぐあいは最悪であったことをこの蒼白な顔面が如実に物語って
います。おやおや、終了後なのにまだ頭が混乱したままのようですね。つま
ずいて転びそうになっています。
 不安感があるのでしょう、他人の出来不出来をやたらに聞き回っています
ね。本来、他人のテストの成績など関係ないはずなのですが……。どうやら
Aくんのこの性癖は高校時代からのもののようです。執拗に聞き回りってい
るようですが……しかし、この行為はどうやら裏目に出たようです。肩をが
っくりと落として帰宅の途につくAくん。あ、だめだめ、ゲームセンターな
んかに寄っても、気分転換にはなりませんよ。ああ、入っちゃった……。
 二時間後、チカチカするディスプレイで目を真っ赤にして帰宅したAくん
は、遅れを取り戻そうと焦りまくっていますが……もとより無理な相談です。




前のメッセージ 次のメッセージ 
「空中分解2」一覧 青木無常の作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE