#701/3137 空中分解2
★タイトル (HAG ) 90/11/15 6:19 (128)
REIKO (2) By CA
★内容
空はもう薄暗くなっていた。太陽は沈み、基地はオレンジ色に染
まっていた。
2人はベットの上にいた。窓から入る夕日の光がシーツまでも染
めた。部屋の中は、丸でオレンジに染められた、別世界のようであ
った。
「教官…」
「美香でいいわよ…」
「それって、コードネームですか? それとも…」
「好きな人には本名で呼んでもらいたいものよ…明(アキラ)…」
「美香…」
そのころ宿舎の2人は…
「なぁ、グーリー…トッピーのやつどこ行ったんだ?」
「さぁ…どこかで女の子でもたぶらかしてるんじゃないか?」
はっくしょん☆
次の日、朝から空はどんより曇っていた。
トッピーは昨日から教官の部屋にいた。
「明…そろそろ戻った方がいいわよ」
「え、ええ。それじゃ…」
「明…昨夜の事はないしょよ」
「はいはい」
「『はい』は、一回でいいの!」
「はい!! わかりました。教官」
教官…美香はくすっと笑って言った。
「それじゃあ、いってよし!」
トッピーは部屋を出ていった。そして自分の部屋にいく途中、ス
ターバックとグーリーに出会った。例のゲームセンターである。ス
ターバックとグーリーは『GUNTLET』をやっていた。スター
バックはウィザード、グーリーはファイターである。トッピーはバ
ルキリーにコインを入れた。ヴオン☆ バルキリーがあらわれた。
「トッピーじゃないか。どこ行ってたんだ、今まで」
「べ、別に…」
「へーっ…」
2人は顔を見合わせた。そして声を合わせていった。
「朝めしぬきだっ!!」
帰った3人は朝食をとった。とりあえず…3人ではあったが
…。
「このコロッケいらない? あっそ。じゃもらうねトッピー」
「睡眠不足にはオレンジがいいんだ。トッピー…これもらうぜ」
2人はトッピーの分をすべてたいらげてしまった。
「しかし、すげー雨だなぁ」
グーリーが窓を開けた。
「まったく…」
スターバックが返した。
「何がいいたいんだ…」
トッピーが言う。
「別に…ただこれじゃ飛行機も飛ばせられないなぁ…と…」
「だからどうした?」
「お前、てるてるぼーずになれ」
「あ?」
トッピーが答えるやいなや、2人によって、てるてるぼーずの格
好にさせられた。
「わ、わるかったよ!! 昨日のことはあやまるからさぁ…」
「どうする? グーリー」
「さぁ」
「じゃ誰と寝てたのか教えたら許してやろう」
「そ…それは…」
「なぁ、グーリー、こいつどうする?」
スターバックは脅しをかけた。
「わ、わかった。言うよ。言うからさ…」
「誰なんだ?」
「美香さん…」
と、トッピーが答えるよりも早く部屋のモニターに教官の姿が写
った。
「い、いきなり名前で呼ばないでよ」
「い、いや。これは…」
スターバックとグーリーは再び顔を見合わせる。
「うそぉ…」
「き、教官。何か用ですか?」
トッピーが言った。
「今日のテストは中止よ」
「わかりました」
モニターは消えた。
「どーやってたぶらかしたんだ…あいつは…」
スターバックはつぶやいた。
外はいちだんと雨が強くなっている。
「しかし、ほんとにひまだなァ。何か事件でもおこらねぇかなぁ…」
トッピーが言った。
その時、非常警報のブザーが宿舎に響きわたった。
「A級警戒態勢。基地の北北西5kmの海上にソビエト国籍の潜水
艦浮上。ミサイル攻撃の恐れあり。対地小型ミサイル発射用意。な
お、戦闘機隊スペースハリアーは悪天候のため発進・操縦不可と判
断。各センターで待機せよ。以上」
「−だってよ。スターバック」
それを聞いていたグーリーが言った。
「まぁ、たまにはいいじゃないか」
「ミサイル発射されたらおわりだぜ」
トッピーが言ってくる。
「じゃ、どーするんだ?」
「……」
トッピーは考え込む。
それを、館内情報システムによって聞いていた零子はしばらくし
て、エンジンを始動させる。コクピットのパネルにライトがともっ
ていく。やがて、滑走路を飛び上がった。
「トッピー!! 零子が…」
いきなり部屋のパネルに教官の姿が写った。
「どうかしたんですか?」
「出ていったのよ。この嵐の中を!!」
「零子!!」
トッピーは室内無線を操り、零子につなげた。
「零子!! 戻ってこい!!」
『トッピー…私…好きだったの…トッピーの事…でもね…しょせん
私は機械にすぎないのよね…』
「そんなことはないさ! 零子は立派な…」
『ありがとう、トッピー…たった一度きりの飛行だったけど…楽し
かった。まるで人間になったようだったわ…』
そのころ、ソ連の潜水艦では…
「日本軍、戦闘機接近!!」
「機体は?」
「信じられません! ゼロ戦です」
−−零子は『TURBO』で潜水艦に急降下した。
「トッピー…ありがとう…Bye…」
零子は浮上している潜水艦に向けて体当りした。
199X+2年4月8日、ようやく戦争に終止符が打たれた。そ
して新しい地図が発行された。
その日、1組の夫婦が生まれた。教会の鐘が鳴り響く。そこから
2人は白い光につつまれ歩きだした。
「ねぇ…明…もし、女の子が生まれたら…REIKOって名前にし
ない?」
−− THE END −−