AWC 連載小説>魔法のネットワーカーアクセス那奈 [5]


        
#1434/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (DRH     )  89/ 2/15   0:32  (104)
連載小説>魔法のネットワーカーアクセス那奈 [5]
★内容
 とりあえず、あたしは智広がアクセスしているのを後ろからボーっと眺めながら、
バレンタインデーのことについて話し掛けた。
「ねー、智広、バレンタインだけどチョコレート、欲しいよね?」
 あたしがそう聞くと、智広は目でディスプレイの文字を追いながら、「くれるなら
貰っておくよ」って言った。
 うーん、なにかもっと言葉、ないかなぁ。
 せめて『ありがとう嬉しいよ』くらい言ってくれてもいいのに‥‥。
  まったく無愛想なんだから‥‥。
 と言っても智広はああゆう性格だもんね、仕方ないか。
 そんなことを考えながらあたしはディスプレイから窓の外へ視線を映すと、見慣れ
た単車が向こうの方から走ってくる。
 あたしは一秒も考えることもなく、あの単車が西元麗華のものであるのがわかった。
 麗華はうちの隣の家のひとで、小さいときからよくお世話になっているうちの一人
なのである。
 とりあえず、あたしは窓から身を乗り出して、大きな声で単車を呼び止めた。
「麗華おねぇ〜ちゃん!」
 すると、案の定それは麗華であり、家のまえで軽やかにブレーキをかけると、バイ
クは、ゆっくりと止まった。
 麗華はフルフェイスのヘルメットに手を掛けるとヘメルットを脱ぎ、軽く頭を振る
と、あたしのいる方をみた。
「あら、由美ちゃんじゃない、どうしたの?」
「麗華おねーちゃんこそ今からどこいくの?」
「今、学校の帰りなのよ、ついでにバレンタインのチョコも、かってきちゃった」
 と、言うと腰のポーチから大きなチョコレートを出すと、見せてくれた。
「わっ、大きいね、高かったんじゃない?」
「まー、どうせ一個しかかわないから、奮発したんだ」
 なるほど、麗華さんは義理チョコなんかくばらずに、BFの森村文雄に一枚だけ、
あげるって訳か、ふ〜ん。
「で、由美ちゃんももちろん智広君にチョコレート、あげるんでしょ?」
「もち、で、義理チョコ数枚もくばるんだ」
 そんなことを話していると、アクセスが終わったのか、うしろに智広がいた。
「やあ、麗華さん、こんにちわ」
「あら、智広君お久しぶり!、相変わらず由美ちゃんと仲、いいみたいね」
「うーん、仲がいいってより‥‥腐れ縁って言った方が正しいような‥‥」
 まったくもー、人の気持ちも知らないで‥‥
「でも智広ったら那奈ちゃん、那奈ちゃんばっかで最近全然相手にしてくんないんだ
よ‥‥」
「那奈ちゃんっていうと‥‥、最近デビューした?」
 と、麗華が言うと、智広は間髪いれずに、「そうそう、いいでしょ?、那奈ちゃん
って」と言った。
 言ったそばから‥‥まったく!
「そうね、なかなか可愛いしね‥‥あっと、ちょっとこれから用事あるから行くわね」
 麗華はヘルメットをかぶると、エンジンをスタートさせた。
「じゃあまた、今度よかったら遊びにきてね!」
 そういうとバイクは発進し、すぐに見えなくなってしまった。

          ★

 あっと言う間にバレンタインデー当日、あたしはきのうの内に四苦八苦して、何と
かして作り上げたチョコレートと、教科書、ノートを鞄につめると、下へと降りて行
った。
「あ、おはよー!」
 2階のお店に行くと、おとうさんと、おかあさんがお店の準備をしていた。
「あら、おはよう、今日は珍しく、早いのね」
 あたしは時計のかかっている壁の方に目をやってみる、時計の針は7:15を指し
ていた。
 なるほど、いつもより15分は、早い。
「おかーさん、トーストとミルクね」
「はいはい、で、チョコレートはできたの?」
「もち」
 あたしは鞄の中に入っているチョコレートを出して、おかあさんに見せた。
「へー、なかなかこっているじゃない、流石ね」
「へへっ」
 そんなことを言われて思わず照れてしまう。
 見た目はともかくとしても、気持ちは丹念に込めたつもりだ。
 そんなことをしていると、トーストが焼けたので、あたしは朝食を食べはじめた。
 そして、食べ終わると大体8時前になっていたので学校にいくことにした。
「じゃ、いってくるね!」
「はい、きをつけていってらっしゃいね!」
「は〜い」
 冬の朝は寒い、大体1月〜2月と言えば一年の中で一番冷え込む季節、よって、あ
たしが最も苦手とする、季節なのだ。
 1分も歩かないうちに、寒さが身にしみこんでくる。
「うううっ‥‥さぶいよぉ〜‥‥」
 あ〜、やだなぁ、大体昼間は太陽出てるからいいけど、朝はやっぱり寒いなぁ。
 そんなことを考えながら、待ち合わせの場所に来たのだが、智広がいない。
 そーいや、今日なんか用事あるとかで、先に学校いっとくって言ってたなぁ。
 仕方がない!、とりあえずチョコレートは放課後に渡すことにしようっと!
 そしてあたしは、学校の方向へと歩みを向けた。

          ★

 終鈴のチャイムが鳴る。
 学級委員長の「起立〜っ!」と言う声が向こうの方から聞こえて来る。
 ふにゃ?、もう授業終わったのかなぁ‥‥?
 あたしは眠い目をこすりながら、皆につられるように席を立った。
「礼〜」
「それじゃあ、今日の授業は終わりだ、道草なんかくわずにまっすぐ帰るんだぞ!」
 担任の松原一雄先生がそういうと、「さよぉならぁ〜」って声とともにがたがたが
たって机を引くおとが聞こえて来る。
「由美ったら、一体なボーっとしてるのよ?」
 あたしの親友、沢村千恵美が声を掛けてきた。
「ん‥‥?、ちと眠いの‥‥」
「そーいや由美ったら、授業中ずーっと寝てたわね」
「ん‥‥、最近ちょっとしんどいから‥‥」
「ふ〜ん」
 あ、そだ、智広にチョコレート、渡しにいかなきゃ‥‥。
「ちょっと、中等部のほうに行くんだけど、千恵美ちゃんも行かない?」
「べつにかまわないわよ」
「それじゃ、行こ!」
 あたしと千恵美ちゃんは、帰る準備をして、校舎を出て智広がいる中等部の方へと
歩いていった。

                                (つづく)




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