AWC トゥウィンズ・3 二章 (1/2) ( 4/25) あるてみす


        
#630/3137 空中分解2
★タイトル (VLE     )  90/ 9/16  13:24  (197)
トゥウィンズ・3 二章 (1/2) ( 4/25) あるてみす
★内容
二章  そして再び

 ドタドタドタッ!
「わっ!」
「きゃあっ!」
「いてっ!」
 口々に悲鳴を上げて硬い床の上に落ちた。
「いってぇ……。」
 したたかに腰を打った僕は、打ったところを手でさすりながらゆっくりと起き上
がった。
「あたた……えっ?」
 腰をさすりながら回りを見回して、思わぬ光景に呆然としたあと、僕は何度も目
をこすった。
「やだ……、うっそー。なんでー?」
 一美も口に手を当てて息を呑む。
 それは教会のような造りの建物で、後ろにはステンドグラスみたいに綺麗な飾り
窓。目の前にはたくさんの机にたくさんの人々。皆、着飾っていて、一様に驚いた
ような表情で僕達の方を見ている。さらに、すぐ横の机には牧師さん風の人がいて、
その前には一段と綺麗に着飾った女性と正装した男性がいる。
 なんか、結婚式やってるとこに紛れ込んだみたい。
「おお、これはこれはティアの方々ではありませんか。」
 突然、前のテーブルにいた人から声をかけられて驚いて見ると、
「あ、あれ?」
 よく見ると、その人はプラネット公だった。
 な、なんでプラネット公が? あれ?
 さらによく見ると、向こうのテーブルにはマース侯が座ってる。
 そして、もっとよく見ると、牧師さん風の前にいる二人はセレナ姫とディモス。
「あちゃー……。なんでー?」
 また、こっちの世界に来ちゃったみたい。参ったなあ。
 それにしても、また、なんで、この二人が……。
「さ、こちらへどうぞ。」
 目の前の光景と、信じられない取り合わせの二人を見て呆然とした後、再びこの
世界に来てしまったことに頭痛を覚えて頭を押さえながら、プラネット公に導かれ
るままにテーブルに着き、そこで改めて驚いた。
 いつの間に着替えたのか、健司と康司は騎士のようにりっぱな格好をしてた。そ
して、一美と僕は柔らかな手触りの淡いピンクのドレスに身を包んでいる。
 康司の手には白く輝く玉の付いた指輪が光り、一美は同じような玉の付いたペン
ダントを首にかけていた。僕は一美と同様のペンダントを首にかけ、さらに頭に触
れて気付いたんだけどペンダントの玉と同様に白く輝く玉の付いた小さな冠をかぶ
っていた。
 それらに驚いてる間もあらばこそ、結婚式は厳粛に進んでいって、僕達のせいで
一時中断した以外は、滞りなく無事に終了した。
 その後、プラネット公に導かれるままに外に出て、そこでやっと気付く。
 ここ、ソーラ王のお城だ。と、いうことは、今の建物はお城の中の教会っていう
わけか。
 あとで聞いた話なんだけど、プラネット公はソーラ王の実の弟なんだそうで、こ
の二人の結婚のことを誰よりも喜んだのはソーラ王なんだって。で、ソーラ王の協
力を得て、このお城の教会で結婚式が行なわれたんだって。
 プラネット公に導かれるままに大広間に入った僕達は、そのままソーラ王と並ん
で一番いい席に案内され、本当にこんな席でいいのか悩んでいるうちに続々と招待
客らが入ってきて、大広間が狭く感じるほどたくさんの人が並んで座った。
 そこへディモスとセレナ姫が入ってきて、皆の注目の中、新郎新婦の席に着いた。
 そして、場が静まり返ったところで、まずソーラ王の一言。
「婚姻の義も無事に終わり、両家の結びつきはさらに強いものとなった。さらに喜
ばしいことに、式の途中でティアの女神が御姿を現わして下された。これは、この
二人の将来が、さらに輝かしいものになることを確信させてくれるものである。皆、
今宵は新郎新婦の幸せと明るい未来を、そしてティアの女神の再来を、おおいに祝
おうではないか。」
 そして、テーブルの上のグラスを宙に向かって高く差し出した。それと同時に各
テーブルで全員がグラスを宙に差し出し、口々に「乾杯!」の言葉。
 それを皮切りにして、次々と祝いの言葉が述べられ、ディモスとセレナ姫は息の
付く間もないほど祝福され続けていた。
 結婚披露の宴も和やかな雰囲気のまま進んでいき、人々にもお酒が入ってきて、
だんだんと陽気になっていく。僕達も少しお酒が回ってきて、自分でも気付かぬう
ちに、はしゃいでいた。
 そして、同じく少し酔っているマイア姫と軽くおしゃべり。そこで、ディモスと
セレナ姫のなれそめなんかも聞かせてもらった。

