AWC 「Sorrow tears rain・Happy blue sky」[1] Ti


        
#1452/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (DRH     )  89/ 3/ 3  21:52  ( 71)
「Sorrow tears rain・Happy blue sky」[1] Ti
★内容

●プロローグ 〜悲しみの涙雨〜

 街は厚い雲に覆われていた。
 公園の一画で、暗い雰囲気に包まれた二人の若いカップルは黙ったまま、何も話
さずうつむいている。
 突然頭上から、小さな‥‥細かな雨が降って来た。
 そして、雨はだんだんと強くなってゆき、二人の髪を濡らすが、二人は動かない
‥‥動けない。
 ふいに少年が、静寂を破り、ゆっくりと、悲しそうな‥‥辛そうな表情で話し出
す。
「ごめん‥‥」
 少女はうつむいたまま、何も話さない。
「ごめん‥‥僕は、君のことが好きだけど‥‥、君を愛していく自信は、僕にはも
う無い‥‥」
 少女の頬を、一筋の涙がこぼれて行くが、すぐに雨に同化し、わからなくなって
しまった。
 突然、空を稲妻が走り抜ける。
 それにつれてだんだんと、雨足も強まってきた。
 少女は、ゆっくりと顔を上げると‥‥、唇を噛んだまま、悲しげな目で少年を見
つめている。
 少年はゆっくりと首を左右に振り、少女に背中を向けると、激しい雨の中を走っ
て行ってしまった。
 少女は、生命の無い、人形のように、放心して、その場に立ち尽くしていた。
 動くことを忘れてしまったように「「。

★第一章 失恋

 暗くたたずむ雨の街を、一人の少女が、傘もささずに歩いていた。
 街を行く人々に肩をぶつけながら、少女は言われようのない、孤独を体全部で感じ
ていた。
 彼と出会ったのも「「そう、こんな雨の日だった。
 この街、この風景、すべてが思い出「「。
 すべて、輝きの中にあったはずなのに‥‥。
 今は輝きを失ってしまった、そう、輝きを失った宝石のように‥‥。
 ゆっくりと歩いて行くうちに、だんだんと悲しみは大きくなってくる。
 何故、心が離れてしまったのか、少女にはわからなかった、ただ、疑問だけが心
の中で渦巻いている。
 ここは、そう、彼と良く待ち合わせた場所。
 あそこは、そう、彼と良く入った喫茶店。
 でも、もう彼とはわかれてしまった。
 強い雨が頬を濡らす。
 ひんやりとして気持ちがいい。
 少女は、幾度と無く彼との思い出を打ち破り、前だけを見て、歩こうとた。
 彼のことを忘れたい「「しかし忘れられない。
 ナゼ‥‥アナタハ、ワタシカラハナレテイッテシマッタノ?
 心の中は暗黒と絶望とが渦巻いていた。
 こんな思いをするくらいなら、死んでしまった方がまし‥‥。
 そんな考えも心をよごぎっていった。
 少女は首を横に振ると、そんな考えではいけない‥‥と思っていた。
 でも「「。
 すると、突然鳴り響くクラクション。
 赤の横断歩道「「。
 十分、よけることができる距離。
 でも‥‥よけない‥‥。
 キーッというブレーキがきしむ音がきこえてくる。
 そして、少女は、身体に車が接触する瞬間、少女は今までの楽しかったことを思い
返していた。
 春「「彼と出会った、あのバイト先の店のことを‥‥。
 夏「「一緒に海にいって、じゃれあった海岸を‥‥。
 秋「「デートの時、ふてくされて歩いた道を‥‥。
 冬「「一緒になって、つくった雪だるまを‥‥。
 思い出していた、それは輝きの中の、幸せな自分。
 すると、頭の片隅をよぎるメッセージ‥‥。
 シンデハイケナイ‥‥シンデシマエバ‥‥スベテガオワッテシマウ‥‥。
 そう思ったとたんに、少女の身体に強い衝撃が加わる。
 歩道の方に投げ出される身体‥‥。
 マダ‥‥シニタクナイ‥‥。
 目の前は赤‥‥真っ赤‥‥、そしてゆっくりと意識は遠退いていった。

                                (つづく)




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