AWC トゥウィンズ・3 十章 (3/3) (25/25) あるてみす


        
#667/3137 空中分解2
★タイトル (VLE     )  90/ 9/30  11:28  ( 41)
トゥウィンズ・3 十章 (3/3) (25/25) あるてみす
★内容
 健司は、あたしの頬から手を離すと、ゴチャゴチャに散らばっている板を揃えて
くれた。
 あたしは靴に着いた雪を落として板を着け、準備完了。一美も板を着け終わった。
 その頃には霧も完全に晴れて青空がのぞき、眼下には素晴らしい景色が広がって
いた。
「じゃ、そろそろ行くか。」
 康司が滑り始めて、一美が後に続く。
「くしゅん! くしゅん!」
 あたしも滑り始めようとしたら、急に、くしゃみが出てしまった。その拍子に転
びそうになる。
「おっと。危ねえなあ。」
 いつの間にか隣に来ていた健司に抱き止められた。
「あ、ありがと。」
 健司の手を借りたまま、体勢を立て直す。と、健司の顔が目の前に……。あたし
の体は健司の腕に抱き止められたまま……。そして、辺りには誰もいない……。
 本当に、ごく自然に唇が触れ合っていた。
 あたし、自分でもびっくりしていた。こんなことになるなんて……。しばらくし
て、寒さに震えていた筈の体が火照り始め、顔も熱くなっていた。
 やがて、唇が離れて、耳元でささやかれる。
「博美、好きだ。」
 健司の言葉を聞いた途端、胸の中に熱い思いがこみ上げてきた。
 あたしも……。あたしも、健司が好き……。
 無言のまま、健司の背中に手を回す。健司はそのままの体勢で板を外して、あた
しと向かい合うと、あたしの背中に手を回し、力強く抱き締めてくれる。
 再び唇が軽く触れ合い、そしてすぐに離れる。
「さ、早く行こうぜ!」
 健司は急にあたしから離れると、急いで手袋をはめて板を着け、勢いよく滑り出
した。
 そして、照れを隠すかのように勢いよく滑り出した。
「あーっ、待ってよー。」
 あたしも慌てて後を追う。
 えっと、スキーをハの字に開いて、と……。ゆっくりとプルークボーゲンで滑り
出して、少し先で止まって待ってくれている健司のところへ向かう。
 少しでも早く追い付きたくて、気ばかり焦りながら、必死で滑り降りる。
 ようやく健司のところにたどり着いて、ほっとして気を緩める。と、途端に小さ
なコブに足を取られて……。
 あっ、あっ……。
「きゃあっ!」
 ドサッ!

−−− The END




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