AWC 『闇の迷宮』 −10−            Fon.


        
#1566/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (DGJ     )  89/ 5/19  20: 3  (100)
『闇の迷宮』 −10−            Fon.
★内容
                              by 尉崎 翻
 ☆ どっかん ☆
 ティスタが振りかえった所へダグがのしかかる様にぶつかった。
 その反動でティスタは背中を壁にしたたか打ちつけて一瞬呼吸が止まる。だがぼ
んやりはしていられない、直ぐに身体を反転させて横に跳ぶ。一瞬遅れてガーゼッ
トの拳が壁に突きささる。
「あっ!? ダグッ!!」
 ダグがガーゼットの拳の下敷きでグシャッとなった嫌な光景が脳裏をかすめた。
 目をこらして確かめようとするが床と壁のガレキが飛び散り視界が悪い。かんぱ
つを入れずにガーゼットがその前に立ちはだかる。
「グフフフ...いつまでにげきれるカナ....」
 ガーゼットの口からはっきりとしているが擦れるような声が発せられる。
 ダグの身が心配だが確かめる術は今はない。ガーゼットを倒すのが先決だ。
 間合いは4m程、いままでの攻撃の推測からではガーゼットの拳の攻撃範囲外な
のだが油断は出来ない。たとえかすった程度でもあの威力から考えるに相当のダメ
ージは免れまい。
 「「「はたして剣で倒せるだろうか?
 そんな言葉がよぎる。
 ガーゼットは身体全体が岩で形成されているようである。その拳は床や壁を軽く
叩き壊した。
 剣の刃がそれに通用するかどうか「「「ティスタはその思いをブルンブルンと頭
を振って吹き飛ばす。
 迷ってどうする!!
 敵に対しては真っ正面から全力でぶつかっていくのが自分の信条ではないか!!
 キッとガーゼットをにらみ剣を斜めにかまえる。
 柄の部分を握りなおし呼吸を整えた。
 目「「「ガーゼットの身体全体の中で唯一、他と違う部分がそれである。
 攻撃目標はそこしかない。ガーゼットの一撃目の攻撃をかわし懐に飛び込めば勝
気はある!
 ティスタはかまえた剣をゆっくりと下げた。動作の一つ一つがコマ送りのように
ハッキリと判り、時間が一瞬一瞬止まっているかのような錯覚すらおこす。
 ティスタの目は確実にガーゼットの目をにらみすえ威圧していた。
 ガーゼットもその並ならぬティスタの気配を感じとったらしく不用意に動こうと
しない。
 ティスタはソロリソロリと右側にまわり込むように足を動かす。攻撃の位置を動
きながらに考えているのだ、むろんガーゼットもそれにあわせて自分の角度を変え
る。ティスタが数m動いた所で、両足をいままで床に擦って動いていたガーゼット
が足を上げて移動させる動作をしようとした。ティスタの動きがガーゼットの最初
の位置の横あたりに来たからである。
 「「「いまだっ!!
 バッとティスタの足が床を蹴った。
 掛け声と共に剣をたずさえガーゼットの体めがけて突進する。
 ガーゼットは僅かだが虚をつかれた形となる、それほどまでにティスタの行動が
絶妙だったのだ。うぉーと、叫びあげ振り出してくるガーゼットの拳の初速がにぶ
った。ティスタはその動きを予測して拳の動きを見切った。
 ガーゼットの拳はティスタの身体をわずかに外れ空をきる。ガーゼットはそれを
認めるやもう片方の腕の拳を振り上げた。だが、その時既にティスタはガーゼット
の目の前にせまっていた。タイミングを見計らい両足へ全体重をのせガーゼットの
足首へ蹴り込む。ガーゼットのバランスがガタンと崩れ片膝が地面につく。
「もらったぁ!!」
 バランスが崩されたためにガーゼットの顔の部分はそれに伴い下がった。ティス
タのジャンプ力で十分に届く範囲であり、足場も体勢も良である。
 脚に力を込めガーゼットの目に向け身体を弾かせるようにティスタは床を蹴った。
                  *
 ダグをおもいっきりはり倒した掌を摩りながらレナはゆっくりと立ち上がった。
 身体にはこれといったダメージは無い。吹き飛ばされ方がうまくいったからだ。
 目の前にはガーゼットの背中、ティスタかリクトが相手になっているのだろう。
 魔人。
 ガーゼットの言葉から察するに、何者かが自らの手先として作り上げた生命体で
ある。侵入する自分らを始末するために。逆をかえせばその者はこの先に存在する
ということになり、そこには確実にその者が守るべき何かがある。
 ガーゼットが言うマスターたるものは十中八、九魔術師系列の者。
 帰り道くらいは聞きだせるだろう。
 場所は「「「目の前の岩巨人にでも案内させればよい。
 視線をガーゼットへ再び移す。
 その左に剣をかまえたティスタの姿が見える。
 唐突にティスタが跳んだ。
 ガーゼットの懐に入りこむ。
 瞬後、ガーゼットのバランスが崩れ、その好機を逃がさずにティスタが再び地を
蹴りガーゼットへ剣を振りかざす。
 「「「!!
 レナの脳裏にピクッとなにかが浮かんだ。
 「「「もしかしたら...!!
                  *
 ガーゼットの顔面が目の前にせまっていた。剣を構え突き立てる。
 狙いはガーゼットの左目ただ一点。
 剣を僅かに後ろへ引き勢いをつける源をつくる。
「ティスタ! やめなさいっ! もしかするとそいつは「「「」
 レナがティスタの行動を止めさせるために叫びあげたが行動途中のティスタには
聞こえない。だが、聞こえていたにせよこの状況下では行動を止めるようなティス
タではない。力源ともいえる力が両手に溜り爆発されようとしている。ティスタの
戦士としての血が今、まさに燃えあがっていた。戦士系、魔術師系。職業たるもの
はこの二つに大別され、力の戦士、知の魔術と一般に言われる。人の能力は限界が
あり最終的な限界値をみとおして職業を自ら決める。職業を間違えた者は「「「死。
 ティスタは自ら戦士の道を選んだ。
 そして戦士としての道を歩み続けている。自分の選び出した道は決して間違って
はいない「「「
 この距離から外すことはない。
 いままさに剣先がガーゼットの眼に突きささろうとした時、目の前のガーゼット
が不意にニヤッと笑う仕種をした。
 と、同時ガーゼットの眉間に当たる部分が小さく割れ鈍い光がはっせられティス
タの視野に入り込んだ。
 光はまるで実体をもつかのようにティスタの眼球に侵入してくる。
 「「「あ、あぁ....
 不快感。同時に全身の急速なる脱力感。
 ねっとりと粘付くような感触がジワジワと眼球を覆った。
 視覚はその能力を封印され乳白色の光だけが視野全体を占めはじめていた。
 身体に衝撃が走った。
 ティスタの身体が地面に落下したのである。
                        (RNS.#1)<つづく>




前のメッセージ 次のメッセージ 
「CFM「空中分解」」一覧 尉崎 翻の作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE