AWC 『闇の迷宮』 −08−            Fon.


        
#1544/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (DGJ     )  89/ 4/27  21:28  (100)
『闇の迷宮』 −08−            Fon.
★内容
                             by 尉崎 翻
 変化に乏しい通路の終りをつげるかのようにその扉は位置していた。
 これといった特徴もなく見掛け上は平凡な扉である。むろんこの扉をなにも考
えずに開けるようであったら冒険者としては失格である。どんなに安全だと確信
のある扉でも調べてから開けることが自らの命を長らえる方法である。
 むろんそれは優秀な盗賊系の人間が仲間であればの話であるが...
「ザッと調べた所、トラップらしきものはない。ただの扉だな」
 ダグが見事なまでに言いきった。
 絶対の確信を持ってキッパリと。
 完全、完璧、100%。これほどまでにハッキリと宣言できるのは非常に久し
ぶりであった。
「もう一度調べてみろ。ダグ」
 リクトがその嬉しさでイッパイのダグの心をブチ壊した。
「あのな」 ダグがドンドンと拳で扉を叩く。
「いくら俺でもトラップが有るか無いかくらい見分けられるぞっ!」
「いーから調べろ」
 リクトがせかす。
「やなこった」
 ダグがアッカンベーをして両手を頭の後ろで組み明後日の方向を向く。
「調べてトラップが無いと判った扉をなんでまた調べにゃいかんのだ」
「答えは簡単だ「「「調べたのが貴様だからだ」
 サラッとリクトが言い返す。
「なぁんだとぉ!」
「来るかっ!?」
 ダグがカーッとなり好戦的に身構える、同時にリクトもギラッと剣を抜いた。
「ちょっと止めなさ...あれっ?」
 非常にめずらしく(!?)ティスタが喧嘩をなだめようと「「「むろんティス
タに言わせれば自分は喧嘩が好きではないが向こうが勝手にふっかけてくる。だ
から応戦するだけということらしい「「「とにかくティスタにしてはここで、喧
嘩をなだめる立場にたったのだ。そう二人の間に割って入ろうとした時である。

 ギギギギーーーッ

 物がきしむ音がして目の前「「「すなわち通路を終りにしていた扉が自然に開
いたのである。
 扉の開いた前にはレナがおりその向こう側を凝視していた。
 ティスタはレナにかけよった。
 ダグとリクトもお互いに顔を見合わせてから、ひとまず休戦として拳と剣を収
めティスタの後に従う。
「レナ、 あなたがあけたの?」
「いいえ、ひとりでによ。わたしがそんな危険を冒すと思って?」
 あいかわらずの落ち着いた口調、悪く言えば冷えきった口調でジッと扉の向こ
うを見続けている。
 扉の向こう側は外からみた限りでは10m四方の部屋、というよりはホールの
ようになっており部屋の内部にはこれといった物体もなさそうであり壁や天井に
も装飾はされていない。部屋全体は暗く奥の方はくわしい様子がわからないのが
現状である。ただ、天井が高そうである。
「どーだ、なーんにもトラップはかけられとらんかったろ? えっ?」
 ダグがどんなもんだワッハッハと胸をはる。
「まぁ...たしかにな」
 リクトがさも残念そうにうつむく。
「が、なんで扉が自然に開いたんだ?」
「それはなぁ.....」
 ダグが右手を顔の前にだし人指し指を立たせる。息を軽く吸い込んで何かを言
おうとする状態でピタッと止まった。立てた人さし指が虚しく空でクルクルと宙
に浮いている。
「...ほれ、...なんだ....その..つまり、そう! 入ってみりゃわ
 かるよ。うん」
 要は俺は知らんから気にせず進もうという事だ。
「邪気は感じとれないから大丈夫とは思うけど...ね」
 レナが付け加える。
 扉にはトラップが仕掛けてなかったとはいえ、注意するにこしたことはない。
 ダグが床や天井に注意しながら扉をくぐり抜ける。ドカッ!と、床が崩れ落ち
やしないかと嫌な想像をしたがそれはどーやら平気なようだ。ダグが3m程入り
平気なことを確認してティスタ、レナが続いた。部屋にはこれといって変わった
様子も変化もない。最後にリクトが後ろを注意しながら部屋に足を踏み入れた。
 部屋の大きさはやはり10m四方位であり、入って来た入口の他には右の方に
もう一つ扉があるようだ。部屋全体は先程外から見たような感じであり、数mは
あるであろうという高い天井。そのことが目についた。
 途端!
 轟音と共に入口のあった場所が岩によって閉ざされた。
 入口が塞がれたのではなく、入口があった壁全体が下にスライドした形となっ
たのである。これでは扉を調べた程度では発見するのは難しい。
「畜生!!」
 ダグがきびすを返して塞がれた入口の所にかけよりドンドンと壁を叩く。
「だめだ崩せそうにねぇ!」
 叩いた位ではびくともしない。強力な爆発でも起こさないかぎり破壊は困難で
あろう。ダグはくやしさに唇を噛み壁を蹴った。
「気をつけろっ!何かいるぞっ!!」
 リクトが鞘から剣を抜き構える。
 ティスタもそれに続き身構えた。
 部屋の中央を挟んで向かいがわの壁あたりから岩と岩が擦れ合うような音が低
く響いて来ている。同時に生命が存在する気配が生じているのだ。
 数秒後、音が聞こえていた壁が崩れ始めた。向こうがわから衝撃があたえられ
たかのような崩れ方である。バラッバラッと壁の石が床に落ちヒビが広がる。や
がてヒビが広まり岩となり落石する。
「な...なによ、いったい!?」
 ティスタが無意識に半歩下がった。
 それほどまでに威圧感が充満している。リクトはギュッと剣を握り直しジッと
壊れ続けている壁をにらみ続けている。
 レナとダグはその後ろに位置していた。
 部屋全体の光量は僅かであるために壁の崩れる様子は細かには判らない、だが
鮮明に聞こえる音が視覚を助けていた。
 いままでの中で最高の衝撃音が響き壁の一部が崩れ落ち空洞が生じた。一度崩
れれば連鎖反応のように次々と崩れ空洞は拡がる。
 壁全体がほぼ崩れ落ちた時一つの巨大な物体がその姿を見せた。
 ゆっくりとそいつは歩み向かいたった今出来た壁の空洞を通り部屋へ侵入して
くる。ティスタの額から汗が流れポトリと床に落ちる。
「キサマらがシンニュシャか?」
 そいつはゆっくりと尋ねて来た。       (RNS.#1)<つづく>




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