 前に僕達が消えた後、改心したマース侯はソーラ王に忠誠を尽くすことを誓い、
やがてソーラ王やプラネット公と親しくなっていった。
 マイア姫と、その従姉妹であるセレナ姫も、同じ年頃のディモスと仲良くなって
いた。ディモスは特にセレナ姫と仲良くなり、一人お邪魔虫になってしまったマイ
ア姫は半ばムクレながらも二人に協力。
 一方、その親であるマース侯とプラネット公も、お互いに家柄も良し、年頃も良
しということで、話は一気に進んだ。
 自分の弟の家のことであり、また、両家が結びつくことで、さらなる結束が得ら
れるということもあって、ソーラ王は喜んで支援し協力することを約束した。
 そして、この佳き日、二人は祝福のうちに結ばれたというわけだ。

 そんな話を聞いてたら、いつの間にか宴はすっかり無礼講の様相を呈していた。
 主役の二人も姿を消していたけど、二人がいなくても宴の騒ぎにはもはや関係な
かった。
 今ごろ、二人だけで何やってんのかな、なんて思ってたら……ディモスは確かに
姿が消えてたんだけど(呑み過ぎて部屋でダウンしてるんだそうな)セレナ姫の方
は、いつの間にか僕達に混ざっていて、マイア姫の隣の席に座ってマイア姫の話を
人事のように面白そうな顔をして聞いていた。
「やーだ、セレナったらぁ。いつからそこにいたのぉ?」
 セレナ姫に気付いたマイア姫は、既に酔っぱらっていて、ろれつが回らなくなっ
てきている。
 語尾も伸び加減であまりマトモな話し方してない。
「なぁんだ。もう気付かれちゃったの? せっかく面白い話が聞けると思ったのに。」
「なぁんにも面白いことなんか話してないわよぉ。」
「ほら、しっかりしなさいよ。一国のお姫様でしょう?」
 なんか、セレナ姫の方がしっかりしてるみたい。実際にセレナ姫はマイア姫より
一つ年上なんだそうだけど、それだけじゃないみたい。やっぱり結婚すると変わる
のかなあ。
 と、セレナ姫はマイア姫の面倒を見ながら、こっちを向いて言った。
「わたくしの方は、そういうわけで、こうやって結婚できたからいいんですけどね。
心残りなのはこのマイア姫のことなんです。誰かいい人いませんか?」
 半分冗談なんだろうけど、ちょっと真面目な顔で言う。だけど、僕達だってこっ
ちの世界には疎いから、そんなこと知るわけない。
「おお、そうじゃ。すっかり忘れておったわい。皆さん方に紹介しなければのう。」
 ソーラ王が突然話に割り込んできた。
「実は、あなた方が姿を消された後のことなんじゃが、プラネット公のところの占
い師の姿が見えなくなってのう。八方手を尽くして探したのだが、未だに行方不明
なのじゃ。ところが最近になって代わりの者が見つかってな。プラネット公の占い
師の事は心配じゃが、とりあえず不便はなくなったというわけじゃ。」
 そして、脇にいた黒いフードをかぶった人を紹介してくれる。
「この占い師、人当たりは良いとは言えぬが、なかなかに有能でな。かなり重宝し
ておる。」
 と、その黒いフードの人が軽くおじぎをして、静かな声で挨拶をする。
「ティアの方々には初めてお目にかかりますな。よろしくお願い申しますぞ。」
 そのあと王に一言二言ささやいて、くるりと背を向けると部屋から出て行ってし
まった。
 僕達は、その姿を見送ったあと、再びマイア姫やセレナ姫との陽気なおしゃべり
に熱中してしまい、この占い師のことは頭の中から消えてしまっていた。

