#628/3137 空中分解2
★タイトル (AVJ ) 90/ 9/15 22:34 ( 65)
推理クイズ第2弾>解決編 浮雲
★内容
「おや、彼氏にラブレタ−かい」
外出から戻って来るなり、空地先生は私の机を覗きこんだ。
「あっ、見ないで」
私は、空地先生の留守をいいことにある人に手紙を書いていたのだった。
「ほお、字引きを片手にとは余程込み入った手紙かな」
「なんですか先生。その字引きっていうのは」
「あれっ、学校でおそわってない。字引きとは、字を引く書なり=ジヲヒクショ
ナリ=ジィクショナリ−の事だよ」
「ああ、」
私は、思わずなるほどと感心してしまった。
「どれどれ、貸してごらん。昔はよくお世話になったものだが。ええと、空き地
は・・・。なるほど<主に建物の建っていない土地>か。そう言えば君の名字は
なんと言ったっけ」
「かづき、です。被衣と書きます」
「かづき、か。かづき・・・。あった、あった。ええと、<平安時代に婦人が外
出の時に・・・。ああっ」
突然、空地先生は息を止めたまま棒立ちになった。
「コココココココココ・・・これだっ!」
「先生、どうしたんですか」
私は、急いでコップに水を汲んでくると空地先生に渡した。
「解ったんだよ、例の暗号の解き方が」
空地先生は、あの暗号のキイワ−ドは一種の意味調べだ、と言うのである。事
典の類から引用したものに違いない。意味は出ているのだから、それを逆に辿っ
ていけば答えが見つかるという寸法だと言うわけだ。
「主に建物の建っていない土地」は「空き地」の意味、という具合いに。もっと
も、ABCDFHJはそれぞれ、
「計り」「台」「下」「杉か桧」「根」「南」「百歩譲っての百」
だろうと推測はついていたらしい。
なんと言っても@でつまづいていた、と空地先生は正直に話してくれた。それが
解けたと言うのである。
「先生、そうですよ。それに違いありません」
やったあ。これで礼金がたんまり入るぞ。私は、ある人への手紙は家で書くこ
とにして、さっそく買物リストの作成にかかった。
ところが、私が思っていたほど空地先生の作業はスム−ズに進まなかった。そ
して恐ろしいことが起こった。
「小林くん。買ってきてくれ、急いで」
出版社の異なる事典を何冊か買ってこい、と言うのである。お金を出すのはこ
の私である。
「国語の文法の本もだぞっ」
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それからしばらくして、
「小林くん、お茶あ」
空地先生の声が部屋一杯に響いた。
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<解答>
@ 「舞台」というのがミソ。これを「空間」「歴史」と読み変えると「場所」
に対するものは・・・「時」
A 計り=「計」
B 高さを取るために乗るもの=「台」
C 数量が少ない、にこだわると混乱の元。自分より低い=「下」
D 良質の、と言ったら=「桧」
E 国語の文法ってホント苦手だよね。格とか体言とか・・・=「の」
F 小学校理科の問題=「根」
G これも文法。出発点にこだわって欲しい。=「から」
H 自分の体を使って確かめて=「南」
I 方向、といったらこれしかない=「へ」
J 論争している時などくやしまぎれに「百歩譲って」なんていうよね=「百歩」
と言うわけで、正解は
「時計台下桧の根から南へ百歩」
でした。
なお、出題は「三省堂 新明解 国語辞典」に依りました。
以上