AWC 『闇の迷宮』 −07−            Fon.


        
#1543/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (DGJ     )  89/ 4/25  17: 6  (100)
『闇の迷宮』 −07−            Fon.
★内容
                              by 尉崎 翻
 生き物。
 おそらくそうであるに違いない。
 見た目には拳程度の石に過ぎないが石全体がドクッドクッとまるで心臓そのもの
であるかのように脈を打っていた。その音は低いが重みを持ち部屋全体に鳴り響か
せている、ゆっくりと定期的にかつ、力強く。不思議とその石は空間に浮かんでお
り部屋の中央にその位置を占めている。
 石の廻りは「「「闇
 闇が流れていた。
 不意に石の前の闇がゆらめく、「「「と、思えばそこには既に人が立っている。
 身体全体にマントを羽織っておりその容姿はまるで見当がつかない。
 その者は両手を石にかざし、ひどくしわがれた声で言葉を唱えはじめた。
 唱え始めたと同時に石に変化が起き始めた。
 石の鼓動が不意に早くそして、さらに力強くなり始めたのだ。
 やがて一つ一つの鼓動と同時に石が大きくなりはじめる、
 ドクッ、ドクッ、ドクッ!、ドクッ!、ドクッ!!、ドクッッ!!
 石はすでに人の頭位の大きさにまで変化していた。
 するとマントの者がそれまで唱えていた言葉をピタリと止め、そして叫び上げた。
「目覚めよ、大地の魔人! ガーゼットよっ!!」
 その言葉を聞きつけたのごとく、石はグワッと縦にもりあがり3メートルまで膨
張した、グギギギギ...という岩が擦れ合う音と共に岩はやがて人の形を形勢し
始めていく、岩の上と下にそれぞれ2つずつ、枝の様なものがもりあがり、それぞ
れが腕と足となり岩の頂点はだ円形にふくらみ、その正面中央からギロリと光がも
れた。
 目である。
 その目の下には空洞が出来上がりそこからは左右に1本ずつ牙が生えてきた。
 身体も既に形勢れつつあった。
 隆起した岩は筋肉のごとくに変化し腕は人の胴回り程にまで太く変化している。
「ガーゼットよ...聞け...」
 マントの者が命令する。
「我が領域に、己の価値も判らずに踏み込んだ愚かなる者たちがいる。そのものた
 ちを始末してこい...」
「...グググッ...グーッ....ワカッタ 我が主よ」
 岩の巨人は形勢されたばかりの口で低い声で答えた。
 いなや岩巨人はその巨体からは感じとれるほどの身軽さで翻し、部屋より立ち去っ
た。
 巨人が過ぎ去った後、マントの者はボツリと部屋の中央に立ち、一つの悔しさに
腹を立てていた。
「あやつめ! わしの登場シーンより 目立ちおって!!」
                   *
「気にいらないっっっ!!」
 ティスタが最後の一匹の怪物を斬り伏せてから叫びあげた。
「おもいっきし、気にいらないわよっ! この迷宮!! さっきから 進んじゃ
 戦い 進んじゃ 戦い しかやってないじゃない! これのどこが 迷宮よ!!」
 ティスタが怒るのも当然であった。
 先程の四苦八苦した扉を数枚あけてから何か進展があろうと思いきや、なにもな
かったのである。
 ただ、長〜〜〜い通路がずーーーっと続いており、ときたまモンスターが現われ
る以外には扉はもちろんのこと別れ道すらないのである。
 さらには床も壁も天井も全てにおいてが同じデザインのために同じ所をグルグル
まわっている錯角に陥ってしまう状態だ。
 「「「このまま歩き続けたら気が狂う!!
 ティスタは本気でそう思った。
「妙だな......」
「そう、絶対にネーミングガおっかしいわよ。これじゃ闇の迷宮じゃなくて闇の廊
 下じゃない!!」
 リクトのつぶやきにティスタがウンウンとうなずく。
「「「「いや、そうじゃなくて。この廊下のことだ」
「...え?」
「『闇の迷宮』と言えばその名を知らぬ者はいないといわれるほど有名な迷宮だ。
 何十年もの間に数知れぬ冒険者たちが挑戦し続けている。おかげでなかの迷路の
 様子も正確ではないにしろ、だいたいの雰囲気的なものは情報として流れている。
 だが...」
 リクトは果てしなく続いている通路を見渡す。
「これほどまでに長い通路があるという噂なり情報を...撲はいままで少しも聞
 いたことがない」
「この規模からいえば、噂にならない方がかえっておかしいわね」
 レナがリクトをチラッと見る。
 そしてティスタの方に顔をむけた。
「すなわちこの通路に侵入する者は、わたしたちが始めてかあるいは...」
「過去に侵入した者が、ことごとく帰還不可能となったか...ってわけだ」
 ダグがレナの最後の言葉をうけついだ。
 そしてレナが再び返す。
「そうね。それからこの迷宮の噂の一つを知ってる? ある程度以上のレベルにな
 った冒険者が侵入すると、その者は闇に閉ざされる。これはこう解釈できないか
 しら? ある程度のレベルを持たねば入れないエリアがある。が、そこには想像
 をこえる程の何かが待ち受けている「「「」
 シーンと一瞬沈黙が走る。
 それを打ち破ったのはティスタであった。
「じょーとーじゃないっ! どんなヤツだろーとあたしが倒すっ!」
 そう言いきると、ズンズンズン一人で進み始めた。
 一本道を岩が塞いでいれば迂回せず岩を破壊する「「「それがティスタの性格で
あった。ナントカと性格は死ぬまでなおらない。その模範的な例である。
「...ティスタ。この事実はそういう問題ではなくてな」
「どーゆー問題なのよ」
 リクトがあわててティスタを追いかけた。
「強大な怪物がいるという事があるかもしれぬが、あくまでそれは可能性の一つに
 過ぎないわけだ」
「怪物だろーがトラップだろーがね、ようは破壊すれば同じことじゃない。てっと
 り早く出てきてほしいわよっ、こんなワンパターン廊下にいたんじゃ気がめいっ
 ちゃうわ!」
 「「「気がめいる程の神経を持ち合わせてるのか?
 リクトはそう半分口に出かかったがあわてて止めた。
 ダグの二の舞はごめんだ。
「怪物か、トラップかわ判らないけどなにか進展はありそうじゃない?」
 レナが通路の先を見ている。
 通路の先。殆ど点のようにしか見えぬが「「「たしかにそこで通路は止まってい
た。そしてそこには扉らしきものが自己の位置を誇示するかのように行く手を遮っ
ている。
                                <つづく>




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