 一人減り二人減り、だんだん人々が大広間から引き上げていく。それとともに宴
は静かになっていき、やがて、なし崩し的に終わっていた。
 僕達も部屋に案内されたが、今晩は来客が多く、一人一部屋は無理ということで、
二人で一部屋を使うことになった。マイア姫は、このことを申し訳ないと言って何
度もあやまっていたけど、前の時だって二人で泊まったりしてたから、別に何も変
わってないんだよね。
 一美と一緒にドレスを脱いで、用意されていた寝間着を持って浴室に入る。温か
いお湯を浴びて酔いを醒ましながら、一美と背中を流しっこして、お湯に浸かって
芯から温まった。
 少しのぼせ加減になった頃、お湯から上がって寝間着を着て、柔らかなベッドに
倒れ込む。
 ふかふかのベッドが体をすっぽりと包み込んでくれて、最っ高に気持ちいい。
 疲れていた僕は、そのままあっという間に眠りに落ちた。

「うーっ!」
 朝の爽やかな光の中、僕は思いっきり伸びをして、ベッドの上から起き上がった。
「うーん……。」
 一美も隣で何やらもぞもぞと動いて目を覚ます。
「あ、おっはよ……。あふ……。」
 欠伸をしながら起き上がり、目をこすりながらベッドから降りた一美は、そこで
寝間着を脱ぎ始めていた。
 トントン。
 ノックの音。そして、いきなり扉が開く。
「きゃあ!」
 一美は脱ぎかけていた寝間着をあわてて元に戻そうとした。しかし、その手は胸
の前で止まり、それ以上動くことはなかった。
 僕もベッドの上で上半身を起こしたまま身動きが取れなくなっていた。
 扉の所には、昨日ソーラ王から紹介された占い師が立っており、手を組んで何や
ら呪文のようなものを唱えている。その手がふわふわと手招きするように動くと、
足が勝手に動いてベッドから降り、占い師に引き寄せられるように歩き出した。
 一美も驚いたような表情のまま、占い師に向かって歩いていた。
 な、何これ?
 思わず叫び声を上げようとして……こ、声が出ない!
 意識の方は必死に抵抗を試みるんだけど、体がいうことを聞いてくれない。
 一美と僕が操られたままに占い師の前に立つと、そこに占い師の手が延びてくる。
 左手が一美の頭に、そして右手が僕の頭に向かって。
 占い師の手は顔の前で止まり、掌が目の前で開かれる。
 バシッ!
 目の前でまばゆい光が飛び出して、僕の頭を直撃した。それは単なる光ではなく、
僕の頭に強いショックを加えた。その瞬間、僕の意識は遥か彼方へ飛んで行き、訳
が判らないままに気を失ってしまった。

 ギギギギギッ! ギリギリギリッ!
 なにやら耳障りな音が聞こえる。
 体が宙に浮くような感じとともに、不愉快な音が耳元で鳴り響く。
 ガリガリガリッ!
 気分が悪い。耳を塞ぎたいけど、でも体が動かない。
 ギリギリギリッ! ガリガリガリッ!
 その不愉快な音はしつこく続く。
 と、その不愉快な音が突然止まった。
 同時に体は宙に横たわったような感じになり、さらに上へと持ち上げられる。
 何とも表現できない不思議な模様が、さまざまに形を変えながら目の前を流れて
行く。
 遥か上の方から流れてきて周りをすり抜け、そして遥か下方へと去って行く様々
な形の模様達。
 よく判らないけど光のトンネルみたいな感じ。
 そして、光のトンネルの中を上へ上へと昇って行く。別に行きたいって思ってる
わけじゃないんだけど、とにかく勝手に進んでいってしまう。
 と、突然、光の奔流が消える。
 バキッ!
 同時に強いショックを感じて、また何も判らなくなった。

「一美、一美!」
 体が揺さぶられ、頬を何度か軽く叩かれる。
「おい、しっかりしろよ。一美! こら!」
「う、うーん……。」
 目覚めると、目の前には康司の顔。
 そして、あたしは康司の腕の中。
「えっ? きゃあ! やだあっ!」
 あたしはあわてて飛び起きて、胸の前を押さえた。
 だってあたし、寝間着を脱ぎかけた状態でいたんだもん。まる見えにはなってな
かったみたいだけど、でも胸のラインはしっかり見えていたはず。
 あられもない姿のまま康司の腕の中に抱かれていたことに気付いたあたしは、半
分パニックしながらベッドに潜り込んだ。
「お、おい、一美。」
「やだあ! ちょっと来ないでよ!」
「ちょっと、落ちつけったら。変なことしようってんじゃないんだからさ。」
 そう言いながら、あたしの腕を掴む康司。

−−− 続く




前のメッセージ 次のメッセージ 
「空中分解2」一覧 あるてみすの作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE